緑の地球ネットワーク

認定NPO法人緑の地球ネットワークは1992年から中国黄土高原で緑化協力活動をおこなっ…

緑の地球ネットワーク

認定NPO法人緑の地球ネットワークは1992年から中国黄土高原で緑化協力活動をおこなっています。国内では自然や環境をテーマにした野外活動やオンライン勉強会などを主催しています。ここはメルマガ『緑の地球マガジン』のアーカイブです。 https://gen-tree.org/

マガジン

  • 黄土高原だより by 高見邦雄

    書き手:高見邦雄(GEN副代表) 中国黄土高原と日本を往復しながら、国際緑化協力のつれづれをつづります。

  • 植物屋のこぼれ話 by 立花吉茂

    緑の地球ネットワーク(GEN)の前代表の立花吉茂さんがGEN会報『緑の地球』で執筆した植物についてのエッセーをGENのnote上で公開しています。

  • 黄土高原史話 by 谷口義介

    書き手:谷口義介(GEN会員) 研究分野は東アジア古代史・日中比較文化。寄る年波、海外のフィールドはきつくなり、いまは滋賀の田舎町で里山保全の活動。会報に「史話」100回のあと、引き続き「紀行」を連載中。

  • SDGs再考:緑化の周りに目を向けたとき by 原裕太

    書き手:原裕太(GEN世話人、東北大学助教) 黄土高原をはじめ各地のフィールドで人と自然の関わりに注目している若手地理学者。 東北大学で国際防災の最前線に関わりつつ、東京大学のSDGs・教養教育にも参画中。 緑化の周りで関連して存在する色々なもの・ことに焦点を当ててお話します。

  • 自然資本とコモンズ by 長坂健司

    書き手:長坂健司(GEN事務局)森林や大気など、自然によって形成される資本のことを自然資本といいます。この自然資本から薪炭や木材の供給、水資源の涵養、土壌流出の防止、気候変動の調整などのサービスが提供されています。また、自然資本の所有者やそれから生み出されるサービスの受益者は必ずしもひとりではないことから、コモンズの観点から検討することがしばしばあります。ここでは、現在直面する環境や社会課題の解決にとって重要な「自然資本とコモンズ」について考えてみます。

最近の記事

  • 固定された記事

緑の地球ネットワーク(GEN)の紹介

初めまして。緑の地球ネットワーク(GEN)です。 緑化、環境、国際協力を主なテーマに、1992年から活動を続けているNPOです。 中国黄土高原での緑化協力は30年の実績があります。山西省大同市、河北省張家口市蔚県で植樹してきた本数は1900万本を超え、面積は山手線の内側、大阪環状線のふたつ分に迫ります。協力活動開始当時は貧しかった中国も、いまや日本を追い越す経済大国となりました。しかし、細々と続けてきた民間の国際協力をこの状況下でやめるわけにはいかないと、援助ではなく対等なパ

    • 黄土高原における緑化の意味 by 高見邦雄(GEN副代表)

      ======================  地球環境のために木を植えよう、それが私たちの出発点ですけど、協力の現地ではそこの課題を見極め、地元の人たちの望みと結びつける必要がありました。キーワードは「水土流失」。 ======================  黄土高原の範囲には諸説あり、面積も異なりますが、山西省の通説では52万㎢で、日本の国土の1.4倍もあります。私たちが通いつづける山西省大同市、河北省張家口市蔚県はその東北端に位置します。  全体が雨の少ない土地です

      • 植物を育てる(11)by立花吉茂

        野生植物を育てる  野生植物は性質が強いから育てやすいだろうと考える人がいるだろうが、実際は反対で、野生植物を育てるのは大変むずかしいのである。日本一の栽培の大家といわれていた玉利幸次郎先生が生前、「春と秋の七草を種子から育てることができたら、わたしは坊主になってもいいよ」と若い私に言われてびっくりしたことがある。なにもしらなかった私は「しんまいだと思ってなんたることをおっしゃる」と内心おだやかでなかったが、やってみると、まず第一に種子を取るのが大変で、第二番目に種子が発芽し

        • 黄土高原史話<48>匈奴の使者は見破った by 谷口義介

           宮城谷昌光氏の『三国志』は単行本でいま第七巻目。劉備が蜀に入って、ようやく魏・呉・蜀鼎立(ていりつ)の形勢ができあがり、いよいよ佳境を迎えます。  そもそも三国志にはジャンルの異なる二種類あり。一は西晋の寿(じゅ)(233~297)によるレッキとした歴史書『三国志』、他はこれにもとづき明末・羅貫中(らかんちゅう)が小説化した『三国(志)演義』(16世紀)。後者は唐代後半(9世紀)からあった講談・戯曲の流れをうけて、グッと蜀びいきに舵(かじ)を切るが、その翻訳が元禄年間(1

