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英中越仏 4言語に挑む生活スタイル

2024年度も始まりました。
教養外国語の体制や実施を取り仕切る専任教員の側にいると授業が始まるまでの時期の方が忙しかったりピリピリしているので、実際に大学全体で授業が始まると少しホッとします。

2月末にホーチミン市に行ったことや二村淳子先生の『ベトナム近代美術史:フランス支配下の半世紀』を読んだのをきっかけとして、3月からフランス語の勉強を新たに始めました。

ホーチミン市の近代的な街づくりの中にあるフランスの存在感の大きさに驚いただけではなく、ベトナムにおける学問や美術などの近代的な概念を深く理解するにはフランス語も必要だなと一念発起して、埋もれていたフランス語教科書を掘り出して毎日少しずつ進めています。
「ベトナムをより深く理解するためにフランス語を勉強する」というのは、今時ではかなり珍しい動機かもしれませんね。

ホーチミン人民委員会庁舎、つまり植民地時代の旧サイゴン市庁舎。

やらないといけない言語が増えていく…

「仕事では中国語を教えて、研究ではベトナム語を使いながらフランス語も学んでいく」というスタイルだったらそこまで無理はなかったのですが、ちょうど5月に英語で研究発表をするオファーもいただきました。研究者の信条として「研究での頼まれ事は断らない」と自分で決めているので快く引き受けたのですが、ちょっと待てよ、英語はコロナ禍以降はずっとサボっていたのでリハビリが必要です…

ということで、英語、中国語、ベトナム語、フランス語の4言語の同時学習生活が幕を開けました。

4言語の目標と学習方法

当然のことですが、4つの言語を同時にブラッシュアップするのはものすごく大変です。こういう時はまず現況と目標をはっきり整理しましょう。

英語中級〜上級くらい 5月の研究発表で必要

英語はコロナ禍以来ずっと怠けていたスピーキングを再活性化させる必要があります。とにかく口を動かさないといけないのですが、ネイティブを相手にした個人レッスンをするだけの時間的・体力的余裕はないので学習アプリケーションのELSAに(再)入会しました。

ELSAの良いところはトレーニングの種類が比較的多いのとフィードバックが細かいところだと思います。発音基準をネイティブに近づけすぎていて評価が厳しいと思うところもありますが、「心が折れることなく」弱点に向き合える人とは相性が良い学習アプリです

中国語:超級  上級レベルの授業に備える  

中国語は勉強というよりも、4月から担当する上級レベルの授業のために良い教材を探さないといけません。最新のニュース記事や統計データを扱いたいと思っていますので、独立系中文メディアの端傳媒を随時チェックしています。良質のルポルタージュを通して現代中国のことを考える機会にもしたいので骨太な記事の多い端傳媒はピッタリです

ベトナム語:中級  専門分野の論文を沢山読む期間 

ベトナム語は定期的なレッスンをここ6年間ずっと入れていたのですが、フランス語もあるので今年度は一旦やめることにしました。その代わりに自分の専門分野(言語学)の文献を沢山読んで、専門用語での議論ができることを目指しています。幸運なことにベトナムからの交換留学生が大学院の担当授業に参加してくれるとのことなので、ベトナム語に対訳した教材を作成しています。

日越対訳の大学院教材

ただ、定期レッスンがなくなるとリスニングが弱くなってしまうのでベトナム語のポッドキャストを多く聞くように心がけています。お気に入りはベトナム航空が定期配信している"Bay một ngày đàng"で外国人でも興味を持てる話題が多くてオススメです。

フランス語:入門    5年以内にベトナム関連の文献を読めるようになりたい

フランス語は学習を始めたばかりなので教科書を使って地道に練習を重ねていくしかありません。ベトナム語の定期レッスンを減らした分の時間とお金でフランス語の入門レッスンに参加することにしました。

4言語を同時に学ぶ生活スタイル

こんな感じで4言語の現状レベルや目標、学習方法は全部違っています。レベルの重なりもなく「何をしたいのか」が明確になっていると、短期・長期のどちらの学習計画も立てやすくなります。
とはいえ、「1日は24時間」なのはどうやっても変えられないので4言語を1日に積み込む生活はかなり大変です。 日々の生活で気にかけていることや気づいたことは以下のようなことがあります。

午前中になんとか2言語こなしたい!

午前のうちに中国語でニュースチェックを済ませてベトナム語のポッドキャストが一本でも聞けたら出だしがすごく良いのですが、大抵の場合は出勤時間も使わないと間に合いません。

英語を練習する時間を作るのが一番難しい!

AIが発音を評価してくれるELSAは便利なのですがネットワークと(iPadの)電池をかなり消費するのが弱点です。出先や移動中などのネットワークや電力が安定しない所では落ち着いて練習できないのでがっかりすることもしばしば。あと夜中に娘が寝た後だと大きな声が出しにくいというのも悩みです。意外と時と場所を選ぶ学習アプリだと思います。

フランス語は日付が変わってから学習開始…

フランス語はまだ入門レベルのため一日の学習の順番としては残念ながら最後になりがちです。仕事や家事育児が終わってからようやく向き合えるので、勉強が開始できるのは日付の変わった深夜0時〜1時ごろです。