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今年やりたい10のこと 2024
今までの自分の性分として
夢とか目標は口に出さない、いわゆる「不言実行」をモットーにしていたのですが、
歳を取って丸くなったのか気の迷いか、
今年の目標を書いてみようと思うようになりました。
流石に10個をパッと思いつかなかったので
・noteでやりたいこと
・note外でやりたいこと
二つ合わせての計10で書いてみたいと思います。
noteの目標1.連載小説を書く
もともと物語を書くという
てるてる坊主のラブレター【毎週SS】
「まだあるの……」
「ここで最後だから」
ある日の我が家は大掃除の真っ只中。
押し入れの中のものを発掘しては分別する、
この行事のメーンイベントとでも言うべき山場だ。
「これ、お父さんの前の会社で使ってた名刺入れね」
誰からもらったかも思い出せない洋菓子の箱を
母がえいっと勢いよく開けると、
個性豊かな名刺がバラバラと雪崩のようにばらまかれた。
「あちゃー」
「なにやってんの」
母と二人で名刺
奇岩シューズ【毎週SS 裏お題】
「やぁよく来てくれた!」
またしても、私は旧知の友を呼び出した。
「私見を求めるのは構わないが時と場所を選んだらどうかね」
ぶつぶつと文句を言いながらも発掘品を眺めているのは、指折りの歴史学者だ。
今朝方、海岸の一部が周囲の地質の時代と異なることを
不思議に思った研究者が調べると、
十数メートルはあろう薄平たい棒状のようなものが見つかったのだ。
「君ならどう見る?」
「明らかに自然のものとは考
田楽ポリマー【毎週SS × なんのはなしですか】
「ところで、今日の晩飯は何で田楽なの?」
「あなたがずっと食べたいって言ったから」
「そんなこと言ったっけ?」
「やだもう忘れちゃったの」
「ところで、今日の晩飯は何で田楽なんだ?」
「あなた、田楽が好物って言ってるじゃない」
「俺はそんなこと言っとらんぞ」
「じゃあ食べないの?」
「いや、食べるけどさ……」
「なんだ、また田楽か」
「いいじゃないですか、田楽。美味しいでしょ」
「そりゃ旨いけ
文学トリマー【毎週SS】
「君ぃ、一体これはなんだね」
編集長がひと際低音でつぶやく時は、𠮟責の合図である。
此度呼び出されたのは、どうやら校正部らしい。
ピカピカのリクルートスーツからして今年の新人なのだろう。
「確かに『不適切な表現や誤字脱字はカットしてね』とは言ったんだろうけどさ。物理的にカットしてくるとは俺も思わなんだ」
編集長が机にドンと置いたトレーの上には細切れの紙束。
無残にもわが社の重鎮とも呼べる小
二億サイトウ【毎週SS裏お題】
午前9時5分の第一報に、
全世界の金融街は、やがて訪れる未曽有の混沌の渦に足を取られていた。
「テレビつけろ!!」
怒号が部屋中に響き渡る。
ちょっとした世界情勢の変化で市場が目まぐるしく動く
この業界においては今さらというべきか。
大半の社員は、またかという溜息を洩らした。
しかし、今回はそんな生易しい話ではないことを
思い知らされた。
「先ほど国連から発表があったとおり、世界の通貨単位
放課後ランプ【毎週SS】
「日直、ホームルーム終わったら進路希望職員室まで持ってきて」
無慈悲なおつかいを宣告された。
どの世界にも締切を守らない奴というのは必ずいるという
お約束も相まって、結局職員室に届けたのは最終下校時刻間際だった。
戻ってくると案の定教室には誰もおらず、
ただ西日差し込むその一角に1つのランプが置いてあった。
自分の机の中心に、堂々とした立ち姿の黒いランプだった。
「誰のだよ。勝手に置くなし
トラネキサム酸笑顔【毎週SS】
男は画商であったが、審美眼に恵まれず
仕入れた美術品は尽く売れなかった。
街角に構えたの30坪満たない画廊には、
埃が被った絵画や壺で溢れかえっていた。
親の反対を押し切って美大に進んだものの、
芸術の才を見出される気配がないと見るや、
価値を見出す側であればよかろうと
卒業間近に画商になると決めた。
一向に商才を振るう様子がないため、
親からも別の仕事を探せとせっつかれていた。
しかし男もこ
春はまだか(毎週SS:春ギターより)
新生活を機に、新しい趣味をはじめようかと
何の気なしに、駅前の楽器屋を覗いてみた。
薄暗い店内の中に所狭しと並んだ楽器を
ただじーっと眺める。
その中に、何が良いのかもよく分からないまま
1本のギターに目がとまった。
「気になります?」
背後の声に振り向くと、
店の店員と思われる男性が
静かな笑みと共に佇んでいた。
「その春ギターは今年の新作なんですよ」
「そうなんですか?」
「エレキギタ
からかさのレインコート【毎週SS:お化けレインコートより】
ぎゃああああああ!
公園の木々に雨宿りしていた鳥たちが
その悲鳴に驚き一斉に羽ばたいた。
「何してるんですか、からかささん!」
「旦那。あっしの、あっしの一張羅が……」
ショックのあまり言葉も出ない唐傘小僧。
傘故に曲がりはしないもが、心なしかうなだれているように感じた。
「なんで自分の傘広げちゃうんですか。
そりゃレインコートも破けるでしょうに」
「すいやせん。あまりの嬉しさについ」
あ
深煎り入学式【毎週SS】
「えー、暖かな日差しと共に、季節の彩りが一層映えるこの頃……
うーん、まだ固苦しいかなぁ」
「お父さん、まだやってる」
「もう何時間経った?」
「時候の挨拶でそこまで悩むか、普通」
隣の部屋で試行錯誤する父の声だけがずっと聞こえてくるリビングで、
私たち兄弟は呆れ気味に3時のおやつの時間を過ごしていた。
私たちは3人兄弟でちょうど3つずつ歳が離れている。
この春、一番上のお兄ちゃんが大学生に
命乞いする蜘蛛【毎週SS】
ある雨の日のことである。
一人の飛脚が荷物を担ぎ山道を駆けていった。
叩きつけるような雨とぬかるみにうんざりしつつも、水たまりの無いところをひょいひょいと飛び越えていった。
そんな時、足元ばかりで眼前を見落としていた飛脚は
目の前に現れた一人の女とぶつかってしまった。
そして運悪く、担いでいた荷物を谷底へ落としてしまったのである。
「てめぇなにしやがんでぃ」
飛脚は女が何度も謝っているのも聞かず
noteはじめて1年が経ったとさ
先日、私がnoteをはじめてもう1年になったらしい。
早いって。
バッジの一覧からあらかじめもらえる内容は見えてはいるものの、
改めて表示されるとやっぱり嬉しい。
一年前と比べて
始めた頃は何を書くのかも決めず、
ただただ文章を吐き出したくて毎日のように書き連ねていた。
今思うと相当ストレス溜め込んでいたんだな、と。
自分でもしみじみ思う。
そのせいか、最近はこれまで我慢してきたことや
前
夜桜回線【毎週SS】
「君がもう一度会いたいと思ってくれるなら、これを預かっておいて」
そう言って先輩から渡された1枚の紙きれ。
桜色が映える便箋の切れ端にメモ書きを折りたたんだもの、
それが彼女の形見になってしまった。
メモはたったの2行だけ。
何かのidと数字の羅列。
告白めいた言葉も、さよならも何もなかった。
むしろそれがずっと気がかりだった。
日が落ちて、完全に人気がなくなった神社。
最近は観光客誘致にと