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現代書館は東京・飯田橋にある1967年創業の出版社です。 「知識を専門家だけのものにせ…

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現代書館は東京・飯田橋にある1967年創業の出版社です。 「知識を専門家だけのものにせず、いかに分かりやすく伝えるか」を原点とした出版活動に取り組んでいます。 http://www.gendaishokan.co.jp/

マガジン

  • 私たちのとうびょうき

    「私たちのとうびょうき」は、弁護士・青木志帆さんと新聞記者・谷田朋美さんによる往復ウェブ連載。慢性疾患と共に生きる二人が、生きづらさを言葉に紡いでいきます。

  • マイノリティのハローワーク

    マイノリティ性のある大人に、どうやってその職業に就いたか、働き方、その人の特性と仕事をしていくうえでの工夫(活かす、補うなど)を中心に、インタビューしていきます。

  • フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて

    障害児のほとんどが特別支援学校・学級に通う日本。一方、イタリアでは、障害児の99%が健常児と同じ教室ですごしています。「フルインクルーシブ教育」の理念を学ぶべく、ボローニャへ旅だった大内紀彦さん(特別支援学校教員)による、現地からのレポートです。

  • ケアと男性

    福祉社会学者・竹端寛さんによるエッセイ。子どもと向き合うなかで気づいた「ケアのおもしろさ」、そして男性として生きてきた自身のなかの「生産性至上主義」について。

  • きりえや偽本イベントレポ

    高木亮著『きりえや偽本大全』『きりえや偽本シネマ大全』の書店イベントなどのレポートをまとめたマガジンです。

記事一覧

11.「夜討ち朝駆けできない記者」だからこそ|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

10月末ごろから3カ月ほど体調を崩しており、青木さんには連続で執筆いただいて助かりました。この間の「とうびょう」についてはひとまず置くとして、布団の上で「3月の…

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13時間前
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第2回 視覚障害のある教員として、小学生が社会に出る基礎を築く~片平考美さん~【後編】|マイノリティのハローワーク|現代…

小学生から始まるキャリア教育 片平さんによると、障害の有無を問わず、キャリア教育は小学生から始まっています。クラスの仕事としての係活動に始まり、家のお手伝い、調…

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1か月前
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第2回 視覚障害のある教員として、小学生が社会に出る基礎を築く~片平考美さん~【前編】|マイノリティのハローワーク|現代…

片平考美(かたひら・ちかみ)さんプロフィール 視覚特別支援学校教員、日本視覚障害者団体連合(日視連)(注1)青年協議会(注2)会長。生まれつきの神経異形成症(注3…

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1か月前
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心の凪をめざして|『中高年の発達障害』書評|横道誠

本書の著者は、自閉スペクトラム症とADHDというふたつの発達障害(正式な医学名は「神経発達症」)を診断されている。いまこの書評を書いている評者とまったく同じ状況だ。…

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1か月前
42

11.ローマのヴァッカーリ特別小学校:フルインクルーシブ教育のイタリアに残された特別学校|フルインクルーシブ教育の現場を訪…

2023年の春から始まったイタリア滞在だったが、クリスマスをトスカーナ州にある海辺の町ヴィアレッジョの友人宅で祝い、年の瀬をアパートのあるボローニャで慌ただしく過ご…

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1か月前
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【国際女性デー2024】試し読み『職場で使えるジェンダー・ハラスメント対策ブック』

エピローグ(5)ジェンダー・ハラスメントのない社会とは(p.160-162)  「高いところにあるものを男性に取ってもらうのは自然なことだ。だから、性別で役割を固定するの…

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2か月前
19

“戦争”から2年が経って――『俳句が伝える戦時下のウクライナ』より一部公開。

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年が経ちました。当初は「すぐ終わる」という声が聞かれましたが、いまでも「戦争」は終わっていません。 本書のも…

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2か月前
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“戦争”と呼ぶことも許されずに2年――『俳句が伝える戦時下のロシア』一部公開。

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年が経ちました。当初は「すぐ終わる」という声が聞かれましたが、いまでも「戦争」は終わっていません。 本書のも…

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2か月前
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10.地域の専門機関が果たす役割:ボローニャのカヴァッツァ盲人施設が担う機能|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリ…

ボローニャの街の中央には有名なマッジョーレ広場があり、そこからわずかな距離にはこの街のシンボルとなっている2本の斜塔アジネッリとガリセンダが聳えている。この斜塔…

