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音楽、哲学から湧き出る内なる物語を綴る、心の旅です。

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035_パソコン音楽クラブ「Night flow」

僕は誰もいない朝の公園でひとり佇んでいる。 こんな朝早くに公園にいる人間などちらほらしかいない。ベビーカーで子供連れの若い母親、ベンチで頭をうなだれているホームレスっぽい身なりの年配の男性。車通りのないところにある公園だから、幾分静かなもんだ。 僕の住んでいるマンションは5階で、目の前には、巨大な高速道路が横たわっている。どうしても、朝は通勤やら流通やらで車が高速で行き交いひどい騒音で否応なく起こされてしまう。排気ガスも立ち込めるので、爽やかな朝とは対極にあるようなものだ。

    • 1115_意思と実行力

      「今まで不満を言わずに、言われたことを真面目にやっていくことが良いことだと思ってやってきました。でも、どうやらそれも間違っていたようです」 「そうかね」 「言うべき権利は、主張せねばならない」 「君ね、みんながみんな主張ばかりしていたら、まとまるものもまとまらなくなるだろう。大きな、組織というものは維持していくにはだね」 「わかっています。主張ばかりしている人に対して聞く耳を持つ人は少ない。だから自分の主張を通すだけの意思と実行力がいる」 「ほう」 「つまり、自らの意思と実行

      • 1114_あなたの代わり

        「係長、また昨日も遅くまでやられてたんですか」 「あ、まあ。ちょっと来週のプレゼンの資料の読み込みをしようと思って。いや、俺の頭が追いついてなくて、なかなか頭に入らなくてね。全然俺のことは気にしなくていいから」 「先週も例の案件で遅かったじゃないですか。あんまり無理されない方がいいですよ。なによりご家族の方も心配されるでしょう。お子さんもまだ小さいんでしょうし」 「まあ、家族は大丈夫だよ。俺みたいなのは頑張ることくらいしかできないから」 「あのですね、係長。前から申し上げよう

        • 1113_田舎の家

          「いつまで、この家に住み続けんの」 「でも、私、この家しかいられんし」 「お母さんが望むんやったら、違う場所で一緒に住んだらいいやん」 「違う場所かて、あんた…。東京とかなんてよう住まれへん」 「ここにいなきゃいけない理由があるわけじゃないんやろ?」 「そら、ほかに行き場所がないから」 「でも、できたらもっと住みやすい家に住みたいって、いつも言ってるんやし。この家、おじいちゃんが兄弟の反対を押し切って無理矢理建てたから、いろいろおかしいとこがあるんやって言ってたやん」 「そう

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        035_パソコン音楽クラブ「Night flow」

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        記事

          1112_MP消費

          先週一週間、iPhoneのバッテリーがイカれていたことが原因で、常時スマホをいじることができなかった。 あれだけ日頃スマホをいじっているから、あるべきものがないということで、手持ち無沙汰な感覚は当然あった。 それはさておき、それが原因かなにか知らないが、どこかせいせいしているというか、気分がサッパリしていた気がする。まるで借金でもなくなったように、空が青く見えて、背中に羽が生えたかのような軽やかさがあった。 それがどうだろう。日曜日にiPhoneをはれて買い替えて、ソフ

          1112_MP消費

          1111_優秀な部下

          「はあ、もうしょーもな」 「おつかれ」 「たぶん、これ言っても無駄なんかもしんないけど」 「どうした?」 「たぶん、会社の上の人、自分が言ったら、思ったとおりのものがなんでも出来上がって、目の前に出てくるとか今でも思ってんのかな、って」 「まあね」 「もうそういうのを人に頼む時代じゃないんだけど。徒弟制度やってるわけじゃないんだから」 「昔と今は違いますから」 「親方と弟子ごっこをやりたいんなら、どうぞ、そういう仕事はAIに頼んであげればいいんじゃないですかね、っていう。それ

          1111_優秀な部下

          1110_伴走者

          登り坂を終えて、ここからの川べりに向かうための、下りの坂道は特に力を入れずとも、ある程度のペースを保ったまま、走っていける。 妻曰く、自分のペースを保ったままで下り坂を下りていくのもいいトレーニングになるだという。 体全体に、ある一定程度の負荷を伴った感覚が、心地よい。額に落ちる汗が、5月の強い風にさらわれていく。走るスピードに反比例するように、鈍く感じる膝と足腰の疲労感も小気味よいスパイスになる。 快走したまま、回送電車のように回想する、人生のあらゆる場面を。人生はゴ

          1110_伴走者

          1109_Apple Store

          iPhoneを表参道ほApple storeに買い替えに行った。3年半使ったiPhone 12miniのバッテリーが完璧にイカれてしまい、奥さんからいい加減替えたらと言われ、高いものじゃなくてもPhone SEで十分よ、というので、元より自分から最初からそのつもりだった。 最新のiPhone15など、自分にとってはオーバースペックだ。現在使っているiPhone 12miniの64GBの容量の半分も使い切れていない。その機能のほとんどが使いこなせないので、いらない。 どうや

