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少し変わった同窓会:あとがき

5週にわたり連載させて頂きました【少し変わった同窓会】
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。

最後に一度やってみたかったあとがきを書かせて頂こうと思っています。

この少し変わった同窓会ですが、実話をベースにしています。現場で実際に起こった出来事にはほとんど興味がなく、自分の中の心境の変化だけを抽出して書きました。

実際に起こった出来事をベースに書いているためか、いつも書いている創作物よりは書きやすかったです。風景もちゃんと残っていたし、そこで行われた会話なんかも覚えていたので、1つ1つの出来事における自分の心境を言葉にするのが、比較的簡単だったなぁと思っています。

連載にすると決めた時点で、物語の整合性は取れていなくてもいいと考えていました。とにかく吐き出す。溜めない。徹底的に好きな風に書くということだけを決めていました。

尺も文体も考えていません。日曜日、机に向かったなら、最初に思ったことから書き始めて、そのまま勢いで書き切るということだけに集中しました。

結果として、通しで読むのが困難な作品になったかもしれません。1記事1記事が独立しているのに、全部読んだらまた違った味わいがある作品に仕上がってほしい。そんな願望だけを胸にひたすら書き続けたのですが、残念ながら違った味わいにはならなかったのかもしれないです(笑)

ただ、書き終えた今はすっきりしています。今まで出し切ろうと思って創作文を書いたことはなかったし、締切を意識しながら、追われたように書くという経験もなかったので、すごく新鮮でした。新しい自分との向き合い方を見つけることができたなと思っています。

この物語は、僕の大好きな人間の矛盾が今まで書いた創作文の中で一番色濃く出ている気がします。僕自身が、嫌がっていた自分を認識していて、変わっていく自分に色々な感情を持ち、だんだんとそれを受け入れて、最後は決別しています。どこにも一貫性などなくて、場面ごとに全然違う気持ちを持っていて、ひどく優柔不断です。

この物語を書いて、どれだけ自分の気持ちが弱いのかということを改めて理解しましたし、だからこそ、ビジネスなどでは強い一貫性と覚悟を持たないといけないという気持ちが増していきました。

僕はあまり過去を振り返りませんが、この物語は過去を振り返るという行為の象徴でもある同窓会に過去を振り返りたくないという意識を持った主人公があえて参加するという構図を取っています。

こういう登場人物を今まで書いたことが無かったので、実際の自分が、自分が一番やりたくない行為をしていることを再認識する必要があって、最初のうちは大きな嫌悪感がありました。物語の中で、自然と整合性を取ろうとしている自分がいるのに気付くと、これはそういう物語じゃないと、頭の中でイメージを払拭し、気持ちを呼び起こして、ひたすらそれを書き起こします。この作業が苦痛で仕方がなかったです。

ただ、終盤に近づけば近づくほど書きやすくなっていく自分がいて、それはどこか、新しい自分を発見できたようにも思えて、妙な達成感がありました。

結果的に、実際に同窓会に参加した僕自身も、その行為は間違っていなかったと思うことが出来たのは、この物語を書いたおかげだと思っています。

振り返ることで得られる反省とか気づき、そういうものとは違う人間の矛盾とそれは別に悪いことではなくて、新しい自分との対話の手法を見つけるツールにもなるんだよということが分かったので、物語に紹介してよかったなぁと思っています。

普通に日記として書くよりも、物語にして落とし込んだことで、いくつかの発見がありました。今は、こういう機会を沢山作っていくためには、今後どうしたらいいのか?ということをひたすら考え続けています。

もし一端の答えが見えた時、またこうして物語にして、皆様に読んでもらえる日が来たら嬉しいです。

最後になりますが、少し変わった同窓会を読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。これからも変わらず、物語を書き続けていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。


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