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3か月前
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【イベント記事試し読み】高島鈴×鯨庭×関口竜平「『反差別』の実践/表現を考える」

『われらはすでに共にある:反トランス差別ブックレット』刊行を記念して、2023年12月23日にオンラインイベント「『反差別』の実践/表現を考える」が開催されました。司会…

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3か月前
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番外編:ボローニャ近郊にあるC学校の校長へのインタビュー:イタリアの学校のインクルーシブな学習環境づくり|フルインクルー…

5度にわたってC小学校を訪問するなかで、同校の校長にインタビューに応じてもらえるという幸運にも恵まれた。実際に学校運営の全体を担っている校長の立場から、イタリア…

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3か月前
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9.自閉症の生徒とクラスメイト:イタリアの学校のインクルーシブな学習環境づくり|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタ…

2023年の10月から12月までの3か月足らずの期間、2週間に1度ほどの頻度で自宅のあるボローニャから列車に乗り、アドリア海沿いのリミニからほど近い小さな町に通った。本連…

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3か月前
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10.難病者がはたらくということ(青木志帆)|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

ちょっと季節の変わり目で、谷田さんの体調が整わなかった関係で、2回続けてアオキがお送りします。こうやって、体調を崩した時にカバーできる体制があると、安心して倒れ…

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4か月前
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8.ICFモデルに根ざした個別教育計画と実践:サルデーニャ島での2度目の教育実習|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタ…

10月末のサルデーニャ島訪問からほどなく、11月初旬にこの島の州都カリアリを再訪した。拙訳書『イタリアのフルインクルーシブ教育』の原著者であり、カリアリ大学教授であ…

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4か月前
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9.「一人前」へのあこがれ(青木志帆)|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

いろんな意味で生産性に乏しい私たちですがまさか、この「とうびょうき」でインクルーシブ教育に足を踏み入れることになるとは思ってもみ、なかったこともありませんが、こ…

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5か月前
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7.インクルーシブな教育を継続させる「学校群」制度:ローマ、ボローニャ、サルデーニャ島の視察旅行|フルインクルーシブ教育の…

まだ半袖でいられるほどの陽気だった10月24日(火)の早朝、深紅の車両の特急イタロに乗り込み、住まいのあるボローニャの中央駅を発ちローマに向かった。イタリア滞在を開…

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5か月前
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11.「夜討ち朝駆けできない記者」だからこそ|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

10月末ごろから3カ月ほど体調を崩しており、青木さんには連続で執筆いただいて助かりました。この間の「とうびょう」についてはひとまず置くとして、布団の上で「3月のライオン」を読み返し、感想を共有したくてうずうずしているので、まずはその話から。体調を崩しても、漫画だけは読めたのですよねぇ。 この漫画は、多様な棋士たちが登場することが魅力のひとつですよね。老いで体に痛みを感じている最高齢の棋士が、好きですねぇ。長年支援してくれている人たちの思いがちょっと重くなってきているのです

第2回 視覚障害のある教員として、小学生が社会に出る基礎を築く~片平考美さん~【後編】|マイノリティのハローワーク|現代書館

小学生から始まるキャリア教育 片平さんによると、障害の有無を問わず、キャリア教育は小学生から始まっています。クラスの仕事としての係活動に始まり、家のお手伝い、調べ学習を通し、働くことを考えていくのです。小学校高学年になると、将来の夢を見つけられるよう、授業を組み立てていきます。中高生になれば、内容はより現実的になり、給与明細を見て学ぶこともあります。 視覚障害のある小学生も仕事をする人について調べる学習をしています。「『13歳のハローワーク』(村上龍著、幻冬舎、2003年

第2回 視覚障害のある教員として、小学生が社会に出る基礎を築く~片平考美さん~【前編】|マイノリティのハローワーク|現代書館

片平考美(かたひら・ちかみ)さんプロフィール 視覚特別支援学校教員、日本視覚障害者団体連合(日視連)(注1)青年協議会(注2)会長。生まれつきの神経異形成症(注3)のほか、左目の緑内障(注4)、右目の白内障(注5)など眼疾患が重なり、元々ロービジョン(注6)であったが、小学1年生のときに左目を失明する。7回の眼の手術を経て、現在は左目失明、右目は視力0.4程度、夜盲(注7)もある状態。そのため、慣れない道や夜は白杖(注8)を使用する。 「みんなと同じでいたかった」小学校時

