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絵本『たべられるきのみ』冒険は食べることから始まる

『たべられるきのみ』
文:菅原 久夫
絵:高森 登志夫
出版社:福音館書店
<内容>
食べられる木の実はお店で売っているものだけではなく、身近な場所でも見つけられます。色とりどりの木の実が生き生きと描かれています。(かがくのとも198号)

福音館書店HPより


この絵本をどのような経路で我が家の本棚に収まったのか、記憶の底を探っても思い出せないのですが、おそらく古本屋さんで手に入れたのではないかと思います。
写実的でありながら、温かみのある水彩画の絵が素晴らしい絵本です。
すでに絶版になっているで、貴重な一冊になっています。
もしかするとメルカリとかで購入が出来るかも知れません。
図書館でも見つけることができるかも?!

秋になると、我が家では必ず寝る前の読み聞かせに登場しました。
扉絵と共に書かれた文章が、男の子の冒険心をくすぐるからです。

あきになって きのはが いろづきはじめたころ
のやまには きのみのおやつが いっぱい できる。
さあ、たべられるきのみを さがしに でかけよう。
 


私も幼い頃、小高い丘の上にあった公園で、やまぶどうややまざくらの実を見つけて、口の中を真っ黒にして食べていたことを思い出しました。
当時は食べられるのかどうかもわからず、ちょっと舐めてみたら甘っかったという友だちの言葉を信じて、そっと実の端っこをかじって味見をする。
自然で素朴な甘みで、チョコレートとは全然違う。
スーパーで売っている葡萄やサクランボともちょっと違う。
食べた後は、友だちと種の飛ばし合い(笑)
遊びの合間のおやつ感覚で、友だちと競って食べていました。
当時は大人たちも、そういった遊びにも寛大だったように思います。
今では子どもたちだけの行動は難しい環境になっているし、自然に生っているものならちゃんと洗ってとか、安全な物かどうか調べてとか、何かと用心してしまいそうです。
それに今では、あけびとか、ぐみややまももなども珍しく、滅多に見ることができなくなりました。

この絵本で育った長男と次男が小学生の頃こと。
夫の実家の庭に柿の木があり、鈴生りになった柿をみて、子どもたちが食べたそうにしていると、義父が「渋柿かもしれないけど、もう熟れているから甘いかもしれないよ」と、3つの柿を手渡してくれました。
「ロシアンルーレットみたいだね」と笑いながらも、熟し具合を見ながら選んだ柿を恐る恐るひとくち。
「美味しい!」とお代わりをねだっていました。
樹医の資格を持っていた義父はちゃんと分かっていて、甘い柿を孫たちに振舞ってくれたのです。

このゲームのような感覚が、自然の中で育った木の実を食べるという遊びに似ているように思います。
自然の野や山で生っている木の実を食べるのは、正しい知識があれば安全で、楽しい冒険になるし、それを食べにくる鳥や虫たちを観察することも来ます。
そうした自然の中で生っているものを食べるという行為は、僅かながらでも、自分が自然の中の一員なんだと実感できる経験になるのではないか。
ハイキングやキャンプで家族で出掛けた時、親子で楽しめるイベントにもなりますよね。



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