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【Week1】深刻な得点力不足はなぜ?

① 開幕1週目も深刻な打線状態

2024年のプロ野球も3月29日(金)に無事開幕。
我らがオリックス・バファローズは、パ・リーグ4連覇&日本一奪還に向けて24年シーズンを迎えたものの、開幕7試合を終えて2勝5敗(.286)で、20年のシーズン最終戦以来となる単独最下位スタートと、ここまではいいスタートを切ったとは言い難い状態で幕を開けることとなりました。

それまでは、毎年最下位が当たり前でよくて4位、いわば「定位置」だっただけに、古くからのファンにとっては「実家のような懐かしさ」「長い出張(1位)から帰ってきた」との声もありますが、内心では4連覇を絶対目標として掲げ応援しているファンにとって、このスタートはやはら満足とは程遠い状態でしょう。

中でも、最下位の要因となっているのは深刻な得点力不足で、7試合でチーム打率.155、総得点8は当然12球団ワースト。
サッカー・Jリーグのチーム1試合平均得点が凡そ1.3なので、一過性のものとはいえ今のオリックスの1試合平均得点1.14というのは、仮にこれがサッカーだとしても得点力不足とされる数値まで落ち込んでしまっています。

この戦績に対して、早くも「やる気がないから打てない」「次打てなかったら深刻認定」などと、打者陣に対してかなり辛辣な声も飛んでいるものの、ファンの心情としては妥当といえる結果(もちろん言葉遣い等のモラルの問題はありますが)でしょう。

4/5(金)終了時点のチームリーダーズ

②なぜ打てていないのか

現時点で、チーム打率.155なので、特定の誰かが悪いのではなく総じて打てていない状況と推察されますが、その中でも打てている選手/打てていない選手に分類すると、以下の通りとなります。
規定打席未到達ながら、チーム打率トップは、#40レアンドロ・セデーニョ選手(20-6)と#5西野真弘選手(10-3)の打率.300、ついで#1福田周平選手の.267(15-4)。あとの選手は全員打率0割〜1割代となっています。
また、ヒットこそ出ていないものの、#3安達了一選手は4打席で3四球をもぎとる活躍で、中嶋監督からも「ああいうの(今期初スタメンで3四球)を見て他の野手がどう思うか、どう感じるのか」と奮起を促すコメントが出るなど、この辺りの「出塁する」選手の活躍が目立ちます。

一方、「主な選手」とされるのは、規定打席に到達している #4森友哉選手、#6宗佑磨選手、#7西川龍馬選手、#24紅林弘太郎選手、#44頓宮裕真選手の「主軸選手」5人に加え、#8マーヴィン・ゴンザレス選手、#99杉本裕太郎選手らでしょうか。いわゆる「一振りで得点できる選手」の状態が上がってきていないと言えます。

要するに、バットコントロールが巧みで出塁能力の高い伏兵タイプの選手(福田・西野・安達)は数字が残る一方、スラッガータイプの選手(紅林・森・西川・頓宮・杉本・ゴンザレス)に数字が来ていない状態です。

この傾向、すなわちシーズン直後のバットコントロール優位性は他球団を見渡しても凡そ同じ傾向が見えます。

日本ハムでは、水野達稀選手、田宮裕涼選手、松本剛選手らバットコントロールに優れる選手が3割〜5割と大暴れの一方、スラッガーのアリエル・マルティネス選手は.045(22-1)、野村佑希選手も.105(19-2)。

コンタクト能力が高い選手が多く、出塁に長けている楽天も、多くの選手が.250〜とまずまず〜抜群のスタートを切りましたが、楽天野手陣の中で一発長打で違いを出せる左右のスラッガー・浅村栄斗選手は.083(23-2)、島内宏明選手は.048(21-1)とこちらも低空飛行。

西武も、源田壮亮選手や外崎修汰選手、佐藤龍世選手が好スタートを切った一方、通算500本塁打も視界に捉える中村剛也選手は.167(18-3)と低調なスタート。昨日の安打で少し持ち直しましたが、コルデロ、アギラーの両外国籍選手はそれまで2割前後を行ったり来たりでした。