心の凪をめざして|『中高年の発達障害』書評|横道誠

本書の著者は、自閉スペクトラム症とADHDというふたつの発達障害(正式な医学名は「神経発達症」)を診断されている。いまこの書評を書いている評者とまったく同じ状況だ。年齢はちょうど20歳ほど向こうが年嵩だけれども、いったいどんな人なんだろうな、と期待半分、不安半分で書評の依頼を引きうけた。 送られてきた現物の書籍を受けとって、初めて著者のペンネームをはっきり認識し、ニヤリとさせられた。すなわち「凪野悠久」。私は自閉スペクトラム症の特性を持った書き手を何人も知っているけれども、

11.ローマのヴァッカーリ特別小学校:フルインクルーシブ教育のイタリアに残された特別学校|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

2023年の春から始まったイタリア滞在だったが、クリスマスをトスカーナ州にある海辺の町ヴィアレッジョの友人宅で祝い、年の瀬をアパートのあるボローニャで慌ただしく過ごすうち、あっという間に新たな年が巡って来ていることに気づいた。年明けの1月の半ばには、今回の滞在では初めてミラノを訪れた。日本からやってきたイタリアの教育や福祉についての調査グループに便乗するかたちで、2泊3日の調査旅行に出かけたのだった。そして1月の末にはふたたびローマに向かった。いささか個人的な感慨を交えていえ

【国際女性デー2024】試し読み『職場で使えるジェンダー・ハラスメント対策ブック』

エピローグ(5)ジェンダー・ハラスメントのない社会とは(p.160-162)  「高いところにあるものを男性に取ってもらうのは自然なことだ。だから、性別で役割を固定するのは仕方がない。つまりジェンダー・ハラスメントは仕方ない」といった主張をよく聞きます。  この意見には一理あるように見えます。でも、考えてみてほしいのです。もし、その男性の身長が自分よりもずっと低く非力に見えたら、松葉杖をついていたら、車椅子に乗っていたら、腰を痛めていたら、その男性に力仕事を頼むでしょうか

“戦争”から2年が経って――『俳句が伝える戦時下のウクライナ』より一部公開。

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年が経ちました。当初は「すぐ終わる」という声が聞かれましたが、いまでも「戦争」は終わっていません。 本書のもとになったのは、ETV特集「戦禍の中のHAIKU」。 番組では収録できなかった人たちのインタビューも含め、戦争からの距離ゼロメートルで詠まれた俳句とインタビューを『俳句が伝える戦時下のウクライナ』としてまとめました。 戦争反対!絶対反対!の気持ちを胸に、キーウに暮らすアンナ・ビズミチノバさんの俳句とインタビュー

“戦争”と呼ぶことも許されずに2年――『俳句が伝える戦時下のロシア』一部公開。

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年が経ちました。当初は「すぐ終わる」という声が聞かれましたが、いまでも「戦争」は終わっていません。 本書のもとになったのは、ETV特集「戦禍の中のHAIKU」。 番組では収録できなかった人たちのインタビューも含め、ロシアで暮らす人たちによって詠まれた俳句とインタビューを『俳句が伝える戦時下のロシア』としてまとめました。 かれらは、この軍事侵攻を「戦争」と呼ぶことすら許されていません。 戦争反対!絶対反対!の気持ちを胸

10.地域の専門機関が果たす役割:ボローニャのカヴァッツァ盲人施設が担う機能|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

ボローニャの街の中央には有名なマッジョーレ広場があり、そこからわずかな距離にはこの街のシンボルとなっている2本の斜塔アジネッリとガリセンダが聳えている。この斜塔の足もとからは、旧市街を囲んでいる城門にむかって放射線状に主要な道路が何本も延びているが、そのうちの1本がカスティリオーネ通りである。斜塔を背にしてこの通りを南に20分ほど進むと、突き当りには城門の一つカスティリオーネ門が見えてくる。その少し手前にあってひときわ人目を引くオレンジ色の外壁の建築物、それがフランチェスコ・

【イベント記事試し読み】高島鈴×鯨庭×関口竜平「『反差別』の実践/表現を考える」

『われらはすでに共にある:反トランス差別ブックレット』刊行を記念して、2023年12月23日にオンラインイベント「『反差別』の実践/表現を考える」が開催されました。司会は本書の企画・編集を務めたライターの高島鈴さん、ゲストに漫画家の鯨庭さん、本屋lighthouseの関口竜平さんをお招きして、それぞれの立場からの「反差別」の実践/表現についてお話しいただきました。 本イベントの文字起こしデータを、本屋lighthouseさんのウェブストアで販売します(すでにイベントチケット

