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「自分が仕事を見つけるのではなく、仕事が自分を見つける」と思うことも、時には必要かもしれない

(文/EMERGEファシリテーター 今尾江美子)

昨年11月からスタートした、働く大人が次の一歩を踏み出すためのオンラインプログラム「EMERGE」。年を明けて後半戦に入りました。

3ヵ月の期間中に6回行うグループセッションは、一人一人の「いま」を共有しながら、その奥にあるもの、その先にあるものを、互いに引き出しあう対話の時間。

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一人一人の中にあるもの、見ていること、とりまく状況、行きたい先は、もちろんバラバラ。けれど、新年初回となるこの日、「自分の外にある大きな力で、自分を超えていく」が根底に流れていた一つのテーマだったように感じました。今回は、そのことについて少し考えてみたいと思います。

「自分で決める」ことの弊害

選択の自由があること。これは素晴らしいことで、そこに疑いの余地はない。けれど、その裏で、自己決定に伴うプレッシャーや不安、時には選択肢が多すぎて選べないという苦しさがあることもまた否めない。そして、それらは「贅沢だ」といって片づけてられる問題でもない。

EMERGEの参加者は、これまで立派にキャリアを積んできた方々ばかり。泣く子も黙るグローバル企業で働いていたり、国際NGOの主要メンバーだったり、MBAトップスクール現役生であったり、海外でも日本でも活躍できるグローバル人材であったり、昔から願っていた仕事に就いていたり。自分のキャリアを、それが積極的であれ消極的であれ、自分で選択してきた場面が多かったように思う。自分の人生を、自分で切り開いてきた。そしてきっと、これからも。

その一方で、もし彼らが何らかキャリア(もしくは人生)の壁にぶつかっていると感じている(そしてそれがEMERGEに参加した理由の一つになっている)とすると、もしかしたら、「これからも自分ですべてを決めなければ」と思い過ぎていることが原因の一つなのかもしれない。

自分で決める、ということは文句なく素晴らしい。そして、その力を持った人ばかり。けれど、自分で決めるということは、同時に、自分の域を超えることを難しくしている、という可能性もある。あくまで可能性、仮説に過ぎないけれど。

あなたが仕事を見つけるのではなく、仕事があなたを見つける

最近、仕事を探している海外の友人とのやりとりで、普通なら「良い仕事が見つかりますように(Hope you will find a good job)」と言うところ、話の流れで「良い仕事があなたを見つけてくれますように」と言って、妙にしっくりくるところがあった。

最後にその仕事をやるかやらないか決めるのは、自分かもしれない。けれど、いまこのタイミングで、良い仕事に巡り合えるかどうかは、自分だけの力ではなく、むしろ、自分以外の大きな様々な力が働いていると考えるのが自然ではないだろうか。あなたが仕事を見つけるのではない。仕事があなたを見つけるのだ。もちろん、そのための努力は必要なのだけど。

自分を手放し、自分を超えていく

自分の力が及ぶ範囲の外側にある、他人の力、社会の力、環境の力、はたまた宇宙の力が働く範囲を想像すると、その世界は気が遠くなるほど広大だ。その中で、自分一人で決めてできることなんて、ちっぽけすぎるものにも思えてくる。だからこそ、時には、外の力に抗って頑張るよりも(それはそれでとても大事)、外の力に委ねることが必要なのかもしれない。

自分で決めることを善とする価値観からすれば、外の力に委ねることは、自己選択を放棄する、由々しきことに映るかもしれない。でも、時には人の選択を受け入れること、大きな流れに任せること、選択しないことを選択すること。それは一見、自分を失うように見えて、実は、大きな世界とつながった自分、自分を超えた自分を生きることにつながるのかもしれない。

これまでこんなに頑張ってきたのに、そこそこ成功したはずなのに、正体不明の壁にぶつかっている。そんな時は、この先も何とか自分で決めないと、自分で打破しないと、とますます力むよりも、もしかすると、反対に力を抜くこと、「自分で決める」の外に意識を向けることが、次の一歩に繋がるかもしれない。そしてEMERGEが、そんな場になればいいなと思ったのでした。まだ上手く整理できていませんが。

さて、次回セッションは、それぞれの最終発表。これまで考えて、動いて、見えたこと、感じたこと、信じられたこと。そして、これから進む道について。それぞれのEMERGEのかたちが、楽しみです。

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EMERGE第3弾 2021.6〜2021.8 参加申込、受付中。

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