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拘りはウノセロ 34節 アトレティコvsマジョルカ(A) 2024.5.4

2週連続で国王杯ファイナリストとの試合。今週は準優勝のマジョルカと。前回対戦

この日はコケの600試合出場。マジョルカはムリキがいなかった。

先季は9位で終えたマジョルカは今季苦戦。まだ降格の可能性を残す。イ・ガンインとルイス・デ・ガラレタがいなくなればそりゃキツいでしょうよ。マフェオも故障が多かった。カディスの次に少ない27得点と攻撃で苦しんでいる。逃げ切れるか。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
アスピリクエタ / ジョレンテ / コケ / バリオス / リケルメ / リーノ
コレア

グリーズマンが累積でお休み。コレアのスタメンは3戦連続でこれは今季初めて。これがラリーガ通算300試合目の出場。モラタはベンチからとなった。

・マジョルカ
ライコヴィッチ
マフェオ / ヴァリエント / ライージョ / ナスタシッチ / ラト
ダニ・ロドリゲス / マスカレル / ダルデル
ムリキ / アブドン

いつの間にか復帰していたマフェオがスタメン。
ライージョはこの日がマジョルカで250試合目の出場。おめでとう。
FWはムリキとアブドンをどっちも使う。



●前半

マジョルカは5-3-2、アトレティコは最近やっている5-4-1で配置。アトレティコの都合はグリーズマンとメンフィスがいない状況でモラタもベンチスタート、という事でコレアの左右をどのようにサポートし、前線の枚数を準備するかが保持正面の争点となる。リーノとジョレンテの期待値が高い箇所。
マジョルカは配置よりもマインドの部分。試合前時点で18位カディスがマドリーに負けたので、降格圏まで6ポイント差。アトレティコ戦はドローで十分合格点を得られる、というマインド。

という事で、アトレティコはメンツの都合、マジョルカはメンタルセットの都合でハイプレスは控えてゆっくりと試合に入った。マジョルカの思惑としてはボールを持って押し込み、セットプレーでも取れれば万々歳だと思われるが、この試合はアトレティコの非保持設定が良かった。良くなかったら5-4-1の意味がわからんし得るものも何一つないので当然だが、まあ良かった。

5-4-1

ちゃんと5-4-1。前はコレアだけ。マジョルカのビルドアップ設定は後ろ3枚とマスカレル。WBは普段見てるより高いスタートポジションだった気がするが、アトレティコのブロックが低いと見ての設定かもしれない。
アトレティコはコレアとジョレンテ&リーノがプレス担当。相手最終ラインに対して同数と言えば同数だがGKとマスカレルを経由されるのでここでボールを奪う意図はない。綺麗にハマったのはその先のブロック。
両WBのマフェオ&ラトをこちらもWBで見張り、2トップを3CBで監視。スタートポジションが左だったキーマンのダルデルはバリオスがマンツーマンでついて行った。ダニ・ロドリゲスがエルモソの背中を取る担当ともいかないのでダルデルは右まで出張してきていたが、結果的には右一辺倒の攻撃になってアトレティコは守りやすかった感がある。そして当たり前だが5-4のブロックだとコケの横幅を守る能力が発揮されてFWに向けて縦パスが通ってくるような事は一切なかった。

マジョルカはダルデルの移動とWBの質で良いクロスを上げる形を模索しようとしたが、5分にアトレティコが先制してしまう。個人的に大好物のアスピリクエタのスローインからゴール前でリケルメが3人振り回すパーフェクト1stタッチで出し抜いて右足を振り抜いた。公式戦の得点は1月18日の国王杯マドリー戦以来、ラリーガに限ると10月19日の11節アラベス戦以来の得点。随分長い事決めてなかったよね。

この得点でさらにアトレティコがマジョルカの攻撃を待ち構える展開となる。エルモソがいてバリオス&コケがいる環境なのでプレス回避はほぼ危なげなく進める事もあり、保持時間を伸ばさずともピッチを支配していった。これが今シーズンの財産なのか、この試合(ここから38節まで)のためにキッチリ準備しているものなのかは定かではないが、何となくちゃんと意図を持って準備している気がする。残りの試合はソシエダ以外上位との試合はないので、リスクを低減するような戦い方なのかなと。そうなるとグリーズマンを最大化できないジレンマがあるがこの日は出場停止なのでその話は来週のセルタ戦ですれば良いかなと。

