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『ハードウェアエンジニアのための中国語入門』執筆の裏側

先日「技術書典14」のオフライン開催が無事終了しました。ご来場、お買い上げいただいたみなさま、ありがとうございました!
あっという間に3週間経ってしまいましたが、今回の執筆から出展までの経緯を書き残しておこうと思います。

執筆

今回の執筆は、筆者はギーク中国語の中野ねこりん、そしてハードウェアエンジニアで、中国語がネイティブレベルというフローライト・テクノロジーズの八重樫老板が監修するという体制で臨みました。

部品(パーツ)については、中国のエンジニアがよく使っている「立创商城」という通販サイトの「常用電子部品」カテゴリをベースにピックアップ。それを秋月電子など日本のサイトと照合し、日中の対訳を特定していきました。

「立创商城」については、フローライトのnoteで詳しく書いていますので、興味がある方はぜひご覧ください。

設備や加工、素材については、詳細な工程に関する中国語表現を紹介しながら関連単語を取り上げる、というのが当初の計画でした。しかしながら、見聞きしたことがある単語の対訳を調べるだけでそれなりに時間がかかってしまったため、今回は工程に触れることは断念。(次回にご期待ください!)
紹介した単語を使った現場で使いそうなスクリプトを加えてひとまず初稿とし、その段階で老板に監修を依頼、不足している部品の追加と各用語の対訳及びスクリプトをチェックしてもらいました。(スクリプトはたくさん直しが入りました(泣))

老板が監修作業をしてくれている間に私の方ではコラムを書き、チェックから戻って来たものと合わせて一旦確定稿としました。

組版・校正

ひとまず原稿が完成したので、次は組版です。ページを組むのには「Re:VIEW Starter」を使う予定でしたが、PDF化がどうしてもうまくいきませんでした。自力では解決できず、老板にも見てもらいましたが、やはりすぐに解決することは難しそうだったので、断念してWordで組むことに。

各ページのレイアウト、カテゴリごとの書式、ピンインの表示方法、それらを一つずつ検討・決定し、1ページごとに組んでいくのはとても手間がかかりましたが、心を無にしてひたすら作業に没頭。3日ほどかけて何とか組み終えてPDFにしたものを私と老板それぞれで校正しました。

最終校正の段階では、再度ピンインをチェックし、元素周期表の元素の日本語表記と元素記号を文科省のサイトで再度確認しました。

入稿

修正箇所を反映したデータで私と老板それぞれが最終チェックを行い、いよいよ入稿です。今回は「技術書典」が優遇イベントとして登録されている「ねこのしっぽ」さんに印刷をお願いしました。データが指定の通りになっているか、サイト上で公開されているマニュアルで何度も確認し、締切の半日前に何とか入稿することができました。

が、翌日の夕方、印刷所から電話が……。画面上では同じに見えたのですが、一部文字が黒ではなく濃いグレーになっていて、印刷すると目立ってしまうというのです。書式はタイトルや本文などカテゴリごとに決めて一括で指定したのになぜ!?と困惑しましたが、とにかく早急に修正しなくてはいけません。グレーになっている箇所をすべてメールでお知らせいただいて、強制的に文字色を修正しました。
(印刷所の方、お手数かけてすみませんでした。)

同時に、表紙のフォントについてもアドバイスをいただき、結局修正することにしたのですが、出来上がったものを見て、「修正してよかった!」と心から思いました。印刷所の方には感謝しかありません。

オフライン開催当日

修正版を入稿後、無事入稿完了のご連絡をいただき、ホッとしたのもつかの間、オフライン開催の注意事項を確認したり、展示用ポップを作ったり、オンラインへの出品手続きをしたり、当日まで細かい作業が続きました。

そしていよいよ当日。刷り上がった紙版は会場へ直送してもらったため、そこで初めて現物を手にしたのですが、まさに感無量という気持ちでした。
「書くよ!」と宣言してから約半年。老板に監修してもらえることになりとても心強かったものの、スケジュール管理や出展準備は基本的に一人でやったので、「何か失敗して間に合わなかったらどうしよう」とプレッシャーも感じていました。でも、ここまで来たらあとはターゲットに届けるだけです。

当日のことはすでに別の記事に書いていますので、ぜひそちらも読んでみてください。

出展して感じたこと

何から何まで本当に大変で、しかも当初想定した半分くらいの内容しか書けませんでしたが、それでも手に取ってくれた人々からうれしい反響を多々いただき、「書いてよかった!!!」と心底思いました。そして、今後も「ギーク中国語」の活動をがんばって続けて行こうと気持ちを新たにしました。

私自身はもちろん、今回監修をお願いした老板も、立ち上げ当初から一緒に活動している仲間もみな語学のプロではありません。現場で中国語を必要とするエンジニアです。そして私たちが発信しているものは自分たちの経験であって、「語学」という学術的側面から検証をしたものではありません。商業誌『ITエンジニアのための中国語入門』を書くにあたり「語学本としてそれでいいのか」という不安があったのですが、編集の方の「現場感覚が貴重」というお声に背中を押され、むしろ「惜しみなく経験を書く」ようにしました。今回の「ハードウェアエンジニアのための中国語入門」もそのスタンスは変わっていませんし、今後も現場感覚を反映した「ギーク中国語」をお届けしていけたらと思っています。

今回「ハードウェアエンジニアのための中国語入門」を手に取ってくれたエンジニアのみなさん、電子工作ファンのみなさん、今後のギーク中国語の活動にご期待ください!!





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