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扇子から香木へ



昭和の扇子と匂い袋

今ではどこでもエアコンがありますが
昭和時代のおでかけには扇子がおとも。

薄地い絽の着物に扇子のご婦人、
パナマ帽に和服や背広の
少しおおぶりの扇子の殿方を
みかけたものです。

そばに座ると
会話とともに変わる
扇子のリズミカルな手の振りが
なんとも魅力的でした。

ふわ~っと漂ってくる
すこし大人びたゆかしい香りも
心地よいものでした。

それは地色がくすんで
手に馴染んだ
白檀の扇子からでした。

白檀の扇子(山田松香木店)三年ほど前のご紹介より
香る木片一枚ごとの透かし彫り


干支香飾り(山田香木店)

におい袋の香りもおぼえています。

和タンスの引き出しをあけると
着物といっしょに
しずかにお線香のような空気がひろがりました。

扇子とにおい袋
どちらも私の青春時代に身近でした。

そうだ京都でお香を身近に感じよう

京都に旅すると決めた時
和の香りをもっと知りたくなり
山田松(やまだまつ)香木店をたずねました。

はじめて香りを聞(き)く(香を嗅ぐではなく聞く)
聞香(もんこう)体験ができました。

それは組香(くみこう)といい
はじめに出された香を覚え
次に出された香が
それとおなじかどうか当ていく
ゲームです。

数組の香りを聞いただけでしたが
鼻がよいと自慢の私でも
当りそこねました。

お座敷の正座と
はじめての体験に
緊張しまくり、写真も撮れずでした、、、

最近は椅子席の「聞香」サロンがあります。 

武士のお香

安土桃山時代の
お香を聞くようすが
大河ドラマ「どうする家康」で
とても印象的でした。

明智光秀(細川ガラシャの父)の
軍議大テーブル上に
各武人用の香炉がそれぞれ
置かれていました。

光秀本人の教養深く文化人の側面が
何気なくわかるように
香炉を持ち上げ香を(その演技は好みではありませんでしたが、、、)
聞いていました。

当時は茶道と同じように
香道も武士のたしなみ
精神的安定に寄与していたのでしょう。


香木・蘭奢待(らんじゃたい)

香道の歴史をのぞいていると
蘭奢待という香木をよく目にしました。
正倉院の宝物です。

全長156㎝・最大径43㎝・重量11,6㎏
上記以外にも足利義満・義教・家康、
名前不詳の切りあと50ほど

この香木は「黄熟香」(おうじゅくこう)と
正倉院(東大寺の倉庫)目録にあります。

雅名は「蘭奢待」です。
文字の中に
東大寺の文字がかくれています。
香銘は「東大寺」。

東大寺・聖武天皇の創建

蘭奢待は顔を近づけると
わずかに
沈香(じんこう)特有の香りがするそうです。

沈香は温めて樹脂をとかし
香りをたのしみます。
ちなみに
白檀は常温でもよく香ります。

明治天皇の東大寺での聞香は
「薫煙芳芬(くんえんほうふん)として行宮(あんぐう)に満ちた」
「かぐわしいよい香りが建物に満ちた」
と記録されています。


香りつれづれ

切り取られた蘭奢待の木片が
たどった足跡はとても興味深いものでした。

信長は良い香炉をもっているからと
茶人・千宗易(利休)、津田宗及にあたえました。
それは大名茶人細川三斎のお茶会で
使用されています。

東福門院(徳川和子)、
香道志野流・蜂谷家などをへて
徳川美術館におさめられている
木片もあります。

他のながれでは
京都の御寺・泉涌寺(せんにゅうじ)でも
大切にされているそうです。

さてさて独断と偏見で
書きつづけましたが

和の香りの他には
ほのかに香る
ラベンダーなどのハーブの香り、
柑橘系の香りも好きです。

よくばりパラソルさんですよね!

そうそう、よくばりついでに
夏の香草(ハーブ)、
青紫蘇(大葉)、みょうが、しょうがは
細かくきざむと爽やか。
冷やっこのおともです。

ちいさい時からず~っと、
お台所からただよってくる
カレーライスの香りも大好きです。(笑)

また少し脱線しました。
ごめんなさい。     

以上、これでおしまい。




見出し画像のdebupinoko様、
金魚が涼しさをとどけてくれてますね!
ありがとうございます。





















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