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「2つの事業案②」がやてっく~誕生前夜~#49

1つの案を練り終えた僕は達成感を抑え、もう1つの案を資料にまとめていく。1つ目のメルマガもそうだが、アイデアは複雑じゃない方がいいと思っている。アイデアが採用されるかされないかは、そのほとんどがプレゼンで決まると思う。そうなると、プレゼンの中に難しい言葉を散りばめたり、構成を複雑にしたりして「なんか凄そう」という感情を煽ることになるのではないかと思う。

優秀で経験も豊富な人間がプレゼンを聴く側に回ってくれればそれでもいいのだろうけど、ほとんどのサラリーマンは事業立案の経験を持っていないと思う。

そうなると、なんとなく凄そうだからという感情に左右されてしまい、精密な判断は難しくなる。自分よりもすごい案を思いついているのが気に入らないとか、この案はとりあえず複雑で難しそうだからうまくいきそうだとか、ブレた判断基準を作らないためにもシンプルかつ分かりやすい言葉で案をまとめた方がいい。

実際、本当に実行しようとなった時に、プレゼンターを含め、誰もその案を形にできなくて終わってしまうなんてことはよくある話だ。時間をかけて作ったのだから、形にするまで責任を持ちたい。そうなれば、誰でも触る事が出来るように、丁寧かつ分かりやすくした方がいい。そこに少しだけ、夢のある言葉が散りばめられていれば、それだけでプレゼンは成立するのだ。

僕が考えた2つ目のアイデアはEIGYOUというアプリの開発だった。

C社の営業マンとお客さんの商談・打ち合わせを動画にして投稿する。これは法人やビジネスパーソンへサブスクでアプローチしていくことになる。場合によっては、広告掲載などもあるだろう。出演してくれたお客様には再生数に応じて、ギャランティーを支払おうと思っている。

このサービスの大きな特徴は3つある。

1つ目は、全国に商品やサービスを展開している会社へリアルなマーケティング材料を提供できるということだ。営業活動を行っているビジネスパーソンからすれば、地方のお店が「今、どんなことに困っているか?」を知ることが出来るので便利だろう。そこから新たな商品が生まれたり、今必要な商品を持っていくことが出来る。コメント機能などを付けることで、その場で商品の紹介を書き込むことが出来るはずだ。

2つ目は、C社に広告を出稿してくれているお客様にも利益をもたらすことが出来る。売上の一部を再生回数に応じて渡すことで、出演したいと言ってくれる人も増える。そうなれば、このアプリをフックにして、C社のフリーペーパーに広告を出稿してもらうことも可能になる。フロントエンド商品としての役割を果たすことが出来るのだ。

最後に3つ目だが、これが一番重要だ。C社の営業能力を向上させることが出来るのだ。その動画を見直せば、どこが良くてどこが悪いのかがはっきりと分かる。他の営業の商談を見れば、良いところマネすることが出来る。上司も営業の評価をしやすくなるし、C社の営業とはどういうものなのかを再検証する時のデータベースにもなる。

C社は営業の会社だ。営業として配属されている以上、そのスキルや商品理解度は常に磨き続けなければならない。こういうアプリがあれば、研修の手間もいらなくなる。会議の時間を設けて、良い動画を見せればいいだけなのだ。

アイデアはシンプルな方がいいと言ったが、もう1つ大事なことがある。三方良しという考え方だ。

全員が得をするように設計していなければ、そのアイデアを進める意味は無いと思う。誰かが損をするサービスは絶対にうまくいかないし、1人勝ちするサービスも長続きしないだろう。

価値は多様だ。だからこそ、あらゆる価値を理解して、どこにどのような価値をもたらすのかを考えなければいけないと思う。

こちらのサービスの懸念点は、それを作るのにかかる初期費用が大きいという点だ。回収までの道筋をきちんと立てなければいけない。

面倒だなぁと思いつつも、こちらのサービスの方が夢があって好きだ。

会議を明後日に控えた僕は、黙々と数値資料を作成した。絵に描いた餅にならないよう注意を払い、想像の中で堅実に描いた。

あとはこれを会議にぶつけるだけとなった。あとは下野さんがなんというか?僕はドキドキとワクワクを混在させながら、時間が無駄にならない事を願い、資料を作り終えたのだった。


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