          1109_Apple Store

          1108_意思

          主体性のない人間は、やがて搾取される。意図する者と意図しない者で世界は別れる。 日本のように、これまで寄らば大樹の陰にいた人々もやがて、いつのまにか今までとは違う世の中になったと気づくことになるだろう。 自分の考えというものを掲げずに、思考停止した者から魂が刈り取られて、違う誰かの糧にされて、やがて血の通わない石になっていく。 意思あるところに、道あり。自分の意思で自分の道を切り拓く者だけが、歩いていける道がある。そして、その道を歩ける人だけが、違う誰かを導くことができ

          1108_意思

          1107_コミュニケーションコスト

          コミュニケーションコストというものがある。 「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」という言葉があるとおり、コミュニケーションの中でも一番たいへんだと思うのが、そのもの「人を動かす」ことなんだと思う。 子どもをなんとかやる気にさせたい。部下に仕事にやりがいをもって取り組んでもらいたい。夫にも家事にコミットして欲しい。 人になにかをしてもらうために、自分が相手に対してなにをしなければならないのか。相手にどう理解してもらうのか、一番工夫の必要な

          1107_コミュニケーションコスト

          1106_中国人の世界観

          「最近、スケボーやってる子多いわよね」 「若い子でメダル取った子いたからでしょ。自分もやりたいって思うわよね。あれでうまくやれれば、オリンピック出れるからね。夢があると思うよ」 「そうそう、スケートボードひとつあれば一人でできるんだから、野球とかサッカーの集団競技に比べれば、コスパいいわよね」 「若くて体が軽い間しかできないからね。若い子が成功を掴む手段になるのやも」 「だから、早速中国が目をつけて、スケボーに国を上げて力を注いでいくってニュースでやってた」 「出た。わか

          1106_中国人の世界観

          1105_朝の小道

          おそらく、今日は徐々に天候は悪化する。 母親から予想外のメールが届く。 相変わらずスマホのバッテリーはイカれちまっている。 奥歯の具合があまり良くない。もしかしたら、歯周病かもしれない。 朝、3駅ほど前に降りてからの、通勤路を歩きながらとりとめなくいろんなことを考える。 木々はざわめき、電車や車は街に噛みつくように、大きなノイズを立てながら高速で行き交う。人々は相も変わらぬ様相で無関心を装う。 その一瞬一瞬、周囲の状況や周波数のようなは刻一刻と変化して、情報の粒子が自分の周

          1105_朝の小道

          1104_iPhone

          iphoneのバッテリーがついにイカれてしまった。 100%の充電完了したのに、少しいじっていると電源が落ちてしまって、次に起動した時には強制的に10%になっている。おかげでmobile Suicaで駅に入場したあと、電車に乗って出るときに反応してくれなくて現金を払わざるをえない状況に陥ってしまった。当然、移動中は音楽も動画も楽しめない。 おいおい、どんな罰ゲームなんだ。 確か購入したのが3年半前の2022年の11月。妻が入院してどうにも時間を持て余していたので、ヒビの

          1104_iPhone

          1103_羊飼い

          「羊の赤ちゃんってかわいいよなー」 「生まれたばかりの動物はなんでも可愛いのよ」 「次、生まれ変わったら、羊飼いにでもなりたい。草原とかで羊を放牧してるとこをずっと眺めてるの」 「たぶん、あなたの想像する羊飼いとその実際の生活はものすごいギャップがあるわよ」 「そうかな」 「羊飼いって、アルプスの少女ハイジのペーターみたいな、なんかのんびり羊の面倒見てるだけとかそう思ってるでしょ」 「いやまあ、いろいろあるだろうけど」 「そもそも動物相手にする仕事なんて、超大変なんだからね。

          1103_羊飼い

          1102_ DARK SIDE OF DONUTS

          「あそこ行ってみようよ、公園の横の」 「なに?なんかあったっけ」 「ドーナツ屋さん、すごい並んでるの」 「へえ、そんな流行ってたんだ。知らんかったわ」 「すごい可愛いドーナツ売ってるの。並んでみる価値はありそうよ」 「ほいほい」 「あ、ここ。こんなところにドーナツ屋さんあったのね」 「すごいお客さんね」 「ええっと、このお店、DARK SIDE OF DONUTS? 」 「何?」 「ええっと?ダークサイドのドーナツなの」 「ダークサイド?」 「いや、そう店名に書いてあるから

          1102_ DARK SIDE OF DONUTS

          1101_成長

          「いや、もうなんか自分の下に部下いるんですけど」 「え、マジ?もうおまえ、部下いんの。結構同期の中でも早くない?」 「どうなんですかね。わかんないですけど。しかも、中途採用の年上の人と新人の子2人で」 「じゃあ、おまえがその中間なんだ。上司なのに。大変だね」 「そうなんすよね。んで、年上の部下の人、結構、昭和なんですよ、割と」 「ああ、それは大変だね」 「それで、年下の子は、マジZ世代で令和なんですよね」 「となると」 「真ん中の自分が挟まるんですよ。いろいろ、年上の人にこれ