        • 固定された記事

        緑の地球ネットワーク(GEN)の紹介

        マガジン

        • 黄土高原だより by 高見邦雄
          17本
        • 植物屋のこぼれ話 by 立花吉茂
          29本
        • 黄土高原史話 by 谷口義介
          48本
        • SDGs再考:緑化の周りに目を向けたとき by 原裕太
          11本
        • 自然資本とコモンズ by 長坂健司
          2本
        • 黄土高原に生きた人々の歴史物語 by 村松弘一
          11本

        記事

          いま能登の里山里海の価値を再考する by 原裕太(GEN世話人、東北大学助教)

          ======================  今年1月1日、能登半島地震が発生しました。多くの方が亡くなり、また多くの方が現在も困難に直面しています。筆者は学生時代を金沢で過ごし、石川県には今も多くの友人がいます。かつ、この震災に関する国の調査研究(突発災害科研)のメンバーでもあります。今回のメールマガジンでは、今後の復興を見据え、自然と共生した暮らしの象徴であった「能登の里山里海」の価値を再考したいと思います。 ======================  2011年、

          いま能登の里山里海の価値を再考する by 原裕太(GEN世話人、東北大学助教)

          植物を育てる(10)by立花吉茂

          里山と休耕田 農耕のはじまる以前の日本の自然 針葉樹林帯…北海道の東北部…エゾマツ・トドマツ・ハリモミ・ツガ・トウヒなど。 落葉樹林帯…北海道の西南部~東北地方~中部山岳地帯…ミズナラ・ブナ・ハリギリ・ケヤキ・ニレ。 照葉樹林帯…中部地方以南(西)…タブノキ・スダジイ・コジイ・アラガシ・イチイガシなど。 縄文・弥生→農耕がはじまる→海岸から河川の流域に農耕をはじめる。渡来人の増加、食糧の安定供給から人口増加→河川流域から周辺の平坦地の森林伐採、焼き畑、開墾、農地化(5000~

          植物を育てる(10)by立花吉茂

          黄土高原史話<47>寒い冬がやってきた by 谷口義介

           私事ながら、筆者が住んでいるのは滋賀県北部、琵琶湖と伊吹山に挟まれた地方都市。30年ほどまえ一戸を構えたが、文字どおり一階建ての陋屋(ろうおく)です。経済的事情もさることながら、生来の高所恐怖症とて、二階家だと屋根からの雪下ろしが恐ろしい。多い年には、優に1メートルを越すことも。視界が限られ恐怖感が薄らぐので夜に雪下ろしをするわけだが、平屋でも軒先近くでは脚がすくんだ。ところが、ここ25年ほどは、降った年でも約30センチ。家のまえの道路の除雪も、ずいぶん楽になりました。  

          黄土高原史話<47>寒い冬がやってきた by 谷口義介

          植物を育てる(9)by立花吉茂

          里山は復活できるか 里山はどうなる?  里山復活論がでている。もともと里山は原生林を切り払ったあとの二次林である。西日本の照葉樹林のような原生林は暗くて利用しにくい。そこでアカマツ・コナラ林のような利用しやすい二次林に手を加えて里山とした。現在のように里山にすら入らない状態ではこの維持は大変むずかしいだろう。遷移が起こって樹種が増え、原生林へと戻っていくだろう。しかし、それにはずいぶんと長い年数がかかるはずである。その長い年数のあいだには、人による干渉や山火事など思いもかけぬ

          植物を育てる(9)by立花吉茂

          黄土高原史話<46>緑化のしすぎが断流のもと? by 谷口義介

           中華の民にとって黄河はまさしく母なる河。だから、ふだん黄色いこの河が澄んだといっては、大騒ぎ。08年、壺口瀑布の上流で河清現象が見られたとき、凶事が起る前触れか、あるいは聖人出現の予兆かと、古典を引きつつ、ネット上で喧(かまびす)し。まして、黄河の流れが絶えでもしたら、国家的な大問題。ところが、1972年、史上初めて起ってから、下流まで水の届かない断流が続発、97年にはピークに達し、330日間も水が涸れた。これは由々(ゆゆ)しき大事だと、2000年、政府は所管の部署に命令し

          黄土高原史話<46>緑化のしすぎが断流のもと? by 谷口義介

          自然資本とコモンズ(2):森林の多面的機能 by 長坂健司(GEN事務局)

