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最近の試合との差分 36節 アトレティコvsヘタフェ(A) 2024.5.15

36節。ヘタフェとの前回対戦。

ホームで3-3の撃ち合い。

シーズンを通して手堅かったヘタフェは連敗が二回しかない安定感がある。前節は残留へ向けて待った無しのカディスと荒くれ者対決をしたが、空中戦でジェネがとんでもない対応をして献上したPKで負けた(0-1)。勝ち点はとっくに安全圏だが上位にも追いつけそうにないフワついた状況。日程は最後の追い込みという事で双方中2日で迎える試合。

余談ですがホームスタジアムのコリセウム・アルフォンソ・ペレスは、アルフォンソ・ペレスさんが女子サッカーにネガティブな発言をした影響で名前を消されて"コリセウム"になってしまった。数年後にはコリセウム・ホセ・ボルダラスになってるかもしれない。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
ジョレンテ / デ・パウル / コケ / バリオス / リーノ
グリーズマン / コレア

意外と変更は3人だけ。前節活躍したデ・パウルとバリオスがスタメン。
コレアは5試合連続のスタメンとなった。

・ヘタフェ
ソリア
カルモナ / アルデレーテ / ガストン・アルバレス / ディエゴ・リコ
イライシュ・モリバ / マクシモヴィッチ / ルイス・ミジャ / カルレス・アレニャ / オスカル・ロドリゲス
グリーンウッド

電柱なしの不思議なメンバー。ボルハ・マジョラルは引き続き欠場。ジェネも欠場。
イライシュ・モリバは思ったより重宝されている。



●前半

まずヘタフェの配置は4-4-2だか4-2-3-1だか諸説あるが非保持でモリバがグリーンウッドと並列だったので普段通りの4-4-2(4-2-4)という理解で良い。
ボルダラスのチームはあまり配置で縛る事はなく、攻撃ではこのタスク、守備ではこのタスクをやってねという方を優先して立ち位置が決まっていく。加えて2トップや2CHに左右のこだわりがないのも特徴的。CBはさすがにあるが。
この試合はモリバが"守備ではグリーンウッドと一緒に最前線プレス、攻撃ではライン間をうろうろして動き回ってね"というタスクが優先されていた。他の試合でこういう起用に記憶がないが、ライン間で一度ボールを受けてSBに渡し、アーリークロスを入れさせるような役割なのかもしれない。この日はターゲットになるFWがいないが。

アトレティコの話をしていこう。この試合のメンバーは変化点がいくつかあったが、まずは不変だった点。それは非保持5-4-1を継続した点。ヘタフェの保持をリスペクトした結果というよりはもう5-4-1でやる事が決まっていた感がある。言っておくとオサスナ戦も5-4-1になります。

グリーズマンが左大外に落ちる5-4-1。ヘタフェが普段通り2CB+2CHでボールを持って進んでくる(蹴ってくる)。前線の4人は中央に固まり大外をSBが取るがそこまで高い位置に出てこないケースもあるのでアトレティコのWBは割と暇していた。結果、ボール奪取時点で特に右でジョレンテがどフリーで1stパスを受けられる場面が相当数あった。

ジョレンテがフリー

パスコースをヴィツェル、コケ、デ・パウル、バリオスが用意しているという超絶贅沢環境である。ボールを失うはずがない。後ほどまた触れるがマクシモヴィッチはグリーズマンをマンマークするタスクを与えられている。

さてこの日のアトレティコは5-4-1の4の並び順の都合でデ・パウルとコケの位置が逆である。今季何度かあった。別にアンカータスクをデ・パウルがやるわけではないのは注意点。
また非保持配置でも2列目は比較的コケを後方に残して前に出ていく形が見られた。

ヘタフェのCBにボールは持たせるが、実はいつの間にか4vs4のプレスがハマっている。良い守備でした。この形が真の配置とも言えて、3-1-5-1のように配置してバリオスもデ・パウルどっちも右IHのような立ち位置を取った。どこかで見た事ありますね、そうですねジローナです。

