居眠り猫と主治医 ⒘シェフの餌付け 連載恋愛小説
相変わらず借りてきた猫状態の文乃を、祐は不思議そうに見やる。
「テリトリー浸食してこないよな」
着替えやメイク道具を置かせてもらうという考えが、文乃にはなかった。
バッグに常備しているポーチに入っているのは、化粧直し用の保湿ミストとリップクリームくらいだ。
「先生のおうちですし。おじゃましてる身分なんで」
「ノーブラ素足で惑わせるのが、常套手段?」
湯上がりの魅惑的な香りを漂わせウロつく迷い猫を、どうしてやろうかと思ったと、彼は続ける。
いつの話をしているのか、やっと合点が