いずれにしてもこの日くらいの強度だとバリオスはほぼボールを失う事なく自在に進んでいった。保持で揺らぎを作っていたのはアスピリクエタ。

普段の右WBモリーナよりも低い立ち位置で構えてヴィツェルからボールを受けた。ここにラトorダルデルが出てきてくれるとアトレティコの攻撃は簡単になるという仕組み。左ハーフスペースを棲家とするリーノはコレアを飛び越えて右まで来る得意の形も出した。リケルメにやらせた方が面白そう、といつも思っているが。
左はシンプルにリケルメが外、リーノが内。エルモソから配給してコケのサポートを得る。30分には立ち位置でマジョルカをビタ止めさせてエルモソがPA内に侵入してきた。これも得意の形。さすがにこのメンツだとカウンターでゴールまで迫る事はできず、それとなく時間を過ごしていった。


●前半終了

1点リードで折り返す。リケルメの得点は一芸だが開始直後の一発でチームを楽にした。危なげないブロック守備とプレス回避。一点取れていなかったら印象は大きく異なったと思うが、サイドからの放り込みとダルデルに出し抜かれる以外に失点の気配もなかった。ムリキがヴィツェル側でプレーしているのもアトレティコからすると助かっている。右からは大きいクロス、左からはGKの前に飛び込むボール、のイメージがあるのでムリキは左に寄るのかなと。
案外違いを作りそうだったのは右HVのヴァリエントで、かなり高い位置まで顔を出した。彼の立ち位置でマフェオをフリーにしたりするとややこしくなる。ヴァリエントが大外に出てきてマフェオを内にいれる機会もあったので。


●後半

アトレティコはエルモソ→モリーナを交代

アスピリクエタを左に回す形は頻りにテストしたい模様。
これでアトレティコはモリーナの持ち出しから攻撃を始めるように変わる。相手のWBを片方押し込めれば守備のリスクを大きく減らせるので、良いと思います。これでマジョルカの選手交代タイミングまでやり過ごせる事が確定する。54分にはライージョのコントロールミスを攫ってコレア→ジョレンテでカウンター完結。最近はこういうのが決まらないね。

マジョルカの交代は62分。トップのアブドン→ラリンは既定路線で、もう一枚はマフェオ→モルラネス。中盤の枚数を増やした。

サイドの高い位置を取るマフェオを残さなかったのはコンディション的なものなのか、何か別の理由があるのか。しかしこの中盤4枚は流石にボールが回る。そしてマスカレルとモルラネスはどっちがどっちかわからん。
75分にようやくラトがペナ横でジョレンテとタイマンする場面を作ったがシュートまでは行けずさらに2枚交代。ジオバンニ・ゴンサレスとラドニッチを入れて右サイドを交換。マフェオで良かったような。結局色々替えた末にラリン目掛けて蹴っ飛ばす事でゴールに迫り始めるマジョルカであった。

アトレティコは後半から出てきたモリーナが怪我で下がるアクシデントはあったがサヴィッチとヘイニウドを入れて盤石のクローズ。



●試合結果

後半開始からマジョルカの選手交代までの約16分間にシメオネらしさが詰まっていた。「こうすれば失点しないね」を作って時間だけを経過させた選択は見事。

"守備のチーム"アトレティコは、これが25節のラス・パルマス戦以来、公式戦14試合ぶりのクリーンシートだそうです。当然これはシメオネ政権で最長。約2.5ヶ月ずっと失点していたそうです。ちなみに不思議なもんでジローナとバルサより失点少ないです。

シメオネの凄いところはこういう、誰が見ても改善が必要なチーム状況でも「2点目を取らないと不安」ではなく「1-0で終わらせよう」を心の底から信じ抜けるところだと思う。まあこの日は2点目を取りに行く選択肢が極端に少ないメンバーだったが。後半は保持率32.7%。ボールをほぼ放棄してマジョルカの選手交代に対応していった。こういう勝ち方は好きだなあと思います。スペクタクルは一切なかったが。

マジョルカは着実にボールを持つ手段を増やしつつ、相変わらず点が取れませんねという内容。あと4試合。1つは勝って残留を決めたいところ。


5/4
エスタディ・デ・ソン・モイシュ
マジョルカ 0-1 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】’5 リケルメ


●ピックアップ選手

リケルメ
久しぶりの得点で3ポイントをもたらした。
それ以外は特にインパクトなし。

バリオス
案外フル出場は今季まだ8試合目。穴を開けずにタスク完遂。

ジョレンテ
普段と違う事をする時は必ずこの男が仕事をする。もっとゴール方向へ向かって良かった気もする。

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