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【イベントレポ】大手企業がClimateTechに投資できたのはなぜか?起業家が事業を成長させる仕組みづくり、投資家の目の付け所など(ゲスト:株式会社アドライト 木村忠昭さん)

2022年3月24日(木)、イベント「アドライト木村社長来たる『 Climate Tech国内外の注目スタートアップについて』教えて!木村さ〜ん!」を開催致しました。

このイベントは、株式会社アドライト 代表取締役社長 公認会計士 木村忠昭さんをゲストにお招きし、国内外のClimate Tech有望スタートアップ企業をご紹介いただくイベントとして実施しました。

ご参加いただいた方からの、スタートアップ・投資家・大手企業など様々な視点で様々なご質問・ご発言により、オープンイノベーションにおける課題や、起業家が生まれる環境づくりなど、“GarrawayFだからこそできる”意見交流の時間となりました。
そこで本記事では、イベントで参加者の皆様から木村社長に寄せられた質問と、それに対する回答をQ&Aでご紹介します!


【ゲストプロフィール】 木村忠昭さん

株式会社アドライト 代表取締役
木村 忠昭さん


大学院卒業後、大手監査法人に入社し、株式公開支援業務に従事。その後、2008年よりスタートアップ企業へのハンズオン支援を行い、国内では東京大学発ベンチャーの株式会社ユーグレナはじめ5社が上場、海外においては10社がM&A等によるEXITを果たす。現在は、イノベーション支援企業である株式会社アドライトの代表として、新規事業化支援総合プログラム「INTRAPRENEURz(イントレプレナーズ)」や、ネットゼロのための共創プラットフォーム「SUITz(スーツ)」の提供を行う。内閣府やJAXAをはじめとする行政機関やコミュニティの委員など多数歴任。


◆大手企業がClimateTechに投資できたのはなぜか?

ーーー最近、大手企業が、原料の一部を化石燃料から植物由来へと転換していくため投資を行ったというニュースがありました。これについて、どう捉えると良いのだろうかと思い、お尋ねします。
Climate Techは、石油由来で製品を作ってきた上場企業にとって「悪者」のような存在と捉えられてしまうことがあると思います。それに対して、石油由来と自然由来の素材を組み合わせる、という製造方法をとることで、上場企業からすると罪の意識が下がる。だからこそ投資できたのでは、と考えたのですが、そのような認識で合っていますか?

木村さん:実は海外でも、そういった「石油を少し混ぜる」事例は結構あります。例えば、麻だけで 作った部品で車をつくろうとか、微生物だけで何かを着色しようという世界観もあると思います。
しかし、そういった自然の由来の素材と石油由来の本来使用してきた素材を組み合わせることによって、さらに機能性が高まり、一気に用途も広がる、ということがあるので、ほんの少し混ぜていたりするんです。
100点ではないかもしれないが、今の現実的な解として「掛け合わせる」という方法をとっているんですね。

三菱ケミカルの事例に関しても、自社の強みを生かしながら始めて、自然由来で作るノウハウを学びながら、徐々にその割合を増やしていくようなプロセス、ということで捉えています。

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◆起業家から聞かれる「答えられない質問」の意図とは?

ーーー弊社も、Climate テックと呼ばれる分野で事業に取り組んでいるのですが、投資家の方から「どのくらい御社の事業は環境にいいんですか?」「co2はどうやって測定するんですか?」といった、答えるのが少し難しい質問をいただくことがあります。どのように答えるのがベストなのでしょうか?

木村さん:答えられない質問や、まだ今決まっていないことを聞かれること、それなりにあると思います。

投資家は、チーム・市場・ビジネスモデルの3つを見ていると言われています。シード期であればあるほど、チームを見ています。企業の規模が大きくなると、ビジネスモデルの方を重視するようになります。

チームというのは、誰がやっているのか、どんな経験・バックグラウンドがあってやっているのか
最初の頃は、ピボットしたりと、ビジネスモデルが丸っと変わることがあります。場合によっては、市場ごと変わるかもしれないですよね。一方で、何が変わらないかというと、やってる人たちは変わらない
そのため、特にシード期に近ければ近いほど、その人たちがこれまで何をしてきたか、ということを見るんです。

さらに言うと、私がさまざまな起業家の人たちと接していて思うのは、過去は過去でもちろんあるが、今取り組まれていることも新しい領域で、答えがない。正解がない中で、それに取り組もうとしている訳なので、その状況に対して、素早く合わせていけるのか、アジャストしていく速さを見ることがあります。
VCの方に聞いてみても、「起業家と話しても1回ではわからない。1カ月後、3カ月後に会った時、その変化率を見ている」と言います。
「変化率を見て、その起業家の将来を想像し投資をする」と。

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◆社外取締役はいつから入れるべき?

