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隣室で繰り返される父の凶行に、やがて僕は…

「ズル… ズルズルッ… ズル…」

まただ…
また父の部屋から
何かを引きる音がする

「ドサッ! ゴツンッ!」

それに続いて
縁側えんがわから庭に何か重たい物が落ちた音…

「ズル… ズルル…」
「ザクッ! ザクッ!」

庭の隅まで引きずった後…
シャベルで土を掘る音が聞こえる

「ドサッ!」

「ザッ! ザザッ !ザッ!」
「パンパンッ!」

埋めたんだ…
自分の部屋から引きずったモノを
父は庭に穴を掘って埋めたんだ
そして、地面を固めた…

「ガラガラッ! ピシャッ!」

父が自分の部屋に戻ったようだ…

僕は布団ふとんを頭までかぶ
ガタガタと震えながらつぶやいた

「これで何度目だろう…?」


********


母が死んでからの数か月…
父はほうけてしまったかの様に
無気力で何もしようとせず
まるで死んだ様な有様ありさまだった

それがある日…

珍しく出かけた父は
美しい一人の女を連れて帰って来た
そして自分の部屋にこもり女と過ごした

父の部屋から聞こえてくる
ギシギシという床のきしむ音…
そして激しい息遣いと
女のあえぎ声…
ときおり絶叫も聞こえた…

僕は興奮して眠れなかったが
隣りの物音を聞きながら一人で自分を慰め…
女の絶叫と共にてた僕は
いつの間にか
ぐっすりと眠っていた…

深夜に物音で目を覚ました僕は

父が何かを庭まで引き
地面に穴を掘って埋める物音を
自分の部屋で震えながら聞いていた…

その後…
女が父の部屋にいる気配も
女が帰って行った様子も無かった

翌朝、廊下で会った父は
とてもすこやかな顔をしていた
そして僕に笑って挨拶あいさつをした

「おはよう…」

僕は女がどうなったか
父が何をしたのか考えるのを止めた…

僕はただただ…
昨夜の父が恐ろしかったんだ…


********


それからの僕は
今日までの数か月間…

数日ごとに繰り返される
父の部屋での凶行に悩みながらも
何も言い出せずに
父と二人で暮らして来た

隣室で父が凶行に及ぶたび
毎回、僕は恐ろしくて
自分の部屋を出て廊下から
父の部屋の様子をのぞく事が出来なかった…
そして、父を問いただす事も…

ぼくはただ…
父の部屋とをへだてる壁に
耳を押し付け
隣りの物音を聞くのみだった

今日も隣の部屋で
父と女が繰り広げる痴態に耳をまし
そそり立つ自分自身を握りしめながら

恐ろしさに震えながらも
出したら眠りにつけるのだろうな…
もう慣れてしまったから…

そう思いながら右手を激しく動かし
おびただしい量の精を放出した

興奮が落ち着いた僕は
やはり、どうしても考えてしまう…

いったい…
今日の女で何人埋めるんだ…
いくら、うちの庭が広いって言っても
もう地面が一杯なんじゃないか…?

このままだと、いつか隣人に気付かれ…
警察が踏み込んで…

ああ…母さん

僕はどうすればいいんだ…
父の凶行を止めるべきなのだろうか?

でも…
そう考えながらも

最近、僕は気が付いたんだ
この父の狂った行いが
だんだんと嫌いでは無くなっていた事に…

僕は徐々に変わって来た…
そして、いつからか
こう思う様になっていたんだ

僕は勇気を出して父に
その自分の考えを言おうと思う…

父さん…
お願いがあるんだ…

僕も参加させてよ…

もっと…
もっと気持ち良くなりたいんだ…

僕にもやらせてよ、父さん…

ねえ…

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