見出し画像

東大・京大・一橋志望者は慶応商学部A方式を併願すべき

筆者は現役時代、東大文3が第一志望で(東大は不合格だった)、併願で慶應義塾大学商学部A方式を受験し、合格した。
もともと東大に落ちた場合は浪人するつもりであったが、わざわざ第一志望と学部系統の違う慶応商学部を受けたのは、東大志望者としてせめて早慶には受かっておきたいと思っていて、慶応商学部が最も合格しやすいと考えたからである。

入試科目

慶応商学部A方式の入試科目は、
英語、数学、社会(世界史、日本史、地理から1科目)
である。

着目すべきは、
(1)数学が必須である
(2)数学と社会がともに必須である
(3)小論文がない
ということだろう。

(1)数学が必須である
私大文系志望者というのは、基本的に数学から逃げてきた人たちである。入試科目に数学があるため、私大文系志望者で慶應に特化して対策してきた人たちと戦わずに済むのである。

(2)数学と社会がともに必須である
国公立大二次試験において、数学と社会をともに要求する大学は東大、京大、一橋大しかない。(大半の国立大学は数学か社会かの選択である。)
したがって、地方旧帝大志望者とも戦わずに済むのだ。

(3)小論文がない
慶應義塾大学の入試科目には国語がない。その代わりに入試科目に小論文を設定しているわけだが、商学部A方式においては、その小論文すらも入試科目にない。
そのため、わざわざ併願校のために小論文の対策をする必要がないのである。

次に各科目について見ていく。

英語

私大文系の最難関である慶応の英語は難しい。とにかく細かい語彙や知識が要求されるのである。
しかしながら、商学部の英語は、慶応でも最も易しいレベルだといわれる。唯一懸念すべきは、経済系の単語を見ておくことであろうか。商学部の英語では経済を題材にした長文がよく出題される。”Universal basic income”だとか、そういう単語を見ておくべきだ。
逆に言えば、経済系の単語さえ見ておけば、過去問なども解く必要はない。東大をはじめ最難関の国立大学に向けて勉強してきた受験生ならば、特別な対策は不要であろう。

数学

商学部の数学は、東大二次で出題されるような「4題を100分かけてじっくり解く」というタイプの出題とは正反対で、共通テストのような簡単な問題をたくさん解かせる出題である。問題は基本から標準レベルが中心だ。
一部、経済学で扱うような数理モデルを高校レベルの数学に落とし込んで解かせる出題もある。ただ、誘導に乗ることができれば容易に解くことができる。
東大レベルの対策ができているのならば、特別な対策は不要であろう。

社会

社会は世界史・日本史・地理からの選択である。
珍しく受験科目に地理が用意されている。慶応を地理で受験できるのは、商学部が唯一である。商学部を卒業して商社にでも入れば地理的素養が役立つからだろうか。
筆者は世界史・地理選択であるため、その2つの科目に関して述べる。
まずは世界史であるが、これも基本的、標準的な出題ばかりである。
一般に、早慶レベルとなれば、かなり細かい知識が要求される。とくに法学部の世界史は、かなり細かい知識が要求されるため難しい。しかし、商学部の世界史に関しては、細かい知識は全く要求されない。共通テストレベルの単語をちゃんと覚えていれば、満点も狙えるレベルである。
次に地理であるが、地理に関しては、いわゆる地誌から大半が出題される。東大の地理は、知識が直接問われるのではなく、知識をどのように運用するかが問われる。共通テストにおいても、知識を運用して解く問題が多い。しかし、その一方、慶応の地理は知識問題ばかりだ。この点において、受験者は注意すべきであろう。割と細かい知識も聞かれたりする。筆者のようないわゆる地理オタクに有利な出題であるといえる。
ちなみに、世界史よりも地理のほうが難しい。逆を言えば、その分、得点調整が入り、地理受験者は下駄が履かされることになるため、あまり心配する必要はないだろう。

以上のことから、慶應義塾大学商学部A方式の受験者は、東大、京大、一橋大の併願がほとんどである。東大や京大、一橋大との併願でなければかなり受けづらい入試科目であるため、倍率も2~3倍と、ほかの学部と比べてかなり低い。
ちなみに配点は英語200、数学100、社会100の合計400点で、合格最低点は例年250点くらいである。問題の割に合格最低点が低いと感じる。憶測の域を出ないが、ワンチャン狙いの私大文系志望が出願して、倍率を上げていたりするのだろうか。

慶応商学部は東大・京大・一橋落ちを求めている

そもそも、東大・京大・一橋と早慶では、入試の難しさのベクトルが異なる。
東大や京大、一橋といった最難関の国立大学の入試においては、知識量はあまり要求されない。記述問題が多く、教科書レベルの知識をどのように運用するかが問われているのである。
その一方で、早慶の入試においては、どれだけ細かい知識を暗記しているかが問われる。また、早慶を併願で受験するとなれば、そういった細かい語の暗記に力を入れている早慶志望者と戦わなければならない。
要するに、東大などの志望者が早慶を併願しようとなれば、そのための対策が必要になるのである。

しかしながら、ことに慶応商学部A方式の入試においては、特別な早慶対策は一切不要であるし、対策せずとも問題は普通に解くことができる。
要するに、慶応商学部は東大・京大・一橋落ちを求めているのである。
商学部では数学の素養が必須になる。そのため、数学ができない私大専願の受験生よりも、数学ができる東大・京大・一橋落ちの受験生が欲しいわけだ。

経済・商学部系統に興味があればの話だが、東大・京大・一橋志望者は、ぜひ併願校に慶応商学部を検討してほしいと思う。(東大にかすりもしなかった筆者ですら受かったのだから・・・)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?