ーーースタートアップ企業を経営している者です。
まだシード期でこれから大きくしていきたい、というフェーズなんですが、社外役員の方に入っていただくタイミングを伺いたいです。木村社長がこれまでにハンズオン支援を行い上場を果たされた企業さんには、どのフェーズで入られたのでしょうか?

木村さん:実は、社外役員のプロみたいな形でずっとやっていたので、結論から申し上げると、入ったフェーズによって、自分の関わり方も変えてきたというところがあります。これまで社外役に入っている時に上場した5社に関しても、それぞれ違います。
社外役に求められるものは、その企業の皆さんはもちろん、株主が求めることもだんだん変わってくるので、フェーズによって、社外役員としての役割もだんだん変わってくると思います。

◆起業家が事業を成長させる仕組みづくり

ーーーシードアクセラレーターのお話をお聞きしていて、日米を比較した時、アメリカには事業を成長させる仕組みがあって、日本にはそういう仕組みがない、もしくはその規模が小さいのではないかと思いました。その解釈であっていますか?

木村さん:あっていると思います。
これも語るとかなり長くなってしまうのですが(笑)

例えば、世界最大のアクセラレーターY Combinator(以下、YC)は、入口がすごくハードルが高く設定されています。この最初の部分で全体の質を担保できてるんです。
日本でも、いくつか似たようなプログラムがありますが、母数が少なく、どうしても入り口の絞りを甘くせざるを得なくなります。そのため、質を担保できないし、ブランド化もしにくいんです。

そのため、そもそも起業家の数が少ない日本では、シードアクセラレーターの機能の中でも、参加後のプログラムを充実させるしかなくなってくるんです。私たちも実際にやっているのですが、プログラムは差別化が難しい、という難点があります。

じゃあどうやって起業家を伸ばせるか?となると思うのですが、YCを参考にすれば、1番強力なのはやはり「コミュニティ」です。横の人がやっているから自分にもできるんじゃないか、と感じることができたり。
YCに限らず、シリコンバレー全体に言えることですが、卒業生が新たに挑戦する人たちに協力したり、「コミュニティの機能」が アクセラレータープログラムで起業家育成するにあたって非常に重要ではないかと感じています。

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ーーーYCは、リーンスタートアップのやり方をとっていたことだと思います。そういう意味では、またディープテックに関しては、リーンなやり方が通用しないことが多いと思うのですが、YC自体のプロセス自体も変わってきているのでしょうか?

木村さん:そうですね。
実は、YCは育成プログラム自体は簡素に設計されています。オフィスアワーのような形で、各領域の専門家の人に壁打ちしてもらうこともできるんですが、「行きたい人がいく」という感じで特に決まりがあるわけではありません。
そのため、私も、ディープテックとはあまり相性が良くないと思っています。

ただ、これからディープテックがより重要になってくる中で、少しずつ変わりつつあるののではないかと思います。
また、アメリカにはアクセラレータの数も多いので、プログラム等のサポートが必要な人は、他のアクセラレータに参加するというのも選択肢にあると思います。


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いかがでしたか?今回は、イベントで出た質問と、それに対して木村さんがお話しくださった内容をご紹介しました!
質問の様子からも分かるように、他イベントではなかなかないような、非常にインタラクティブなイベントとなりました。

今後もGarrawayFは、参加型コワーキングスペースとして、誰もが質問や意見交流に参加できるイベントを開催して参ります。
イベントの最新情報は、各種SNSやアプリでお知らせしております。ぜひフォローの上、気になるイベントがありましたらぜひコンシェルジュにお声がけください!

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【GarrawayFとは?】

Garraway Fは学生さんからスタートアップ、個人事業主、会社員の方、出張のビジネスマンまでどなたでもご利用いただけるコワーキングスペースです。オンライン授業やリモートワーク、会いたい人と会う面会場等の場所としてお使いいただけます。お気軽にお越しください。

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