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熱帯都市の歩き方1:プラン&移動編

自分が進めている研究プロジェクトの資料収集のため、2月下旬にホーチミン市(サイゴン)に行ってきました。これまでベトナムはハノイばかりでサイゴンは初訪問だったため、資料収集の拠点である総合科学図書館以外にも街全体の地理感覚を掴むために少し時間をかけて街歩きをしてきました。

ホーチミン市総合科学図書館

2月の日本は10度未満の寒い日がまだまだ続きますが、熱帯気候のホーチミン市は連日30度越えの真夏日です。知らない外国の街を歩くだけでも疲れが溜まりやすいのですが、これだけ温度差があると体力的にもかなり負担がかかってきます。

熱帯や亜熱帯の街歩きというのは慣れていないと結構難しく、私も何度も失敗してきました。初めて熱帯を歩いたのは大学生時代(約20年前)の香港・マカオだったのですが、暑さに対する自分の体力限界が分からず途中で熱中症にかかってダウン。上海に留学していた頃にも夏休みを利用して福建省(亜熱帯)を周遊したのですが見事に途中でダウン、武夷山という景勝地で3日間寝込んでいました。

この手の失敗体験を繰り返していくうちに「(亜)熱帯での屋外活動はコツがいるんだな」と気がついてきました。体力的には一番タフだった20代の頃でも体調を崩してしまうのですから、40代になった今は一層注意が必要です。ということで、ホーチミン街歩きで気をつけていたことを2回に分けて整理してみたいと思います。初回はプラン&移動編で、次回は食事編としましょう。

1. フルタイムで活動しない

熱帯では屋外にいるだけで体力がどんどん消耗していきます。日本の街なら東京でも大阪でも朝から夜まで遊び歩くのはそんなに難しくないのですが、ホーチミン市でフルタイムで屋外活動するのは無理、というか危険です。そこで、街歩きの計画段階で「出発からホテル帰還まで3時間」というタイムリミットを常に決めています。具体例で言えば「9:00スタートで早めのランチを食べてから昼過ぎにホテルに戻ってくる」「14:00スタートで17:00にホテルに一旦戻ってから夕食にする」みたいなプランがいいですね。午前と午後で2回出発したい日もあるかと思いますが、その場合は必ず合間に1〜2時間の昼寝時間を確保します

街歩きをする時はホテル滞在時間も意外と多い

2. 歩く距離を効率的に減らす

「街歩き」という名前とは矛盾するのですが、歩く距離を極力減らすことを心がけています。日本の感覚なら「これくらいは頑張れば歩けるでしょ!」と思える距離でも、いざ実際に歩いてみると意外にしんどくて後悔するんですよね。熱帯の暑さは日本のギラギラした夏と違ってまとわりついてくる感じなので、無理に歩いているとだんだん足が重くなってきます。

では、歩く距離を減らすには何をすればいいのでしょうか?
私は以下の3つを心がけるようにしています。

  1. 歩くエリアを限定する

  2. 目的のエリアまでは交通機関やタクシーを使う

  3. 街歩きの最終ゴールをあらかじめ決めておく

まず「今日はどのエリアを歩こう」というのをしっかり決めておきます。「とりあえず歩いてみて気になった所があったら寄ってみよう」みたいな出たとこ勝負の街歩きも楽しいと言えば楽しいのですが、熱帯の都市でやると大抵途中で後悔しますし、引きどころが分からなくなって体調を崩しかねません。

2点目ですが「目的のエリアまでは体力消耗を抑える」とも言い換えられます。目的エリアの街歩きをする前に疲れてしまったら元も子もありませんよね。他にもタクシーやバスを使うと、目的地の周辺を通っていく過程で「その土地のカラー」みたいのが垣間見えるため、想像していたよりも柄の悪そうな地域だった場合に早めに切り上げる心積りを持つことができます。

3点目ですが「どこに到達したら終了するか」もしくは「どんなイベントをしたら終了するか」をあらかじめ決めておくと、無駄に体力を消耗することなく街歩きを終えることができます。到達場所としては「駅」「バスターミナル」は帰りの起点になるので便利ですね。イベントとしては「昼ごはんを食べる」「気になるお店で買い物をする」なんかが向いています。

実践例:チョロン 水餃子街→バスターミナル

今回のホーチミン滞在での実践例を紹介していきましょう。
華人が多く住んでいるチョロン地域の水餃子街で昼食を取ってからバスターミナルまで歩いてホテルのある中心街までバスで戻るプランです。下の地図にルートを書き込んでみると直線距離で800mくらいですが、周辺の通りも歩いているので1.3kmは歩いたかと思います。

 2024年2月23日の街歩きルート

この街歩きの最大の動機は水餃子街として有名なHà Tông Quyền通りで水餃子(sủi cảo)を食べることでした。水餃子店は午前から営業している所もありますが14:00を過ぎると店が増えてくると聞いたので、遅い昼食として食べに行くことにしました。

滞在先のホテルは多くの海外旅行者が集まる1区にあり、チョロンまでは約6kmあります。もちろん歩いて行くことはできませんので、配車アプリGrabで車を呼ぶことにしました(もちろんタクシーでも行けます)。チョロンは大きな街区であり帰りのルートを考えておかないと面倒ですが、幸い水餃子街を南下するとバスターミナルがあってホテルのある1区まで路線がつながっていますので、ここをゴールに決めました。

水餃子街 Hà Tông Quyền通り
オイスターソースで食べる水餃子。すごく美味しかった!
華人が多い地域ですので漢字表記のお店も多いです。
道を南下していくと金物街に。通りの表情が変わってきました。
その次はプラスチックやナイロンなどの問屋街
バスターミナルが近くなると食品問屋が並びます。こちらは鳥屋。もちろん肉用。
別の鳥屋
青果屋
香辛料屋。大量のニンニク
チョロン・バスターミナル。今回のゴールです。 

 14:00にホテルを出発して、餃子を食べ終わったのが15:00ごろ。そこから色々な問屋街を見て回りバスターミナルに着いたのが16:15。お目当てのバスを乗車して最寄りのバス停で降りたのが17:00前。トータルでほぼぴったり3時間、理想的な街歩きだったと思います。

次回は食事について気をつけていることなどを紹介します。