番外編:ボローニャ近郊にあるC学校の校長へのインタビュー:イタリアの学校のインクルーシブな学習環境づくり|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

5度にわたってC小学校を訪問するなかで、同校の校長にインタビューに応じてもらえるという幸運にも恵まれた。実際に学校運営の全体を担っている校長の立場から、イタリアのインクルーシブな教育をめぐる現状や課題について率直なご意見を語っていただいた貴重な証言となっている。インタビューは1時間半ほどの時間を割いて行われたが、ここでは日本の読者にとってとりわけ関心が深いと思われるものを抜粋し付載した。 C小学校の校長へのインタビュー ぜひ第9回とあわせてお読みください!

9.自閉症の生徒とクラスメイト:イタリアの学校のインクルーシブな学習環境づくり|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

2023年の10月から12月までの3か月足らずの期間、2週間に1度ほどの頻度で自宅のあるボローニャから列車に乗り、アドリア海沿いのリミニからほど近い小さな町に通った。本連載の第3回と4回で取り上げたボローニャ大学の「支援教師」養成講座を担当していたアリーチェ・イモラ先生が、支援教師としてこの町の小学校に勤務していたからだった。実際にその町を訪ねてみると、その小学校は町一番の美しい広場に面していて、中央には円形の噴水が片隅には18世紀に建立されたアーチ型凱旋門が残されていた。

10.難病者がはたらくということ(青木志帆)|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

ちょっと季節の変わり目で、谷田さんの体調が整わなかった関係で、2回続けてアオキがお送りします。こうやって、体調を崩した時にカバーできる体制があると、安心して倒れられますね。 安心して倒れられるといえば、大人の難病者にとって、医療費とともに切実な問題が「どうやって働くか」ということではないでしょうか。前回、「限られた条件の中でも、将棋盤という限られたリングの上で輝く二階堂晴信がまぶしい」というお話をしました。でも、みんなが「あこがれる」ということは、みんながみんな、そうはいか

8.ICFモデルに根ざした個別教育計画と実践:サルデーニャ島での2度目の教育実習|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

10月末のサルデーニャ島訪問からほどなく、11月初旬にこの島の州都カリアリを再訪した。拙訳書『イタリアのフルインクルーシブ教育』の原著者であり、カリアリ大学教授であるアントネッロ・ムーラ先生の指導のもと、2週間ほどの期間、現地の学校に潜入してフィールドワークを行うことになっていたからだった。「フィールドワーク」とはいえ、生徒たちが登校してから下校するまですべての活動を共にしたので、日本で10数年前に行った教育実習以来、さながら2度目の教育実習のようだった。 ぼくを受け容れて

9.「一人前」へのあこがれ(青木志帆)|私たちのとうびょうき:死んでいないので生きていかざるをえない

いろんな意味で生産性に乏しい私たちですがまさか、この「とうびょうき」でインクルーシブ教育に足を踏み入れることになるとは思ってもみ、なかったこともありませんが、こんなにストライクゾーンど真ん中のお話が出てくるとは思いませんでした。私たちが子どもの頃って、義務教育期間中はクラスにひとりは障害のある子がいたものです。でも、高校、しかも進学校で、重度障害のある人と机を並べる経験はとても珍しいことですね。 「強くいられないことで追い詰められていた私の居場所を、おっきーが作ってくれてい

7.インクルーシブな教育を継続させる「学校群」制度:ローマ、ボローニャ、サルデーニャ島の視察旅行|フルインクルーシブ教育の現場を訪ねて~イタリア・ボローニャ滞在記~|大内紀彦

まだ半袖でいられるほどの陽気だった10月24日(火)の早朝、深紅の車両の特急イタロに乗り込み、住まいのあるボローニャの中央駅を発ちローマに向かった。イタリア滞在を開始した4月から数えると、3度目のローマだった。古代ローマ帝国の遺跡が街中に溢れ、世界に名を馳せる無数の教会や美術館を擁する「永遠の都」ローマ。この類まれな都市を訪れる機会が幾度かあったのに、これまでの滞在では観光に費やせる自由な時間はいささかも捻出できないでいた。だから今回は、早朝7時台の列車でボローニャを出発して