右偏重

ヘタフェはマクシモヴィッチがプレス時はコケを追いかけながら撤退局面ではグリーズマンのマンツーマンをするハードタスク。グリーズマンはマクシモヴィッチがついてくる事を確認してコケの近くまで落ちてきてエルモソに高い位置でプレーさせたのは流石である。
そして前半だけで何回オフサイドになるねんという回数背後を狙っていたコレアだが、最前線は相手の4バックに対してコレアと大外のリーノしかいない環境。オフサイドになっていいから裏を狙うのが正解。オフサイドになった数だけ必要な仕事をしたと評価していい。むしろ驚いたのはコレアの裏抜けを欠かさず確認して背後にパスが出てきた事で、フェリックスが何度走り出してもパスが出てこず絶望していたあれから2年、チームは変わっている。

前半のグリーズマンの2得点はいずれもこのコレアの裏を狙う動きに起因した。
1点目はヴィツェルがデュエルに勝ってデ・パウルがフリーで前向き。アルバレスが過剰な程コレアを警戒したのは「コレアが裏を狙ってくる」刷り込みと「グリーズマンは裏を狙わない」刷り込みが両方作用した結果だったように見えた。ついでにグリーズマンの事はある程度マクシモヴィッチに任せて良いという共通認識だった可能性がある。それにしてもグリーズマンのランニングコースと1stタッチは完璧。デ・パウルのボールも完璧。
2点目はPA前の混戦で裏抜けを狙ったコレアにこれまたデ・パウルからパーフェクトなボールが出た。リーノには合わなかったが大外でグリーズマンが反応して決めている。

得点とは別に前半の構築を担ったのはジョレンテを中心に右サイドの侵攻で、前節セルタ戦同様にバリオスのコネクトが良く、デ・パウルとコケが手厚くサポートしながらコレアも関与していった。ジョレンテとバリオスからコレアに低いクロスが1本ずつと、ジョレンテの横パスをコレアがスルーしてグリーズマンからコレアにスルーパスが出たシーンもあり前半だけで何度もゴールに迫っている。


●前半終了

2点先行。アウェーでこれ以上ないスコア。確実にヘタフェが人を入れ替えてくるはずなので対応していく事となる。2試合連続クリーンシート中の良いところを継続したい後半へと進む。


●後半

後半開始からヘタフェは3人を交代。ハイメ・マタとラタサを入れてFWを投入すると同時にカードを受けたリコに替えてジョルディ・マルティンを入れる。

アトレティコはバリオス→アスピリクエタを交代。バリオスもプレータイムを調整される立場になっている。
これでヘタフェはサイドでグリーンウッドの質を押し付ける形を模索する。しかし前がかりになろうとしたところで51分にアトレティコのプレス回避が炸裂し、デ・パウル→コケ→グリーズマンでひっくり返して最後はリーノからグリーズマン。パーフェクトなトランジションからグリーズマンのハットトリックで試合を決めた。その後は緩やかにクローズ。特に新しい点はなし。フェルメーレンの起用もなし。


●試合結果

無事勝利。公式戦3試合連続のクリーンシートは今季ようやく2度目。
懸念点はヴィツェルとヒメネスが次節同時に出場停止になった事くらいであとは特に問題ない。ジョレンテが少し疲れてそうなくらいだがそろそろモリーナが出てくるだろう。 

この試合でアトレティコがやった事はここ2試合のリケルメ&リーノの併用と違い、デ・パウルとバリオスを中盤に置く事。相手の高い最終ラインの裏を狙ってそこにデ・パウルから配球する形が試合を決めた事を考えれば正解を出したとも言えるし、どう見てもここ2試合よりも有機的かサッカーができていたとも言える。グリーズマンが結果を出せばこんなもの、とも言えるだろう。

最終ラインが入れ替わる次節はまた違う形を見れそう。あと2試合。


5/15
コリセウム
ヘタフェ 0-3 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】'27 '42 '51 グリーズマン


●ピックアップ選手

グリーズマン
10節セルタ戦に続く今季2度目のハットトリック。シュートが枠に飛んだ日。

デ・パウル
1点目と2点目を演出。3点目のプレス回避にも関与した。前向きになれる環境を得て自由にプレーした。

バリオス
好調。スペースを探して動いてそこにボールが出てくる。バリオスのコンタクトを中心に周囲が動き始めている。

コレア
得点にはならなかったが背後を狙って動き続けた。良かったです。

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