          ======================  自然資本の1つである森林が生み出す多面的機能は8つあります。普段、あまり意識していない森林の幅広い役割について、自然資本の観点から再確認してみましょう。もはや、森林の多面的機能を無償で享受できる時代ではありません。企業であっても、自らの企業価値を創造しようとするならば、自然資本の維持に貢献する必要があります。 ======================  自然資本には土壌、水、大気といろいろありますが、ここでは、森林に注目して

          自然資本とコモンズ(2):森林の多面的機能 by 長坂健司(GEN事務局)

          植物を育てる(8)by立花吉茂

          造林と自然復元  いままで自然復元のための「種子を蒔く→苗を育てる→苗を植える」順序を書いてきた。世間では森林を造るための植林を「造林」と言っている。「造林」は読んで字のごとく「林を造る」ことだが、人類がやっている「造林」は最終的には樹木を収穫物とする「単一栽培」にすぎない。これを私たちは「林業」と呼んできた。昔から「農業は1年ごと」「林業は100年ごと」と言われたりした。100倍も年数が違っていても「育てる」という点では同じである。日本では自然林を切り開いてスギやヒノキが植

          植物を育てる(8)by立花吉茂

          黄土高原史話<45>「河清」はやはり植林で by 谷口義介

           人あり、王星光・彭勇「歴史時期的“黄河清”現象初探」(『史学月刊』2002年第9期)と、汪前進「黄河河水変清年表」(『広西民族学院学報(自然科学版)』第12巻第2期、2006年5月)を送ってくれました。これをベースに数え直すと、「河清」なる現象、後漢の桓帝延熹八年(165)から昨2008年までの1843年間に111回、つまり約17年に1回の割合で起っている。したがって前回、「約32年に1回」と書いたのは、お詫びのうえ訂正ということに。  2論文が引く資料によると、「河清」は

          黄土高原史話<45>「河清」はやはり植林で by 谷口義介

          黄土高原に小型風力発電機を持っていく by 村松弘一(GEN世話人)

          ======================  いまや世界をリードする中国の風力発電。しかし、20年前は違いました。日本から黄土高原に小型風力発電機を持ち込んだ時のドタバタ、思い切って公開します。 ======================  今回は今から約20年前、2005年のお話です。この話は私の中国史の授業では「鉄板ネタ」です。あまり公にしてはいけないような話もあるかもしれませんが、もはや時効となっていると思いますので、思い切ってみなさんに公開します。  この時期、

          黄土高原に小型風力発電機を持っていく by 村松弘一(GEN世話人)

          植物を育てる(7)by立花吉茂

          苗を育てる  スギやヒノキのような造林樹種は苗を購入することもできるが、自然を復元させるための野生樹は種子集めから始めなければならない。それについては、前処理とともに前号に書いたのでここではふれない。苗の育成は鉢育苗と苗畑育苗とがある。また、最初鉢に蒔いて幼苗のときに苗畑に移植する方法もある。ユーカリやモクマオウのように最後まで鉢でないとだめな種類もある。このような種類の2~3年生のやや大きい苗を育てるのはなかなかやっかいで、縦に長い鉢が必要になる。ビニール製、パイプ、土管、

          植物を育てる(7)by立花吉茂

          黄土高原史話<44>「千年、河清を俟(ま)」たなくても by 谷口義介

           少しだけ前回に溯(さかのぼ)ると。  「黄河の水が澄むことなどありえない」という通念は、「黄河」という名が出てくる以前、単に「河」と呼ばれていた春秋時代、すでに定着。だから、それを待つのは無駄なこと、の譬(たと)えとして用いられていたわけ。前漢の初めに「黄河」という名が初出。後漢に入って張衡(78~139)という科学者・詩人も、「河の清(す)めるを俟つも未だ期(あ)はず」(帰田賦))と歌っている。  ところが、彼の死後20年ばかりたった桓帝の延熹八年(165)、 「夏四月、

          黄土高原史話<44>「千年、河清を俟(ま)」たなくても by 谷口義介

          巨樹に親しむ 野間の大ケヤキ by 前中久行(GEN代表)

          ======================  どの地域であっても比較的身近に大きな樹木があります。大きな樹木をみると感動します。その大きさとともに経過した悠久の年月へ想いがいたるからでしょう。今回は大阪府にあるケヤキの巨樹を紹介します。寄生しているヤドリギもとりあげます。 ======================  2月と3月のGENなんでも勉強会では、ヨーロッパの巨樹や森林が取り上げられています。2月の勉強会では、ミュンヘン市内に点在する巨樹についてお話しいただきまし

          巨樹に親しむ 野間の大ケヤキ by 前中久行(GEN代表)