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彩瀬まる『さいはての家』

 何かに追い詰められた人たちが、吸い寄せられるように住む家。その家に住む人たちの生活を描いた連作短編集。
 短編は5本収録されているけれど、私が特に好きなのは、3つ。
「はねつき」…お客さんと駆け落ちした女の子が、本を読むようになって行くうちに、それまでのぼんやりと生きてきた自分から考える自分に変化していく話。
「ひかり」…新興宗教の元教祖だった老婦人が、老いていくなかで、自分の人生と向き合う話。
「ままごと」…親の決めた結婚から逃げてきた姉と、束縛の強い彼氏に違和感を覚えつつある妹の話。彼氏が次第に素の自分を表していくのに周りが分かってくれない描写が、リアリティがあって怖かった。
 彩瀬まるさんはじめ、女のためのR18文学賞は素敵な女性作家さんの宝庫です。男の人も大歓迎なので是非読んでほしい!

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