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手を替え品を替え 35節 アトレティコvsセルタ(H) 2024.5.12

35節。前回対戦。

グリーズマンのハットトリック。大体最近と同じサッカーをしていた記憶。

セルタは降格圏が5ポイント差に迫る。ここは全力で引分が欲しい。ちなみに来週はアトレティック戦なのでもしかする可能性がある。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
アスピリクエタ / サヴィッチ / ヴィツェル / エルモソ
ジョレンテ / コケ / リケルメ / リーノ
グリーズマン / コレア

出場停止明けのグリーズマンが復帰。最終ラインはサヴィッチが入った。モリーナはベンチ外。おそらく先週の試合の怪我の影響。

・セルタ
グアイタ
ミンゲサ / ジャイルソン / スタルフェルト / ヌニェス
ベルトラン / ダミアン・ロドリゲス / ウーゴ・アルバレス
アスパス / バンバ / ラーセン

先週復帰したスタルフェルトを中央に。
中盤は前節初スタメンだったダミアン・ロドリゲスを起用。バンバが4試合ぶりにスタメン復帰。




●前半

・序盤の噛み合わせ

気づけば今季おそらく一番試合を見ていないセルタ。まずジャイルソンはどれくらいCBで使われているんでしょうか。SHの選手だった記憶。カンテラーノも多くて割とわからない箇所が多い配置だったが。

双方非保持5バックで睨み合う形だがあまりWB同士のタイマンバトルにはならなかった。そういう意味ではアトレティコにとってそこまで望ましい噛み合わせではなかった気がする。アトレティコはこの日も5-4-1で配置。特に変更点はないがこの後変化するので念のため。

保持局面では最近多い後ろ2枚。エルモソがCH並列。そしてリケルメ&リーノ併用。エルモソ側から前進する形が増える以上、エルモソと同レーンで縦パスを受ける選手はリケルメの方が良いのでは、とたぶん誰もが思っているがこの日もリーノが内側。リーノは与えられたタスクに忠実すぎる嫌いがあり、"内側と言われたからハーフスペースに立つ”となりがち。結果的にリケルメを大外に閉じ込めてしまい、グリーズマンのプレーエリアを狭めているように感じる。ただしもちろん裏抜け一発を狙えるのでゴール方向に置いておくメリットもある。それにしてもセルタの最終ラインは高め。そして最近ブレスオブザワイルドの実況を見ている関係でセルタと打つとゼルダが出てきます。誤字脱字チェックよろしくお願いします。

その左からの侵入経路。
外側のレーンでエルモソの前にリケルメ&リーノ。コケがエルモソをサポートして逃げ道を作りながらFW&逆サイドまでの展開を見ている。右WBがモリーナではなくアスピリクエタなので大外レーンを狙っているというよりはサポートポジションでサイドチェンジを受けてジョレンテにポケットランしてもらうパターンが多い。
ちなみにそうなるとアスピリクエタ&ジョレンテとトライアングルを作るのはコケのタスクになる。今サイドチェンジ蹴ったのに?

右の構築。モリーナがいいかアスピリクエタがいいかは一度置いておく。大事なのはモリーナが使いたいスペース・ボールを受けたい位置とアスピリクエタのそれがどう違うのかという点。そしてそれがジョレンテ(とコレア)とどういう相性かというお話。もちろんデ・パウルにも関連する。

アスピリクエタは自分の立ち位置と同じアンテナで、あるいはそれ以上の意識で"味方が使いたいエリア"を意識できる選手。"ジョレンテはそこでボールを受けたいよね"をとてもイメージする。"ジョレンテはボールを持ったらWBにここに入ってほしいよね"も同時にイメージしている。アスピリクエタは良くPA内の空洞にスルッと入ってボールを受けるシーンが多い。そこ使えるんですね、というポイントを使える選手。この日の配置だとグリーズマンの関与が右サイド侵入のポイントになりそうだったが相手CHがけっこう見張っていた。そしてアトレティコのビルドアップ局面では左WBのウーゴ・アルバレスが必ずスプリントでアスピリクエタに寄せる作業をしてきたので次第にアスピリクエタは低い位置でボールを触って前線の選手のプレーエリアを確保させる方向に傾倒していった。

