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気象予報士過去問対策 学科 一般知識 過去問 大気の構造

大気の構造に関する過去問の解説です。

令和3年度第2回目(57回)問1
太字部分の正誤問題
中層大気1月の月平均の気温や等圧面高度などについての問題です。
(1)高度10〜20km付近では経度平均した気温が最も低いのは赤道付近である。❌
 👉対流圏界面から成層圏下部での現象についての問題でした。
  この領域では、年間を通じて赤道付近上空が最も気温が低くなります。

(2)高度20〜50km付近では高度が高いほど気温が高く、オゾンの数密度も大きい。❌
 👉成層圏の中位の高度での現象についての問題でした。
  「前半部分の高度が高いほど気温が高く」は正しい記述です。他方、
  「オゾンの数密度も大きい」とありますが、「オゾンの数密度が最も大きいところは
   高度25km付近にあるオゾン層になりますが、
   成層圏での高度による気温は最も高度が高い成層圏界面付近であるので、
   後半部分の誤った記述により、正誤問題としては誤りと解答します。
ポイント)頻出項目です。成層圏でのオゾンの数密度が最も大きい高度と
   成層圏での気温の極値の場所が異なっていることを理解しているか問う問題です。

(3)高度70〜90km付近における経度平均した気温は、大まかにみると
北極付近で最も高く、南極付近で最も低い。⭕️
 👉中間圏での気温分布に関する問題です。
  1月は北半球は冬になります。南半球が夏となるので、成層圏の夏極は気温が
  最も高くなる一方で、その上空の中間圏では、最も気温が低くなります。
  これは成層圏で膨張した空気が上昇して断熱冷却されるためです。
  そして、中間圏の冬極では気温が最も高くなります。

(4)北半球の高度20〜50km付近では、等圧面上の等高度線は北極を中心とした
 ほぼ同心炎上になっている
。❌
 👉1月は北半球は冬になっています。冬半球の極の成層圏では、西風が卓越しています。等圧面上の等高度線が同心円状になっているのは南極であるので、「北極」が「南極」と記述されていれば正解でした。

令和3年度第2回(第57回)問2
対流圏と成層圏の経度平均した7月の月平均の気温及び風速の東西成分について述べた文章の穴埋め問題。
 成層圏の気温は、オゾンの紫外線吸収に伴う加熱量の違いから、___①___の
方が高い。
 南北両半球の中緯度の風速の東西成分の鉛直分布を対流圏から上部成層圏まで
高度に沿ってみていくと、南北両半球ともに対流圏界面付近で西風が極大となり
下部成層圏には西風の弱い高度があって、
そこから上空に向かって北半球では___②___、南半球では___③___
おおむね高度が高いほど強くなっている。

 ①南極よりも北極
 ②東風にかわり
 ③西風のまま
👉①7月は夏極は北極です。1日中、日射があるため成層圏ではオゾンが紫外線を吸収して気温が高くなります。反対に南極では夜で一日中日射がなく気温は低くなります。
  ②温度風の関係から成層圏では夏極では東風が卓越します。極大となる高度はおおむね成層圏界面の少し下の高度(70〜80km)です。
  ③中間圏では上空に向かって気温が低くなります。温度風の関係から西風が卓越します。注意が必要なのは冬極の中間圏では経度平均では気温が高くなっているので東風が卓越するようになります。

令和5年度第1回(第60回)学科 一般知識 問1
高度80km以下の地球大気の成分について述べた文の正誤問題。
(1)乾燥大気における酸素の容積比は30%を超える程度であり、残りのほとんどを窒素が占めている。❌
 👉乾燥大気の場合、窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.9%、二酸化炭素0.038%
  です。窒素と酸素で99%。窒素と酸素とアルゴンで99.9%です。

令和2年度第2回(第55回)学科 一般知識 問1
大気の構造に関する正誤問題。
(1)水蒸気を除いた乾燥空気における窒素、酸素、アルゴンの存在比は、地上から
 高度約80kmの中間圏界面付近までほぼ一定である。⭕️
 👉正しい記述です。このまま覚えましょう。

(2)成層圏界面付近で気温が極大になるのは、主にオゾンが太陽から紫外線を吸収
 して大気を加熱するからである。⭕️
 👉正しい記述です。このまま覚えましょう。

(3)対流圏界面の高さは、平均的には低緯度より高緯度の方が高い。❌
 👉「高い」ではなく「低い」です。対流圏界面の高度は赤道付近で最も高く
  約11kmあります。他方、極上空では約8kmと低くなっています。
  これは平均気温による層厚による違いです。

(4)対流圏の温度減率は、平均的には約9.8℃/kmである。❌
 👉9.8℃/kmは乾燥断熱減率です。
  対流圏には水蒸気があるため気温減率は平均すると6.5℃/kmです。

令和元年度第1回(第52回)学科 一般知識 問1
大気圏各層における国際標準大気の気温と気圧の特徴及び層内で起きる現象に
ついて整理した下表の空欄(1)〜(4)に入る適切な語句と数値の組み合わせ
を選択肢から選ぶ問題でした。


層      気温の高度分布    最下層の気圧  層内で起きる現象
対流圏 上部の気温は下部よりも(1) 約1000hPa            降水
成層圏 上部の気温は下部よりも(2) 約(3)hPa         成層圏突然昇温
中間圏 上部の気温は下部よりも(1) 約 1hPa                 夜光雲
熱圏  上部の気温は下部よりも(2) 約0.01hPa              (4)


(1)低い
(2)高い
(3)200hPa
(4)紫外線による光電離

試験時には(4)について「準2年周期振動」「ブリューワー・ドブソン循環」という
選択肢が用意されていました。

解説です。
(1)対流圏と中間圏については、下部の方が気温が高く、上層に向かって気温が
  下降するのが特徴でした。
(2)成層圏と熱圏については、下部の方が気温が低く、上層に向かって気温が
  上昇するのが特徴でした。
(3)最下層の気圧
   対流圏・・・・1000hPa  (対流圏は1000〜200hPa)
        成層圏・・・・ 200hPa (成層圏は  200〜    1hPa)
   中間圏・・・・  1hPa  (中間圏は      1〜0.01hPa)
   熱圏・・・・・0.01hPa   (熱圏は  0.01hPa以下)

ヘクトは100という意味なので、0.01hPaは1Paと同じです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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