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出産の本音

なんだか眠れないので、出産について忘れたくないことを記していく。

入籍してから1ヶ月ほどで妊娠した。
漠然とだけれど、とても嬉しかった。
日に日にお腹が大きくなる。つわりで立ちくらみが起き、仕事を休む。会う人みんなに「おめでとう」と言ってもらえる。
徐々に妊娠を実感し、とにかく幸せだった。

誰が見ても妊婦とわかるくらいにお腹が大きくなった頃、予定通りに産休に入った。
お腹の張りがとにかく辛くて、
「早く出てきてね」と毎日話しかけた結果、
38週5日で出産。
その「出産」がとにかく辛かった。

どの痛みが陣痛かもわからない状況で
なんとなく10分おきに痛みがくるような気がした。おしるしもちょこっとあった。
産科へ行ったがまだ早いと言われ家に戻り、丸一日経ってもう一度トライ。
入院となり、初めの頃は美味しい食事やテレビを楽しんだ。

だんだんと痛みが強くなった。
お腹の中を剣山でグリグリ掻き回されている感じ。それが5分に1回くる。ピークがそれなだけで、基本ずっと痛い。
思ってたのと違った。テレビとかでは「鼻からスイカが出てくる感じ」とか表現されていたがそんな甘っちょろい痛みではなかった。

どうにもならないくらいくるしくて
帝王切開してくれと助産師に懇願したが
スルーされ、実母にずっと背中をさすってもらい、手を握ってもらい、丸一日陣痛室で過ごした。
こんな苦しいことは初めてだった。
寝ずに仕事をしたときや、パワハラを受けていたとき、大火傷した時。
これまでの苦しみを全て思い出したけど、
陣痛に勝るものはなかった。

助産師さんの「あともう少し」なんて信用できず、全然子宮口が開かなかった。
トイレの戸棚にある洗剤を見て、
「これを飲めば楽になれるのかな」と思ったりもした。
二度と妊娠するものかと心に決めていた。
でもこの状況から逃げることはできないと覚悟を決め、母に沢山励ましてもらい、とにかく頑張った。

分娩室に移ってからは力を入れて踏ん張って良いと言われ、子宮から異物がニョロニョロ出てくる感覚になった。
特に説明もなく会陰切開され、脚には包布がかけられ、暇そうにしていた助産師さんが忙しく動き始めた。
「力を抜いてください」と言われ、
ニョロっと異物が出きった。
その瞬間、赤ちゃんの泣き声が聞こえた。

涙が止まらなかった。
痛みがなくなった嬉しさと
赤ちゃんが無事に産声をあげてくれた安心感でいっぱいだったのだろう。

あれだけ苦しかったのに「もうひとり産んでもいいかな」と思った。
赤ちゃんがとにかく愛おしくて、
私が母になったのが夢みたいで、
あの時間は一生の宝物だ。

その赤ちゃんが今となりでグースカ眠っている。私は幸せだ。

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