そんな中でバカバカ打ちまくっているソフトバンクの近藤健介選手、柳田悠岐選手の両スラッガーはやはり恐ろしいですし、ロッテの山口航輝選手やネフタリ・ソト選手、オリックスでもレアンドロ・セデーニョ選手とスラッガータイプでも好スタートを切った選手はちらほらはいるのですが、そもそもオリックスに限らずどのチームのスラッガーも打てていない状態であり、現在のオリックスの低調は、チーム内におけるスラッガータイプの選手が多いことが発端ではないかと思います。

なぜそうなるのかといえば、1つの要因としては、スイング軌道×眼の部分でしょう。
バットコントロールの良い選手は、身体操作性が高くバットを小さくコンパクトに回すことができますが、スラッガータイプの選手は強くスイングを掛けるために身体をめいいっぱい使って強いスイングをしていきます。

コンマ0.01秒の世界のプロ野球では、そのスイング軌道の僅かな違いでも振り遅れ/早すぎると生死を分けていくので、ある程度割り切ってスイングを掛けていくはずです。
ただし、その割り切りの第一情報となる「眼」は、ドーピングでもしない限りいきなり良くなることはないので、150km/h前後(早い選手なら160km/h超!)のボールに対して目がまだ慣れていないことは要因として挙げられるでしょう。
それは全打者共通ですが、コンタクトヒッターはスイング軌道が小さいので、ボールを長く観れる分影響を受けにくいです。一方で、遠くに飛ばそうとするとスラッガータイプの選手は、割り切って早くから強いスイングをかけて、振る中でタイミングを微調整していくので、やはり眼の慣れによる影響を受けやすいと考えられます。

また、当たり前ですが野球の競技特性上、投手が投げたボールを野手が打つので、主体は投手、受動が野手となります。
新シーズンに向けてオフに改良してきた投手の「秘策」は、新シーズンになったばかりの野手にはまだデータとして存在していない状態なので、この一通りの投手の攻め方は一通り目で見て体感しないと分からない、というのも要因でしょう。現実はパワプロではないので、それまで活躍している選手も毎年のように更にマイナーチェンジを測ってくるわけで。
逆にプロ初先発の選手が活躍する(いわゆる初物云々)、外国籍選手は長い目で見ないといけないみたいな言説も、結局はここに繋がってきます

③今後の展開

とはいえ、一発長打で得点を量産できるスラッガー陣も、本当にシーズン打率.125とかで最後まで収束するのは見たことがありません。
普通に考えれば慣れてきたら打つでしょうね。

ただし、143試合の1試合とはいえ、いつまでもこれだと手遅れになりかねないので、当分は1番からCF福田選手、2B西野選手、CF中川選手、1B(DH)セデーニョ選手と、コンタクト力の高い選手や状態の良い選手を並べ、5番以降は復調してきている順に並べていく(今なら5番C(DH)森、6番LF西川、7番SS紅林、8番3B宗)しかないと思います。
上手くいかないのは相手もプロなので仕方ないですが、最善は尽くしていくべきでしょう。

心配なのは、振るタイミングが合わない中で無理に合わそうとしてスイングを崩したりすることです。
この傾向がかなり見られる #44頓宮裕真選手 はスイング軌道の再調整の必要性があり、二軍に行かせるのも手(幸い1Bはセデーニョ選手が好調ですね)だと思いますが、他の選手は大体がタイミングの問題なので、個人的には不調でも辛抱強く使い続ける他ないと考えます。
結局は、この話は打席に立ってスイングをする中で、眼が慣れてタイミングを掴む他ないと思っているので。

いきなり辛抱強く待たないといけないので、気が気ではないのはわかりますが、個人的にはそこまで心配はしていないです。
もちろん打てていないのでつまらないですし、信者じゃないので批判禁止!とかキショいことはいいませんが、たかだか7試合の結果で『今年はもう無理』と憤る方は、もう少し長い目で寛容に見ることも必要なのではないかと思いました

おわり

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