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カナダ西部のド田舎Atlinでオーロラを見た素晴らしい日①

一通のメール

 
 2024年5月2日。GW後半前最後の仕事を終え、携帯を開いた。カナダから一通のメールが届いていた。

 “Bob Ewing Obituary”
 カナダWhitehorseから南に車で2時間にあるAtlinという小さな村に暮らしていたBobというおじいさんの死を告げるものだ。メールには、葬儀をした教会からのメッセージのリンクだけ貼ってあった。


 カナダで1ヶ月滞在してからたったの半年。まだ記憶にも新しい。ああなんということだ。自分の知らない間に、自分の大好きな人がひっそりと逝ったのだ。その知らせを、無機質なwebサイトで知ったのだ。実感もわかない中、私はいつものようにリビングへ行きいつものようにパスタを茹で、食べた。

  その無機質なメールすらも、次々と届くメールの波に飲まれて消えてしまう。なんとか思い出の中で生きさせられないか。帰りの電車に揺られながら、私と一緒に行った彼女しか知らないであろうそんな彼らとの暮らしを綴ることにした。

 

カナダへ行くきっかけ


 ちょうど1年前、大学四年生の時、海外に滞在したいと考えた私が手を出したのは、ファームステイというものだ。家事や農作業を手伝う代わりに、部屋とご飯をもらう。サイトに登録し、カナダの家族と繋がった。卒論の中間発表を終え、すぐに広島から東京→LA→バンクーバーと飛行機を乗り継いだ。そう、2023年10月の1ヶ月間、私はまさに、彼らの村Atlinに行ったのだ。

LAでは野球を見た。大谷は怪我してたが運良くセレモニーを見ることができた。

 

バンクーバーの名物蒸気時計。時間ぴったりになると学校のチャイムが鳴る


 ゴールドラッシュでできた村、Atlin。人口は数百人だが、夏になると別荘に人が来るので増えるらしい。美しいAtlin湖のふもとにある。空港があり、最も近い大型スーパーがあるWhitehorseからハイウェイで2時間。だから富裕層は飛行機で訪れるそうだ。
 緯度はアラスカくらいあるため、冬はとても寒い。暖房では太刀打ちできないので、どの家も薪ストーブだ。そして条件が揃えば、オーロラ(現地の言葉でNothern Lights)も楽しめる。トナカイも、クマもリスもそこら辺にいる。総じて、大自然に囲まれたのどかな田舎だ。

冬になるとこの湖も凍る。雪が積もっててもまだ秋なのだ。

素敵なステイ先

 私たちがお世話になったEwing家は、おじいさんのBob、おばあさんのTrudy、犬のtillyという構成。その他庭に大量の鶏とアヒルがいる。Bobが独学で建てたログハウスで暮らしている。犬を飼うのも家を自分で建てるのもここでは当たり前だ。

赤の差し色が綺麗なログハウス。Bobの手作り


 trudyは村の学校の先生。Bobはその時は仕事をしていなく、薪を作ったりトラクターなどの整備などがメイン。私たちは農作業をしたり、家の片付けをしたり、薪を割ったりする仕事を与えられた。Trudyは夕方に帰ってきて、鶏小屋から卵を取り、夕食を作る。

夕食。芋とかぼちゃと牛肉。豚はあまり食べず、牛や鳥、アヒルやトナカイを食べる。



 平日は、夜ご飯からが交流の時間。ご飯は小麦、芋、米など様々なものを主菜に、色んなものが出た。日本と比べて特殊ではないけれど、なんだか雰囲気が違うので、ほぼ全て写真に残してある。Bobはなんでもケチャップをつけるし、trudyは健康志向。酸味の効いた昆布茶(コンブーチャと呼んでいた)をよく飲んでいた。


 trudyはカードゲームが好きだ。毎晩トランプゲームをしていた。シークエンスやウィザードなど馴染みのないものからババ抜きや七並べに至るまで様々。私もヤニブというゲームを教えたら、すごく喜んでよくやっていた。

カナダでは有名なトランプゲーム



 その後は、私たちは卒論を、Trudy達は聖書やニュースを読む時間。その後に私たちは与えられたロッジに歩き、寝る。空が晴れててオーロラを見たい日は、夜遅くまで卒論をしたり、交代ごうたいでたまに起きては空を見上げていた。だから睡眠の質は良くなかったと思う。

 これから書く物語は、そんな静かな村の静かな暮らしの中で見た奇跡のように美しい1晩の話。あと2話続きます。

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