こういうボールを引き出すためにアスピリクエタは低い位置に

セルタの配置のポイントは右側にミンゲサに加えてジャイルソンを置く事で攻撃の糸口を準備しようとした点。たぶん。そしてジャイルソン上手いです。
個人的にアトレティコは5-4-1だろうが5-3-2だろうがどっちでもいいんだが、この日はアスパスにライン間タスクをされる事、変なトランジションでぶっちぎられる事が即失点に直結する。じゃあ5-4-1ならトランジションを警戒できるのでしょうかというと保持配置が全然変わるのでそんな事もない。5-4-1でも5-3-2でもグリーズマンがいる限り同じような保持配置になるのも今のアトレティコの特徴でしょう。だからどっちでもいい。


・両チームの変化

セルタで崩しの主役になるのはアスパスとバンバだが、この2人が途中で左右を入れ替えている。バンバが右。見返したらちょうど18:00にアスパスが直接バンバに指示していた。どこまでが選手の裁量でどこからがベンチの指示なのか興味深い。アスパスが監督に言われたのかな?

そんなこんなでバンバがエルモソ相手に1vs1を仕掛けられる環境になる。そう考えると最初からこっちで良かった気がするんが。

バンバのピンが効いてライン間侵入も使われ始めた。ミンゲサはスペースのないところからでも良いクロスを上げられる事も相まって対応に苦慮していく。ワンツーを使って簡単に深い位置を取れるので。


その後アトレティコも変化。25分頃にリケルメが右サイドに動いた。

左に2人置いて崩せないなら右に動かす、ができるのはこのメンツの良いところだと思うが、なんであのタイミングで動かしたのでしょう。

タイミングはわからなかったが、アスピリクエタとジョレンテがもう一人を必要としていたのは事実で、ボールを握り続けましょうという意思表示だったのかなと。コレアも右サイドの4人目として関わりやすくなり、左はリーノが内も外もやれよという形に。それは良いんだが、問題は守備の方。
リケルメがいなくなった事でアトレティコの左サイドで再奪回のフィルターが効かなくなり、そしてシンプルに人がいないのでエルモソが晒される形となる。エルモソがバンバに抜かれるのはそりゃそうなんだが、さらにリケルメが右に行くとコレアが頂点で左大外にグリーズマンが落ちる事になる。

ミンゲサとジャイルソン周辺が危険と言っていたのにグリーズマンに求める守備タスクが重たくなるのはいかがなものか。しつこいですがジャイルソン良い選手です。

という事で前半の終盤は敵陣侵入の説得力を得たが、非保持の時間が伸びましたという展開に。じゃあ後半はリケルメとリーノどっちか下げてFW増やすんでしょうねという話になって前半終了。



●前半終了

58.1%保持した事を考えてもこれで先制点が取れていたら簡単な試合になっていた感がある。リケルメとリーノを併用すると機動力もあるしご覧の通り配置の柔軟性も格段に上がるのでこのメンバーで先制点を取ってあとは時計を進めるだけとなればかなり楽な展開になるのだろう。問題はその先制点をどのように取るか、だが。グリーズマンを最大化できない事もこのメンツの特徴のように思う。となるとファーストチョイスにはなりにくい。

セルタ側は一応背中が涼しい勝ち点状況でアウェーのアトレティコ戦は1ポイントで十分、なのか意地でも3ポイントを取りにいくのかがあまり判別できない前半。後半もわからなかった。ある意味普段通りなのかもしれない。
非保持は5バックで構える、アスピリクエタを自由にしない、右ポケットランの対応はヌニェスの気合、という部分で差し引きプラスである限りはどうにかなる。バンバを右に動かした事で狙っているパス回しができていったので手応えはそれなりにあったはず。こちらも先制点が取れていれば次のフェーズに進めた。しかし0-0。後半へ。



