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『じごくのそうべえ』芸は身を助ける

『じごくのそうべえ』
作:田島 征彦
出版社:童心社

<みどころ>
「とざい、とうざい。かるわざしのそうべえ、一世一代のかるわざでござあい。」綱わたり最中に、綱から落ちてしまった軽業師のそうべえ。気がつくと、そこ は地獄。火の車にのせられ、山伏のふっかい、歯医者のしかい、医者のちくあんと三途の川をわたってえんま大王の元へ。4人はふんにょう地獄や、針の山、熱 湯の釜になげこまれ、人を食べる人呑鬼にのみこまれます。そうべえたちははたして生き返ることができるのか、あとは読んでのお楽し み。
桂米朝の高座で名高い上方落語の「地獄八景亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)を題材に、関西弁を駆使して描く、スケールの大きな落語絵本です。第一回絵本にっぽん賞受賞した、ユーモラスなストーリーが子どもたちに大人気のロングセラー絵本。

童心社HPより

この絵本はどこで読み聞かせをしても、子どもたちに大人気です。
「とざい、とう~ざ~い」と、落語家よろしく読み始めるのですが、落語を知らない子どもたちでも、すっと違和感なく物語に入っていけます。

物語りには、閻魔大王や大きな鬼たちが登場して、子どもたちにとっては怖いはずの地獄が舞台になっています。
それでも内容は落語なのでお笑い満載。しかもリズミカルでテンポの良い関西弁に、糞尿地獄とか、蹴ると屁が出るという屁袋まで登場し、大笑い間違いなしの展開に繰り広げられていきます!

これだけで終わるとただのお笑いなのですが、主人公のそうべえは地獄で出会った、山伏のふっかい、歯医者のしかい、医者のちくあんたちと知恵を出し合い、様々な地獄から脱出していきます。
昔から「芸は身を助く」と言いますが、それを地で行くそうべえたちの活躍が、子どもたちの興味をどんどん引き付けていくのです。

この絵本を読み聞かせて以来、長男は落語が好きになり、いつの間にか詳しくなっていました。
YouTubeで繰り返し見た、二代目桂枝雀さんが一番好きらしく、自宅でイラストレーターの仕事をしている時は、長男の笑い声が部屋から響いてくることも度々。落語は作業BGMにピッタリなのだとか。

ただひとつ。
難があるとしたら、夜寝る前の読み聞かせにはあまりお勧めできません。
笑い過ぎて眠気が吹っ飛んでしまうからです。
やはり子どもたちは、おならとかうんちなど、お下品な言葉が大好きみたいです(笑)



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