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岩口和暖が歌った「月光」を徹底解剖して分析してみる

みなさま、2023年4月に放送された、The Voice Japan。
この世界的な番組に、娘の岩口和暖が出演させて頂きました。
ありがとうございます。

今回は、親だから勝手に出来る事を良いことに、歌唱テクニックの教材として娘の歌唱を勝手に徹底解剖して行きたいと思います。
「あ~こんなテクニックつかってるんだ~」的な観点でお楽しみ頂けるたらなと思います。

1)イントロのフェイク

「ウ~ ウウウ~」00:05~00:14

イントロが長い曲は、間奏の間にフェイクを入れて見せ場を作った方が良い場合があります。

歌唱前にフェイクを入れる事で、テイクオフの前倒しになりますし、聴き手に対して「お!?」と思わせ注目を得る事が出来るので効果的です。ただし、変なフェイクや合わないフェイクを入れると逆効果にもなりますので、注意が必要です。


2)歌いはじめのをエッジボイス&しゃくりあげで

「I am GOD'S」の歌いはじめの「あ」の部分

和暖の場合、エッジボイスにしゃくりを組み合わせて使っています。
これによりエモーショナルな印象を強く持たせています。
特に歌い始めは「何か違う!」と思わせないと最後まで聴いても貰えないので、ここはとても重要です。歌唱の50%以上はここにかかっていると言っても過言ではありません。


3)2種類のビブラート

「I am GOD'S CHILD この腐敗した」00:16~00:23

「I am GOD'S」の最後の「あ」と、「腐敗した」の最後の「た」でビブラートを使い分けています。最初の「あ」は細かいビブラート。最後の「た」では深いビブラートです。
この短い中でも表現を変えるとだいぶ印象が変わります。



4)「こんなぁ」の小さい「ぁ」のウィスパーボイス

「such a field? こんなものの」00:30~00:35

意図的にウィスパーを入れてますが、これによって声音を抑えていながらも抑揚が生まれ、感情的に聴こえています。


5)ロングトーン

「生まれたんじゃない」の歌い終わり00:38~00:44

ロングトーン全体を100%とした場合、ビブラート無しで50%歌い、残りをビブラートありで歌うとロングが綺麗に聞こえます。
その上で、フェードイン・フェードアウト(音量を山なり型)で歌う事で、よりエモーショナル(感情的)に聴こえます。


6)「貴方の」をウィスパーボイス

「心を開け渡したままで 貴方の感覚だけが散らばって」01:15~01:27

より感情を出したい箇所の歌い始めをウィスパーにする事で、とてもエモーショナルに聴こえます。
玉置浩二さんが良く使っています。


7)Cメロにストーリー性を持たせる

「不愉快に冷たい壁とか」02:00~

Cメロと呼ばれる最後の大サビ前でガラリと雰囲気を変える事で、ストーリー性を持たせる事が出来ます。「起承転結」で言えば「転」の部分です。
ここで好転すると、大サビが壮大に聴こえるので、かなり重要だといえます。


8)同じフレーズの印象を変える

02:40~

大サビは1コーラス目や2コーラス目と同じ歌詞の場合が多いので、前回と同じように歌わない事が必要です。
9)でも言ってるアレンジを入れたり、タメや頭通し(歌詞間でブレスせず次の頭の音まで一気に歌う)で歌うなど、自分なりの間(ま)をつかむ事が重要です。


9)アドリブを入れて自分らしく

「爪跡を付けて I can't hang out this world」02:48~02:57

「フェイク」を入れる事でオリジナリティが出しやすくなります。

多少のタメやメロディを少し変える程度だと「フェイク」ですが、さらにリズムやメロディを大幅に変更している場合は「アドリブ」になります。

フェイク程度だとそれほど影響無いかもしれませんが、アドリブの場合は注意しないと、原曲の印象から大きく外れて大失敗する場合がありますし、元の方が良いと思われてしまう事も多いので、気をつけて下さい。


10)歌い終わりにエッジボイス

「どこにも居場所なんて無い」のロングトーンの最後03:00~03:09

ロングトーンの最後は基本的にフェードアウトして終わるものですが、曲によってはエッジボイスで雑に切り落とすと、「全力を出し切った感」が出るので効果的な場合があります。


11)締めのウィスパーボイス

「How do I live on such a field?」03:12~

大サビが盛り上がったまま終わった方が良い曲と、最後そっと静かに終わった方が良い曲とあります。それは歌詞で判断すると良いかもしれません。

月光の場合は疑問形で終わっています。この歌詞は苦悩を投げかけている印象なので、ウィスパーで締めた方が効果的聴こえます。


12)全体的に小技が散りばめられて

ここで紹介した以外の箇所にも、エッジボイスであったり、ウィスパーボイスであったり、フォールやしゃくり、ミックスボイス、ビブラートの使い分けなど、様々使っています。

大切なのは、どこにそれを入れていくか、という事です。
それには曲の良さ、歌詞の世界観を理解する必要があるでしょうし、それを表現できる演技力や構成力、また演出力も必要です。

そのセンスを養うには、本や映画、演劇などをいっぱい見て、自分のイメージ力を付けるしかありません。

歌も人の物語を演じる、俳優なんだという事を忘れないで下さい。



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