保育士の願いよ、届け!

想像してみて…崖っぷち保育から日本の未来を


NHKの首都圏ネットワークでシリーズになっている記事に拍手喝采!
長年の保育士生活の中で、ずっと強く思い続けてきたこと。
「保育士配置基準の見直し」
40年間も変わっていない。事業所レベルではなく、国基準の見直しの話だ。社会の関心事として取り上げられたことが本当に嬉しい。

まず、想像してみて欲しい。
あなたの側にいる1歳未満の0歳児3人を、同時にどこかへ連れて行くことができますか?
そのうちの一人は首がすわってなく、両手で横に抱っこするしかできないかもしれない。もう一人をおんぶすることができたとしても、その時点で同時に連れて行けるのは2人までだ。

よちよち歩きの1歳児6人を、同時に連れ出すことができますか?
そのうちの一人はまだ歩行ができないかもしれない。その1人をおんぶするとしても、空いてる2本の手で2人と繋ぎ、連れて行けるのは3人までだ。

「なんで?」と色々な事に興味を持ち、イヤイヤ期でもある2歳児6人を、1人で連れて行けますか?
(1人でも苦戦することある~💦と、親であれば共感してくれることでしょう)
たとえその日は機嫌が良く、他のお友だちと手を繋いで歩くことができたとしても、人間の手は残念ながら2つ。2組のペアと手を繋ぎ、歩いて進むことができるのは4人までだ。

少しの移動を想像するだけでも「無理でしょ!」と、突っ込むところしかないのに、地震が起きたら?不審者に会ったら?
考えるだけでゾッとしてしまうが、子どもを守る使命感や責任感で、保育士は毎日奮闘しているのだ。そして、1日を何事もなく過ごせたことに安堵し、帰路に着く。

別の想像もしてみて欲しい
部屋にあなた1人と3歳児が15人。あちらではトイレに行くのが間に合わず漏らしてしまった様子、こちらでは玩具の取り合いでケンカが始まりそうな様子。
そんな中、突然お腹が痛くなってきたが側には誰もいない…。

給食の時間。こちらでは次々におかわりをお願いする声が続いている。あちらではトイレで排便をしたがお尻を拭くことができずに待っている。

あり得ないと思うかもしれないが、実際に経験してきたエピソードだ。
「こんな時にもう一人いてくれたら…。」と、何度思ったことか。
たとえ、もう一人担任がいたとしても、休みを取れば一人になる。
(保育士あるあるとして、膀胱炎や尿管結石になりやすい。私自身も患ったことがある。)

3歳児は20人まで。4、5歳児は30人まで保育士が1人で保育することができる。プロとして学んでいるとは言え、そんなバカなとしか言いようがない。
国の配置基準を決める方々は、一度でいいから1日保育士体験をしてみたら良いと、本気で思っている。

最後に、子どもの気持ちになって想像してみて欲しい。
「先生、みてみて。」と、呼んでもすぐに側には来てくれず、「ちょっと待っててね。」と、離れた場所から声が届く。
何度でも何十回でも、大好きな絵本を呼んで欲しいのに、「お友だちも待ってるから、1回でおしまいね。」との言葉に、納得できないまま絵本をしまう。
そんな状況では、言いたい気持ちを押さえ込んだり、自分の行動を人に決めてもらうことになってしまう。
自分自身を知り表現し、「生きる力」や「主体性」を育むことと全く違うと私は思う。

自己表現もできず、人の決定に従うだけ。
そんな人だらけの日本の未来を想像すると、暗い気持ちになってくる。
だからこそ保育士は、食事がゆっくり食べられなくても、休憩が満足にできなくても、トイレにいくタイミングを逃してでも、できるだけ子どもと関わる時間を捻出しているのだ。

これまでのように、保育士の情熱に頼るだけなのは、もう止めにしよう。適正な人数を配置すれば、多くのことが解決する。
日本全国の保育士の仲間達、そして、保護者の方々、子どもに関わる全ての人々、日本の未来を憂いている人、今こそみんなで声を上げましょう。
子どものために、明るい日本の未来のために。


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