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山高/海深(やまたか/うみふか)第三章
キングギドラのいる洞窟
エミコの父親は、若い頃、特撮スタッフをしていた。そこで出会ったのが、エミコの母親だ。結婚後、エミコが生まれ、農家の跡取りとして働く現在でも、物置部屋は趣味となった思い出の品で溢れていた。村の子供達は、その部屋に興味津々、飾られたゴム製の着ぐるみが見える窓に、度々張り付いていた。
ある日、テレビで、キングギドラの映画が放映された。翌日、学校は1限目から大騒ぎだった。だって
異形者達の備忘録-27
スクランブル交差点
あと5年 生きてなくても、その5年 共に生きる人になりたいと、先生はそう言って教壇を去りました。
私はユリ、女子高生です。先週、ワンゲル部顧問、吉田冴子先生が退職されました。お別れ会も、さよならする時間さえも無かったです。先生はすでに、チベットに居ます。
登山家の婚約者がチベットで遭難され、救助されたが重症で、意識があるのも数日らしい、ワンゲル部の新しい顧問、岩崎先生から
異形者達の備忘録-26
パパ起きてー
私は宮内ユリ、女子高生です。放課後には、ワンゲル(ワンダーフォーゲル)部の遠征場所調べを図書室でやる。日帰りなら、一泊ならと、いくつかの候補を出しあって、コピーを取った。私の役目は、それを持ち帰りパソコンでいろいろ調べることだ。大変だけど、楽しい。
教室でワイワイと帰り支度をしていると、また来た! 宿敵オカルト同好会の連中だ。足早に近付いて来ると「さっき図書館で、○○峠に行くって