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「伝えるための工夫」がやてっく~誕生前夜~ #41


▼ラストチャンスとワンスアゲイン

僕は話し合いに必要な3つの項目を紙に書き出した。書いていると、そんなに難しいことではないことを再確認した。出来ない原因は「知らない」か「慣れていない」かでしかない。人は自分の力を過信するし、いつだって期待する生き物なのだから。

まとめた後で問題に目を向けた。僕はこれから、この話を「納得させなければならない」のだ。人に何かを納得させるのは難しい。少し間違えれば、マウントを取っているように映ってしまう。マウントだと相手が思ってしまったが最後、どんなに話をしても耳に入っていかない。その時点で詰みとなるのだ。次に重要なことは、意味そのものが伝わらない可能性を考慮することだと思った。長い・思想が強い・興味がわかない・つまらないは、絶対にあってはならない。形に残したうえで、これらを回避する方法はとても難しい。労力がかかるし、気も遣うのだ。

最初の伝え方として頭の中に浮かんだのは「マニュアル化」だった。マニュアルにして読み込んでもらえば、それですべては解決するはずだと思った。保存も効くし、便利なのではないだろうかと。 しかし結局、マニュアル化の案は止めた。冷静に考えてみると、マニュアルは気分が悪いと思った。今までのやり方で何も決まらなかったという事を、なんの事前告知もなしに伝えているような感じになってしまう。軌道修正が目的なのに、メンツを潰してしまったら本末転倒だし、今後の話し合いにも支障をきたすことになる。平穏かつ給料泥棒したい僕にとって、それは得策ではない。

マニュアル化を経由したことで、いくつかのことを発見することが出来た。こういうものを差し込む場合、必ず段階を踏む必要があるということだ。納得してもらうためには、それなりの根拠や事例、自分がそれを話すための説得力を持ち合わせていなければいけない。

最初からゴールを具現化するのではなく、まずは何をすべきか?を考えた方がいい。

方向性が見えてきたところで、色々と方法を考えた。

そして見つけたのだ。

今進めている議題を事例として、物事を決める話し合いのフォーマットを作っていきませんか?と提案するのだ。新規事業を決めながら、新規事業の決め方を定める。これなら具体性もあるし、面白いはずだ。段階的に納得してもらわなければいけないという課題もクリアできる。

僕はA4のコピー用紙に新規事業のことで話し合った内容をまとめた。そして、まとめた紙の部分部分に注釈を入れるようにして、先ほどまとめた決定の極みを散りばめたのだ。

次回の話し合いは来週だった。それまでにこの資料をまとめなければならない。これが恐らくラストチャンスだから。

僕はDXプロジェクト発足以来、久しぶりに徹夜した。久しぶりの徹夜は、以前とは違って身体にきた。それでも資料を作り続けたのは、僕の中にある「ラストチャンス」と「ワンスアゲイン」が鈍く熱く燃えていたから。そんな気が、そんな気がしたのである。

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