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ドヴィド・ベルゲルソン/デル・ニステル『二匹のけだもの/なけなしの財産 他五篇』訳者解説(text by 田中壮泰 and 赤尾光春)
イディッシュ語の成立過程 ローマ帝国時代にパレスチナの地(当時はローマ帝国のユダヤ属州)を追われ、ヨーロッパを中心に世界各地に離散したユダヤ人たちは、行く先々で土地の口語を取り入れていった。そして、それらの言語に、彼らがもともと使っていたヘブライ語やアラム語の要素が混ざり合うことで、ユダヤ・ギリシャ語やユダヤ・フランス語といった様々な混成言語が生まれた。そのほとんどは時が経つにつれて土地の言語に吸収され、消滅することになるが、現在まで生き延びたものもあり、その一つがイディ