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気象予報士試験対策 学科 一般知識 過去問 大気 温位 放射量

過去問
令和4年度第1回目(第58回) 問5
正誤問題です。
(1)地球大気の上端に入射した太陽放射エネルギーは、雲、エーロゾル、大気による散乱と反射、及び地表面での反射により、約3割が宇宙空間に戻る。⭕️
 👉太陽放射のうち、大気や雲などから22%が、また地表面から9%の合計約3割が宇宙空間に戻るとされています。残り(69%)のうち20%が大気や雲で吸収され、49%が地表面で吸収されます。雲や地面で吸収された太陽放射は、その後地球放射として放出されます。

(2)気温の高度分布が同じであれば、大気中に水蒸気が多く存在するほど、大気から地表に到達する長波放射は少ない。❌
 👉太陽から直接地表に到達するのが短波放射。雲から地表面に向かって行われるのは長波放射と言います。雲が多くなると太陽からの短波放射は少なくなりますが、逆に雲(水蒸気)が多くなると水蒸気が放出する長波放射量は多くなります。

(3)全天を覆う雲がある場合、それが上層雲でも、下層雲でも地表の放射冷却は同程度に抑えられる。❌
 👉上層雲よりも下層雲の方が放射冷却を防ぎます。晴天の夜間は放射冷却が進みます。雲についてはお布団のようなものと覚えましょう。お布団が上にある(空間がある)時は寒いですが、ピッタリと敷布団とくっついている時は熱が逃げないので保温されますよね。

令和元年度第2回(第53回)問2
正誤問題。大気中の空気塊の温位と相当温位に関するもの。
(1)乾燥空気塊の温位は、どのような気圧においてもその空気塊の温度よりも高い。
 ❌
 👉「どのような気圧においても」という条件での温度の状況の記述が間違いです。
  温位は1000hPaでの気温を絶対温度で示したものです。
   乾燥空気塊では当該空気塊を上限させても温位は変わりませんが、仮に1000hPaよりも低い高度である場合には、温位はそのまま(温位は一定)ですが、気温は高くなります。このような引っ掛け問題は何度も出ていますので、間違えないように気をつけましょう。

(2)湿潤空気塊の温位は、その空気塊の相当温位よりも常に低い。⭕️
 👉エマグラムをイメージすると良いです。もしくは、温位は空気塊が飽和して凝結するまで保存されます。相当温位は乾燥空気に水蒸気の熱量を加味したものですから、設問文は成り立ちます。

(3)乾燥空気が断熱的に上昇するとき、その空気塊の温位は高度にかかわらず一定である。⭕️
 👉エマグラムをイメージすると自信を持って正しい記述であると解答できます。乾燥断熱線に従って上昇させることになります。

(4)飽和した空気塊が水蒸気を凝結させながら断熱的に上昇するとき、その空気塊の温位は上昇するとともに高くなる。⭕️
 👉エマグラムをイメージすると良いです。飽和した空気塊を凝結させながら断熱的に上昇させるとは、湿潤断熱線に従って上昇させるということです(相当温位は保存される)。この場合、湿潤断熱線の傾きの絶対値は乾燥断熱線のそれと比べると小さいので乾燥断熱線を高温位側に横切って上昇していきますから、設問文の通りとなります。湿潤断熱線に沿って上昇すると乾燥断熱線をいくつも跨いでいきます。
 この点は、実技試験対策でエマグラムを使用して雲底高度や雲頂高度を解析する練習をしているうちに自然に身につきます。もちろん、学科試験対策や教科書で練習問題を解くことでも定着します。
 気象予報士試験勉強をするまで全く縁がなかったエマグラムですが、大変便利なグラフだなと思っています。

平成30年度第2回(第51回) 問2
地球が吸収する単位面積あたりの太陽放射量と地球から出ていく単位面積あたりの長波放射量の年・経度平均に関する正誤問題でした。
(1)赤道においては、太陽放射量は長波放射量よりも大きい。⭕️
 👉正しい記述です。赤道から北緯40度付近までは、太陽放射の方が地球からの長期放射よりも卓越しています。

(2)北緯80度においては、太陽放射量は長波放射量よりも大きい。
 👉この設問の前提は年・経度平均に関するものですから、北緯だろうが南緯だろうが緯度80度という高緯度では地球からの放射量(長波放射量)の方が大きくなります。

(3)赤道における長波放射量は、北緯80度における長波放射量よりも大きい。
 👉長波放射量も太陽放射量も低緯度をピークとするお椀を伏せた形をしているので、設問文の記述は正しいです。

(4)赤道と北緯80度における太陽放射量の差の大きさは、赤道と北緯80度における長波放射量の差の大きさよりも大きい。
 👉太陽放射量は深いお椀を伏せた形です(赤道と両極の差が大きい)。他方、長波放射量は浅いお皿を伏せた形です(赤道と両極の差が小さい)。グラフを視覚的に見て覚えましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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