●後半

アトレティコはFWを入れる。モラタ。交代はリーノだった。リケルメが残った理由はリーノのプレータイムか、先週点を取ったご褒美か。

リケルメが左に戻り、右はコレアがジョレンテと仕事を分ける格好に。グリーズマンのプレーエリアが明らかに広くなり、ボール関与を増やしていく。

また、コレアとグリーズマンがモラタの左右にいる事で5-4-1というよりは相手HV(ジャイルソン&ヌニェス)のマークを担当する5-2-3に見える形に変わり、これで配置が噛み合ってWBで堰き止める守備ができるようになった。FWを増やしたのに非保持の矛盾が減った現象。狙ってやったとは思えないがどうでしょう。
あとは点を取る方法を増やしていきたいので、55分にデ・パウルを投入。

サヴィッチを下げてアスピリクエタとジョレンテが一つずつ動く。便利ですねえ。
対人で負ける箇所は考えにくいので、同じ配置なら人を入れ替えても大丈夫という判断が速かった。こういう選手交代はシメオネっぽい。さらに62分にバリオス。

非保持では引き続きグリーズマンが左落ち。
これでアトレティコはドリブルで運べるデ・パウルと絶対にボールを取られないバリオスにグリーズマンが近づくようになり、中央の支配が決定的になる。普段通りに戻っただけと言われたらそれはそう。

この日相変わらず良かったのはリケルメがモラタに合わせるクロス。74分にヘイニウドと変わるが、左サイド外側でボールを持つ2人(ヘイニウド&エルモソ)がどちらも左利きになってしまうのはあまり宜しくなさそう。押し込んだ時のクロスの上げ方がね。
もう一つ良かったのがバリオスで、ジョレンテ周辺の立ち方が良く自分がポケットに入っていく形を使いながら侵入に工夫があった。ジョレンテに「やれ」と言われている事を全部やっていたら上手くいくようになった感じ。グリーズマンと替わって入ったメンフィスも右サイドに関与するようになり、崩しの主役となっていった。一方セルタは形を変えたり環境を変化させる事ができず苦しんでいた。このシステムと心中する気はないが、かといってプランBもないのかもしれない。

アトレティコの決勝点はようやく84分。久しぶりに見たコケのCKが流れてセカンドボールをデ・パウルが右足ボレーで見事に決めた。33節アトレティック戦に続くゴールでヒーローになった。



●試合結果

手を替え品を替え、なんとか勝利。時間はかかったがどの時間もそれなりに納得感のあるサッカーができていたのは良かった点。リケルメとリーノを併用してピッチを広く支配する時間からモラタを入れてゴール前に迫力を出していきデ・パウル&バリオスで押し込みフェーズを作った。失点の可能性を消しながら必ずどこかで一点取るという発想は巡り巡って元に位置に帰ってきた感がある。4月1日ビジャレアル戦以来の復帰となったメンフィスのコンディションも問題なさそうに見えた。
守備の安定はヴィツェルとアスピリクエタが担保した。サヴィッチも問題のない仕事。ネガトラに神経を使っていたのはコケで、中央ルートを進ませない事に意識を集中。普段よりもシンプルな選択肢を増やしていた様子。ジローナがポイントを落とすのを待ちながら、3位の座を最後まで狙う。

セルタは配置で殴れる試合になれば侵入ルートが複数ある事を見せつける試合。点が取れるチームである事を表現できていた。このクオリティで残留争いをしている場合か。と思いつつセルタとはそういうものかもしれない。
あまり0-0で試合を終わらせる方法論が見えないのは残留争いをするチームには致命的に見えるがギリギリ大丈夫でしょう。とはいえミッドウィークにアトレティックに負けるとカディスの足音が聞こえてくる可能性も。


5/12
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 1-0 セルタ
得点者
【アトレティコ】’84 デ・パウル


●ピックアップ選手

アスピリクエタ
WBで起用したい理由もHVで起用したい理由もよくわかる試合。アスピリクエタが2人欲しい内容だった。

ジョレンテ
CHからスタートし、得点が必要な後半にはWBへ。攻撃ではバリオスを上手く使い、守備は最後まで良く走った。

バリオス
ジョレンテと協力した右ポケット取りを連発して起用に応えた。「右で使いたい理由」を証明した試合と言える。

デ・パウル
そういえばこういうミドルシュートを期待されていた気がするがいつの間にか点は取れなそうなキャラになっていた。見事に試合を決めてみせた。

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