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「それだけ」じゃないから

おれも当然そうなんだが、
この世の中には問題を抱えた人しかいない。

悲しい、
苦しい、
つらい、
さびしい、
こわい。

それはおれがずっと、noteで言ってきたことだ。
おまえらも同じように感じ、同じように悩んだりしていると思う。

悲しいのは本当。
苦しいのも本当。
つらいのも本当。
さびしいのも本当。
こわいのも本当。

「本当」というのは、
どうしようもなく存在している、という意味。

スピリチュアルの考え方のひとつに、
「すべてはマボロシ」というのがある。

苦しいのも悲しいのも怖いのもつらいのも寂しいのも、
すべてはマボロシで、本当のあなたは安心安全、とてもあたたかいところにいます。だから何があってもだいじょうぶです。そういう考え方。

その考え方が人を救うこともある。
でも「そんなふうに考えられない」と思う人もいる。

悲しすぎて、
苦しすぎて、
怖すぎて、
つらすぎて、
寂しすぎて、
この現実を「マボロシ」だと思えない。
嘘だと思えない。

そういう人に、おれは言いたい。

その悲しみも、
その苦しみも、
そのつらいのも、
その寂しさも、
その恐怖も、

全部本当だ。
嘘じゃない。
たしかにそこにある。
ここにある。
おまえの中にある。

マボロシなんかじゃない。
ある。本当にある。
でも、それだけじゃない。

それがすべてじゃない。


悲しいのが本当なら、嬉しいのも本当だ。
苦しいのが本当なら、気持ちいいのも本当だ。
つらいのが本当なら、ラクなのも本当だ。
さびしいのが本当なら、さびしくないのも本当だ。
こわいのが本当なら、こわくないのも本当だ。

この世界は1枚のコインのようなもの。

表に「悲しい」と刻印されているのならば、
裏には必ず「嬉しい」と刻印されている。

それがルールだ。


両面とも表、
あるいは両面とも裏、
そんなコインは存在しない。

それがこの世界のルール。

それが守られていないことには、
このゲームが成り立たない。

ゲーム不成立、
それはすなわち、

この世界の崩壊を意味する。


絶望は存在する。
本当にある。
嘘じゃない。
あるったらある。

しかしそれだけではゲームが成り立たない。

ワンサイドゲーム、一方的なゲームは、
負けるほうだけじゃなくて、
勝つほうもつまらないのだ。

絶対に勝てる。
絶対に負けない。
100回やって100回勝つ。

それはゲームじゃない。
それはただの作業。
それはただの苦痛。
そんなものには、なんの意味もない。

今、おまえはコインを持っていると思う。
10円玉、100円玉、50円玉、なんでもいい。
その硬貨でコイントスをしてみてほしい。
何回もやってほしい。

表が出る確率は50%。
裏が出る確率も50%。

何度も何度もコイントスをしてみてほしい。

表と裏の確率が50%だからといって、
きれいに

表、裏、表、裏、表、裏、表、裏、

そんなふうに表と裏が交互に出ることはない。

たいていは、

表、表、裏、表、表、表、裏、裏、表、

こんなふうに偏りが出てくる。

人間の人生も全く同じで、
幸福、不幸、幸福、不幸、幸福、不幸、
こんなふうに、幸せと不幸せが交互にやってくることはないのだ。

幸福も不幸も、徒党を組んでやってくる。


人生は偏る。
幸福も不幸も偏る。
そういうもんだ。

おれたちの人生はアンバランスだ。

「そこまでしなくていいじゃん」って思うような不幸が、連続してやってくるのだ。
「わかった!もうわかったよ!」って言っても、止められない。
何度も何度も裏が出る。
不幸が不幸を呼ぶ。

そういう経験を、みんなが体験していると思う。


でも、それだけじゃないのよ。



信じられないような幸運、
信じられないような幸せ、
信じられないような巡り合わせも、
人は経験しているはず。

これは本当かどうかはわからんけど、
人の精子は何億とかあって、
その何億という競争に勝ち抜いて、
奇跡のような確率をすりぬけて、
おれたちは生まれてきた。

セックスしていないときでも精子は放出されるし、
たまたまセックスして、たまたま中で出して、
その中の1つの精子だけが受精し、赤ちゃんに成長し、生まれてきた。

そう考えると、おれたちすべての人間は、
生まれてきた時点で一生分の運を使い果たしているとも言える。

だからその後の人生でなにが起こってもしょうがないんだ。

どんな不幸に見舞われようとも、
どんな酷い一生を送ろうとも、

人間にさえなれずにただ死んでいった1000臆の精子仲間の墓前で、弱音を吐くわけにはいかねえのよ。


酷い流れのときもあるよ。
がんばってもがんばっても報われない。
やさしく、誠実に、ウソをつかず生きていても、
みんなが自分に背を向ける。
そういうときもあると思う。

でも、それだけじゃないから。

生きていれば、
死なずにやっていけば、
今度は連続して表が出る可能性もある。
連続して20回、30回、表が出続けることもある。

そういうのも含めて、
最終的には表と裏の割合は、50:50になるはずだ。
ならないかもしれないけど、そんなの誤差だからな。

表と裏の割合が1:99とか、
99:1とか、
そんなのはあり得ないんだ。

絶対にありえない。

30:70くらいはあるかもしれない。
偏ることはある。
でも、1万日も2万日も生きれば、
必ず50:50に収束していく。

それがこの世界のルール。

それを変えてしまうと、世界が崩壊する。
世界が成り立たなくなる。
それほど重要な決まり事。

だから、今すごくつらかったとしても、いいんだよ。
それでいいんだよ。

この世界はそれだけじゃないから。

がんばらなくてもいい。
でも、なげやりになる必要もない。

がんばりたかったら、がんばってもいいし、
なげやりになりたかったら、なげやりになってもいいんだよ。
そうしたかったらね。

人はただ生きているだけでも、
毎日コイントスをしている。

ただ生きているだけで、
いいことが起こる。
わるいことが起こる。
誰にでも。

それは誰のせいでもない。
誰かが、何かが悪いせいじゃない。

そういうシステムなだけだ。

意味もなく、いいことがおこる。
意味もなく、悪いことが起こる。

ただ、起こる。
そこに意味はない。
人間が勝手に、「いい」「わるい」って思ってるだけ。
本当は、意味なんかない。

自分ひとりだけ特別しあわせになれるなんて、
そんなことはないし、その逆もない。

条件は同じだよ。

どんなハンデを背負っていたとしても。
どんな家庭環境だったとしても。

おれたちはただ、毎日コインを投げている。

バカみたいに、毎日、同じように、
コイントスしている。

いい日もあれば悪い日もあるだろう。
裏ばっか出ることもあれば、表がずっと続くこともあるだろう。


そういうものだ、

って知っていれば、
すこしはおれも、おまえも、
生きるのがラクになるかもな。


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