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権威への反抗

ある文脈において偉大とされているものをラディカルに批判すると、「それは君の見る目がないのでは」「学識が未熟」「やっぱりこれは凄いということを逆説的に証明した」と色々にたたかれそうで、自己防衛的に緩い語り口調になってしまいます。

例えばベラスケスの《ラス・メニーナス》について。「絵画の神学」「西洋絵画の最高傑作のひとつ」かのように17世紀の画家ルカ・ジョルダーノから近代のマネ、そしてフランス現代思想の面々までに称賛されてきました。

あの作品を批判した人間は果たして存在するのだろうかと調べてみると、やはりほとんどいませんでした。西洋美術史に君臨していると言って差し支えない作品であり、相当な覚悟が必要なのは分かります。
とはいえ、ひとり面白い人物を見つけました。18世紀のドイツ出身の画家アントン・ラファエル・メングスです。

アントン・ラファエル・メングス《自画像》
1774年 メトロポリタン美術館蔵

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