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[MOTHER 機械じかけのコウノトリ]アーティストからのレクチャー_3.藤田卓実

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藤田卓実(現代美術家)

アーティストからのレクチャー3人目は藤田卓実さんです。

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藤田卓実(FUJITA Takumi)

2021年11月6日(土)21:00-23:00

「反出生主義」と「旧優生保護法」
2030年にゲノム編集が社会的に肯定されうるとしたら


“人は生まれてくるべきではなく、また子を産むべきでもない”という考えを反出生主義という。それは人類そのものを否定する立場と、個人的に生まれてくる、生まれてこない、という立場の両方を含むようだ。
なぜ、生まれてこない方が良かったと考えるのか?藤田さんは「反出生主義」に関するSNSの投稿をいくつか例示し、そこで反出生すべき論拠として挙げられている内容から“遺伝的問題”と“社会的問題”という二つの側面に対する願望を整理した。“遺伝的問題”としては・容姿で悩まない・大病にかからない・障害を持っていない。また“社会的問題”としては・事故に遭わない・いじめや職場関係で困らない・入試や就活で困らない、を挙げた。(添付写真参照)

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生まれてきた方が良いのか、悪いのか、という発想は、ともすると「優生思想」ともつながる。命に優劣をつけ選別する「優生思想」。20世紀初頭に欧米諸国で盛んになり、戦時下のドイツでは、障害のある人に対し強制的な不妊手術や、「T4作戦」と呼ばれる計画的な大量殺りくが行われたという苦い歴史がある。
日本でも、敗戦後まもない1948年に旧優生保護法が成立し、1948年から1996年まで施行されている。反出生主義的な思考とこの優生思想は、少子高齢化が進み労働人口が減少する日本において、一人ひとりの活躍がより一層求められていく社会では相性が良いのでは?と藤田さんは考える。

このような歴史を踏まえた上で、参加者みんなで2030年の日本を想像してみた。筋萎縮性側索硬化症(ALS)のために自らロボット化することを望んだロボット科学者であるピーター・スコット-モーガン博士を筆頭に、メタバースと呼ばれる自分以外のアバターを作る人、反出生主義生という生そのものから逃げようとする人、さまざまな可能性は考えられる。
今までゲノム編集に対して、技術のことばかり考えてきたが、その受け皿となる社会的な側面から考えていく必要性を気づかせてくれた藤田さんの発表だった。


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