ウソじゃないよ　ホントだよ

思い込みって、だれでも結構あるものだと思う。

皆、子供の頃、特に小さい時は毎日が発見で色々な事を学んでいただろう。
その学んだ事は正解だったか？
 
いや思い込みだったか？
勘違いだったか？
それとも分からないままにしておこうか？
 
以前、「思い込みや勘違いは早めに気だつきたい」とエッセイを書いたが、今回は会社の後輩が気になっていた事を教えてあげた時の話について書きたいと思う。
 
平成初期の頃、自分が勤めていた会社は従業員200人ぐらいの中小企業だった。
その頃日本の会社は大企業は事業所ごとか部署ごと、中小企業は会社ごとで社員旅行に行く事が結構あった。

大人の修学旅行が毎年あるような感じで、色々な経験と学びがある良い時代だったように思う。
 
その時の出来事、ある地方に行った時で、小さな山の山頂で休憩をしている時、一人の後輩の女子社員が自分に話しかけて来た。

「すごい竹が、沢山ありますね！」

それを聞いて（竹林が、そんなに珍しいのかな）と思いながら

「そうだね、タケノコが沢山、育ったんだね」と言った。
 
それを聞いた後輩は
ニッコと笑いながら

「またまた～」と、

何、冗談言ってるんですか～みたいな感の表情で言ってきた。
 
その表情を見ながら、言葉を聞いた自分が
「ぇ？」と　驚いたようなリアクションをすると
 
今度は後輩が
「ぇ？」、「えっ！」
 
「ホントですか！？」
と言ってきた。
 
それに対して自分は
「ホントだよ～」
と言うと。
 
「わぁ知らなかった」
と彼女は照れ笑いながら、つぶやいた。

そしてしばらく、じっとしながら遠くの景色を見ていた。
 
すると今度は、反対の下の方で走っている電車を指さして
「電車の上にあるのは何ですか？」
と聞いて来た。
 
自分は
「え？」、「上にあるって、どれ？」
と聞き返すと
 
後輩は自分の目の前で指でひし形を空中に描いてみせた。
 
それを見た自分は
「あ～ぁ　パンタグラフか」
「あれで上にある電線から電気を取っているんだよ」
と教えてあげた。
 
それを聞いた後輩は
「え！」、「そうなんだ、すご～い！」
「ずっと気になっていたんで、知ってスッキリしました！」
と言った。
 
今度は照れ笑いでは無く、ニコニコしながら電車を見ていた。
 
その姿を見た自分はこれは タケノコの事より知らない人が多いから、
（珍しい知識が増やしてあげられて、良かった）と思った時！
 
彼女が自分に言った言葉は！？
 
「あれで、電車の中の電気をつけて車内を明るくしているんですね！」
と言ってきた。
 
それを聞いた自分は慌てて
「そっそ……」
「それも、そうだけど、動くために電気を取っているんだよ～」
と教えてあげると。
 
「えええ！」
と凄く驚いて、また照れ笑いになった。
 
 
最近ではネット検索したり、ＡＩに聞けば疑問に思っている事はすぐに分かる世の中なので、こう言ったやり取りはかなり減っているに違いない。
 
だから、聞かれた時は貴重な時間を得たと思った方が良いように思う。
友人、子供などに聞かれた時は特にそうだ。
 
「ネットで調べれば？」と簡単に言ってはいけない。
 
しかし、自分も分からなかったら一緒にとか、あとでネット調べてから教えてあげるのはアリだと思う
 
その方法は、現代のコミュニケーション方法の一つだろう。
 
それも、いつまで有効かは定かではないが……。