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【臍の緒】

娘の声がした。

「母さ~ん❗️臍の緒が取れたよぉ~❗️」

半月前に生まれた赤ちゃんの臍の緒が取れたらしい。

「あっそうなの❓️よかったわねっ❗️父さんっ❗️●●ちゃんの臍の緒が取れたんだってっ❗️」

「おぉ~良かったなぁ、スッキリしただろうなぁ・・そりゃそうと、今でも臍の緒って保管するんかな❓️」

「当たり前でしょ❗️捨てる訳ないじゃん❗️病院で貰ってきてるんだって❗️●●ちゃん用の臍の緒入れの箱」

「あぁそうかいな」

・・・・・・・

臍の緒・・そう言えば僕が小さいころ母親に見せて貰ったのを思い出した。

それは小さな桐の箱に入れられていて、和紙で包んであった。和紙を広げると天花粉だろうか、今でいうベビーパウダーのような白い粉にまぶしてあって、黒く渦巻いた、芋虫のミイラみたいな感じだったのを覚えている。正直に言えば、子供心に、理科の標本みたいで、チョッと気味が悪いなぁと思ったものだ。

あれはどこにいったのだろうか・・捨てる訳はないのだが、あれ以来お目に掛かった記憶がないのだ。

両親がいなくなった今では訊くことも出来ないのである。


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