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スイスチーズモデル〜医療ドラマで聞いた懐かしい言葉〜

先日フジテレビ系列で放送された医療関連ドラマで、懐かしい言葉を聞いた。
(懐かしいと言っても1年前の話だが、この1年は「懐かしい」と言う言葉がしっくりくるほど、私にとっては大きな変化を感じる時間なのである。)

その懐かしい言葉とは「スイスチーズモデル」と言う言葉である。

イギリスの心理学者、ジェームス・リーズンが考案した、事故や災害が発生する状況を表現したモデルである。定年退職前の職場が安全衛生担当部署だったので、この言葉は頻繁に耳にしたのだ。

劇中のストーリーは次のとおりである。

入院患者がベットから離れたことを知らせる警報を看護師が確認し、入院患者の病室に行く。そして、まず検出器のスイッチをオフにし、入院患者にベッドから離れないように注意して病室を離れる。

ナースステーションに帰った看護師は、検出器のスイッチを入れたかどうか忘れたので、同僚の看護師にモニターでの確認を依頼する。同僚の看護師はモニターを見て「入っている」と答えるが、彼女が見ていたのは別の患者の表示だった。

問題の患者の検出器は切られたままだった。

そしてその後、患者がベッドを離れて転倒し、急性硬膜化血腫を発症してしまう。緊急手術を行い一命を取り留めることができたが、後にこの事実に対して安全室長でもある看護師長が口にするのが、「スイスチーズモデル」である。

「スイスチーズモデル」とは、いくつもの要因が重なった結果として、最終的な事故や災害が発生すると言うことを意味する。

スイスチーズには多くの穴が空いているが、いくつかのスイスチーズを重ねた際にこれらの穴が重なった状態になった際に、事故災害が発生するということだ。

劇中の例では、看護師がスイッチを入れ忘れた、その確認を他の看護師に依頼した、そして、依頼された看護師が確認を誤った、という少なくとも三つの条件が重なった結果、事故が発生している。

このような事故の再発を防止するためには事故の原因分析は必須である。その際に我々が活用したのは、4M分析だった。

4MとはMan(人)Machine(機械)Media(環境)Management(管理)の切り口で、災害や事故の原因を分析する。

災害や事故の直接的な原因は被災者である「人」と被災者が直接被災する「機械」であり、さらにそれらを接触させる原因となる「環境」である。しかし、それらの根本にあるのが「組織管理」上の原因がある。

このことは事故や災害にとどまらず、多くの問題に当てはまる考え方である。政治の裏金問題はどうか。学校でのいじめの問題はどうか。常に、問題の背景には「組織管理」上の原因がある言っても過言ではない。

劇中の一言からマニアックな話になってしまった。

ちなみにこのドラマは、その日の記憶を翌日には忘れてしまうと言う、杉崎花が演じる主人公の脳神経外科医としての日々をつづる作品であり、毎週楽しみに見させてもらっている。

果たして彼女の記憶はもどるのか、婚約者だった先輩医師との今後はどうなるのか、来週の展開にワクワクするのだった。(笑)

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