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アホでもわかる天皇制

はじめに

NHKに「チコちゃんに叱られる!」という番組がある。
「好奇心旺盛でなんでも知っている5歳の女の子」という設定の少女、チコちゃんが大人の回答者たちに、当たり前すぎてかえって答えられないような疑問を投げかける、クイズ形式のバラエティ番組だ。
仮にあなたがチコちゃんに、「天皇ってなんで偉いの?」と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。
意外と、日本人でありながら、即答できる人は少ないのではないだろうか。
本稿では、「天皇ってなんで偉いの?」という素朴な疑問から、天皇制とは、そもそもどういうものなのか、一緒に考えていきたいと思う。


―Ⅰ― 天皇制とはなにか

日本国内において、天皇は「偉い」とされているわけだが、その「天皇の権威」は、果たしてどこに由来するものなのだろうか。

天皇家を上にさかのぼっていくと、初代天皇である「神武天皇」に行き着く。
ところで、「神武天皇」の父親は誰なのだろうか、答えは、「ウガヤフキアエズ」という、日本神話における神である。つまり、「天皇は神の子孫であるから、偉いのだ」といった言説が、戦前のいわゆる国家神道の時代にはまかり通っていたのである。「神武天皇」の実在性には疑問が残り、日本神話上の架空の存在であるというのが定説だ。
しかし、戦前は「昭和天皇」は「現人神」、つまり、「神が人間の体に宿ったもの」であると考えられていた。そして、「昭和天皇は現人神であらせられる」とみんなが本気で思っていた。なんとも馬鹿馬鹿しい限りである。

日本国憲法下においては、国家主権は天皇から国民に移譲されたため、GHQによって「国家元首としての」天皇制は解体された。
しかし、天皇制は象徴天皇制として残されることとなった。
天皇の地位は、主権者たる日本国民の総意に基づくものである、と憲法に明記されている。

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

日本国憲法 第1章 天皇

そのため、象徴天皇制における「天皇の権威」は国民の総意(=国民がなんとなく天皇を偉いと思っている)によって、なんとか首の皮一枚つながっていて、天皇は自らの権威を維持している。
しかしながら、「国民がなんとなく天皇を偉いと思っている」、国民の総意は、日本神話というファンタジーに基づくものであって、国民がその虚構に気づけば、天皇は直ちに自らの地位を失墜させることになるだろう。

―Ⅱ― 天皇制ファシズムの解体

(1)昭和天皇ヒロヒトの戦争責任

日本帝国主義は誤った対外拡張の道に進み、中国大陸、朝鮮をはじめ、アジア各地で侵略を行い、2千万人以上のアジア人民の命を奪った。それらの残虐行為を働いた、日帝の国家元首こそ、ヒロヒト、時の天皇である。

昭和天皇に戦争責任を認めるか、ということについては様々な議論があったが、最終的に天皇は自らの戦争責任を逃れることになった。
しかし、これは「天皇に戦争責任はなかった」ということではない。
当時、日本を占領していたGHQが、天皇を処刑した場合に各地で叛乱行為が起こり、日本を占領するのに不利益が生じることを恐れ、単にご都合主義で天皇の戦争責任を認めなかっただけなのである。

第1条 大日本帝国ハ万世一系(ばんせいいっけい)ノ天皇之(これ)ヲ統治(とうち)ス
第4条
 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬(そうらん)シ此(こ)ノ憲法ノ条規(じょうき)ニ依リ之ヲ行フ(おこなう)
第11条
 天皇ハ陸海軍ヲ統帥(とうすい)ス

大日本帝国憲法 第1章 天皇

大日本帝国憲法第1条には天皇に統治権があることが明記され、第4条には天皇が国家元首であることが明記されており、さらには第11条には天皇が軍隊の統帥権を有していることが明記されている。
したがって、「天皇に戦争責任がある」ということは、いかなる点においても明らかである。

「ヒロヒトの戦争責任」について、海外ではどう見られているのだろうか。
ロシアのウクライナ侵攻に対し、ウクライナ政府の公式ツイッターが、ロシアのプーチンをファシズムを例示して非難するために、昭和天皇、ヒトラー、ムッソリーニの3人の顔が並んだ動画を投稿した。

https://twitter.com/Ukraine

このことからもわかるように、海外では昭和天皇は日本の軍国主義の象徴であるというのが一般的であって、ヒトラー、ムッソリーニと同等の存在なのである。

(2)身分差別・性差別の象徴である天皇制

第二次世界大戦に日本が敗戦し、「国家元首としての」天皇制は、象徴天皇制となった。国家主権は天皇から国民に移譲されたとはいえ、天皇制が身分差別・性差別の象徴であることに変わりない。

「天皇家に生まれた」というだけで、天皇及び皇族は、生まれながらにして、住居や財産が国によって保障される。
さらには、女性天皇・女系天皇は認められておらず、男系男子しか天皇になることはできない。
これらは、日本国憲法第14条の定める「法の下の平等」に反する。

「国民統合の象徴」であるはずの天皇制は、「身分差別・性差別の象徴」なのである。今日的な人権感覚からして、天皇制は到底認められるものではないだろう。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法 第三章 国民の権利及び義務

―Ⅲ― 天皇制の廃止と今後の展望

天皇は英語で"emperor"、すなわち、皇帝である。日本は軍国主義の象徴である天皇制を今日まで維持してきたわけだが、それが、日帝によるアジア侵略を受けた、アジア諸国にとって、どれほど屈辱的かというのは言うまでもない。

日本が、日帝の行った過去の悪行を反省するのならば、まずは天皇が日帝国家権力の犯したアジア諸国への侵略と搾取、さらにはすべての戦争犯罪について公式に謝罪し、その上で天皇制ファシズムを解体することが必要だ。
それがあってこそ、日本の対アジア関係に新たな展望が開けるのである。
逆を言えば、天皇制の解体なくして対アジア関係の根本的な関係改善は成しえない。天皇制打倒を主張する政党が出現することに期待したい。(了)

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