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 パリのケトルはアール・デコ

 

ドリップケトル


ずいぶん前、
蚤の市のお土産でいただきました
フォルムが独特で
お気に入りです
飾ったままにしています

アール・ヌーボではないし、
やはり
アール・デコとおもいます

幾何学模様とフォルムが特徴的

東京都庭園美術館

                                  ケトルから
アール・デコに魅せられていると
この様式で有名な
東京都庭園美術館に
出かける機会がやってきました

東京白金に東京都庭園美術館はあります

アール・デコ様式をいち早くとりいれ、
保存状態が大変よいのです

室内、外観、建物自体が美術品

庭園美術館と名が表すように
推定樹齢200年を超える木々が残り
手入れの行き届いた庭園が
三箇所もありました

今展覧会は旧朝香邸自体が展示品
タイトル「旧朝香邸を読み解く」A to Z

ゲストアーティスト二人も
インスタレーションを展開し
深く読み解く手がかりでした

展覧会パンフレット
美術館正門・緑のプロムナードがお出迎え
本館からのぞむ 緑のプロムナード
東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)正面 アールデコ洋式の建物

2015年(平成27)に重要文化財

2014年に新館ができ
西洋庭園、日本庭園、芝庭
茶室もそなわっている
国際的にみても稀有な美術館

1983年(昭和58)に美術館となり
建設からは90年をこえる

みごとな植栽に築山と鯉が泳ぐ日本庭園・茶室前から望む
ハクセキレイが歩いていた芝庭

1933年(昭和8年)
朝香宮(あさかのみや)邸として建てられる

基本設計は
宮内庁内匠寮(たくみりょう)の
建築家権藤要吉(官命でアール・デコ博も訪れている)

主要部分の内装は
当時のフランスを代表する
装飾美術家アンリ・ラパン
ガラス工芸家ルネ・ラリックが担当

建物は
都心とは思えないほどに
深いみどりが空をおおう
豊かな庭園に守られていた


アール・デコとは

1910年代半ば~1930年代
ヨーロッパ、アメリカ
特にニューヨークを中心に流行

直線的、幾何学図形、機能的で実用的、
建築、家具、絵画、ポスター、工芸、
ファッション等、多岐にみられる
装飾美術様式

1925年(大正14)の
パリの万国装飾美術博覧会(通称アール・デコ博)
アール・ヌーボに次ぐ様式として紹介される

ここを訪れたのが
当時パリに滞在していた
朝香宮(あさかのみや)
鳩彦(やすひこ)王と允子(のぶこ)王妃

ニューヨークの
エンパイアステートビルやクライスラービルは
アール・デコ様式の建築

香水らしからぬ名前の
数字の五を使った
「シャネルの5番」も
同時代の趣向を表している、、、

各お部屋、調度など

正面玄関

ルネ・ラリックによるガラスレリーフドア、床は天然石のモザイク
(東京都庭園美術館発行 旧朝香邸のアール・デコより)
ドア4面・大広間につづく
外国産大理石の宮内庁技手による細かいモザイク

香水塔(次室つぎのま)、シャンデリア(大広間) 

アンリ・ラパンのデザイン セーブル磁器 台座コンクリートに漆
上部に香水をそそぎ照明の熱で香りを漂よわせた逸話より 通称香水塔
ルネ・ラリック作 シャンデリア

大食堂から庭、第一階段

大食堂からの緑もうつくしい
階段 連続するアール・デコの模様

照明、ラジエーターレジスター(暖房機カバー) 
宮内庁内匠寮(たくみりょう)製作

殿下寝室
妃殿下寝室
若宮寝室
合の間
二階広間 日本古来の文様 青海波
食堂にふさわしい魚、貝
殿下寝室 アールデコの特徴 噴水モチーフ
妃殿下デザイン 百合
須田悦弘(よしひろ)のインスタレーション 百合(右手) 
妃殿下デザイン グラジオラス

上記以外にも紹介したい空間がいたる所にありました

朝香宮允子王妃とその知られざる魅力 (1891年~1933年)

1910年
明治天皇第八皇女 允子(のぶこ)は
(1891年~1933年)
久邇宮(くにのみや)朝彦親王 第八皇子 鳩彦(やすひこ)とご成婚
(1887年~1981年)

アール・デコ博覧会を見学される朝香宮両殿下(旧朝香邸のアール・デコより)


1922年(大正11)鳩彦(やすひこ)王渡仏
1923年(大正12)允子(のぶこ)王妃、
        交通事故にあわれた鳩彦王の看護で渡仏
1925年(大正14)両殿下7月アール・デコ博見学、12月帰国

1933年(昭和8)    5月朝香邸竣工
           6月新邸に移る
           11月允子妃 薨去(こうきょ)42歳 

お住まいの旧高輪邸は関東大震災(1923年)で
大きく被災し新邸が計画される

新邸建設には
宮内省内匠寮の技師、
アンリ・ラパン、
ルネ・ラリック等が携わる

そこに両陛下、とくに
この人なくしては語れない
允子妃殿下が携わる

妃殿下は
現地に住むデザイナー等と
熱心にフランス語で
コンタクトをとり

カタログや見本帳で
好みのものを見出すために
家族の輪の中心となり
意見をまとめている


帰国後も現地から取り寄せた
ファッション誌を読まれていた

芸術には以前から造詣が深く
フランスでは水彩画を
帰国後には油彩をならっている

允子妃のスケッチ帳と水彩画
允子妃の水彩画 グラジオラスとアイリス

これらの絵も下絵になり
おおくのラジエーターレジスター(暖房機カバー)が
作成されたのであろう


この美術館
西洋のアール・デコと
日本のアール・デコ、
すなわち、日仏のデザインがゆうごうし
未来へ継承すべき文化財となっていた



展覧会場を後にして
小雨の前庭を娘と散策すると
人の背丈以上の椿が見事であった

千重(センエ)咲 つばき

与えられた世界で
その力と魅力を華麗に花咲かせ
散ってしまわれた42歳の一生が胸に迫る

咲き誇る椿のみごとさは
允子(のぶこ)妃のようにおもえて
ならなかった 




追記 
上記のツバキの紹介をみつけました。
2024年5月10日のX(ツイッター)より
                                   東京都庭園美術館 / Teien Art Museum

@teienartmuseum                           オトメツバキのご紹介

#庭園の四季シリーズ 古くからあるユキツバキ系の園芸品種でツバキの中では遅咲き、花びらが多いのが特徴です。 まるい花びらが重なり合い、美しく可憐に咲いています。 だんだんと散り始めているので、ぜひお早めにお越しくださいませ! #東京都庭園美術館 #旧朝香宮邸 #庭園      (2024/05/14夜 パラソル追記) 


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