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明日から実践できる。今注目テーマ「人的資本経営」を超訳で解説

【超訳】人的資本経営とは、人材を資源ではなく、持続的に企業価値を向上させるための資本と捉える。そのためには、「企業は人なり」に原点回し、管理職のピープルマネジメント、現場の自律的な意思決定能力を高めることが不可欠である

「人的資本経営  まるわかり」岩本 隆
自作まとめシート

人的資本経営とは何か?

「人材を資源ではなく、資本と捉える」ことである。人材は「費用=コスト」と見なされ会計上、人件費として称されるように費用として処理されてきた。しかし、人的資本経営では、資本と捉えて投資を行うことで、その価値の最大化を目指す。人材という資本に投資を行い、リターンを生み出すことが人的資本経営の基本的な考えだ。

人材を資源と考える場合、消費していくだけで長期的な成長が見込めない。一方、人的資本経営であれば、有形資産とは異なり、知識は拡大できる、移動可能で共有可能なものとなり、持続的に企業価値を向上させることができる。

人的資本経営とは「アセット積み上げ型のビジネスモデル」

貸借対照表には直接載らない「無形資本」「無形資産」があると仮定し、人材を労働市場から調達し、人的資本に投資をして資産化し、人的資産を活用してさらなる利益を創出するという図式である。つまり、ビジネスをすればするほどアセット(無形含む)が積み上がり、競合他社が追いつけない状況を作れるようになる。人材力や組織力を高めるというのを、この観点からとらえてみるのは面白い。実際、S&P500の企業価値に占める無形資産の割合は90%を超えてきているなど、今後は無形資産の蓄積と情報開示がこれからの焦点になってくるはずだ。

人的資本の流れ

人的資本開示の政策

人的資本開示とは、非財務情報である人的資本について、社内外に公表することだ。海外での義務化の潮流を受けて、日本では2023年3月31日以降に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から、約4,000社に情報開示が義務付けられた。具体的には、「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」の中で、人的資本、多様性に関する開示が上場企業に求められるようになっている。

また、「ISO 30414」にも注目が集まっている。人的資本マネジメントに関して、社内で議論すべき指標、社外へ公開すべき指標を整理した情報開示ガイドラインであり、「コンプライアンス」や「ダイバーシティ」をはじめ、「生産性」や「後継者計画」などステークホルダーの関心が高い11項目・58指標が網羅的にカバーされている。多くの指標に計算式が設定されていることから、定量化による比較が可能となるなど、人的資本領域における指データドリブン、可視化も今後一層進んでくるはずだ。

11項目と58指標で構成される人的資本のガイドライン

人的資本経営には「企業は人なり」の原点回帰が不可欠

管理職や現場の働き方や求められることも変わってくる。管理職やマネージャーは可能な限り権限委譲し、部下のピープルマネジメントに時間を費やすべきだ。一人ひとりのやる気を高めたり、活躍するためのアドバイスやキャリアサポートに徹する。そして現場は、自分で意思決定する能力を持って仕事を進めることが求められる。企業がいかに一人一人に気を配ったとしても従業員自身に自律性がないと、人的資本経営への投資が実ることはない。だからこそ、今後はCHROのような個人の活躍と成長を重視する経営に理解を示せる役割が重要になってくる。


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