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ヨーク探訪🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

ロンドンから北に2時間のところにあるヨークは、約2000年の歴史を持つイングランドの古都です。ローマ帝国の最北端、ヴァイキングの拠点、ノルマン・コンクエストで破壊されるもの開運の中心地として繁栄、大聖堂を建てて栄華の極みを達するものの、17世紀の内戦で衰退し、鉄道が敷かれて近代化という街です。

徘徊開始

歴史の色々な事象が詰まっている英国有数の古都であり、ロンドンが国際都市であるのに比べれば格段に人種的多様性は低く、観光客含めアジア系はあまりいませんでした。

橋を渡って旧市街へ。街の真ん中に聳えるヨーク大聖堂に向かって歩きます。ヨーロッパの旧市街の構造は単純明快なので、道に迷う時は上を見上げて大聖堂の尖塔を見つければ帰れます。高い建物の実利的機能です。

古都と言っても京都同様に、ほとんどの立派な建物は19世紀以降のものになります。より快適で堅牢な建物をとなると、昔のものの改修では足りませんから当然ですが、古都という割には新しいものが多いという気もします。このリバー・ハウスも19世紀半ばの建物です。

旧市街は小さいのですぐに大聖堂に到着します。ここは英国国教会のヒエラルキー的には、ウェストミンスター大司教の次に地位があるとされる聖地の中の聖地です。1000年間ヨークの人々の精神的支柱になっています。

美しいステンドグラスが並んでいて神秘的ですが、曇り空のヨークでは淡く仄暗い光しかなく、フランスやフランドル地域の豪華なステンドグラスに比べて、発色がなく弱々しいものです。失礼なので「控えめ」という風に変換してみます。

案の定、この手の建物は屋上に登ることができます。フライングバットレスという屋根を支えるための中世的技法が使われています。これが醜いと思った人たちがルネサンス風の建物や古典主義に走りますが、遠い異国の人間の無責任な目から見て、このフライングバットレスもリズミカルでいいなと素朴に思った次第です。

夏の盛りでこの天気でしたから、まあ病みます。英国のロマン主義の詩人たちがイタリアを目指す気持ちも分からなくもないです。気が滅入ります。

旧市街に戻ります。ちょうど正午過ぎでこの暗さです。

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