会社のYouTubeチャンネルの視聴者の99%が男性なんだけど

昨日本屋に行って見かけたこの本を読んでいる。

「わかりあえなさ」から始める組織論、というサブタイトルに惹かれた。というのも前職で本当にわかりあえなかった部下のことが今でも頭をよぎるときがあって、なんとかして昇華したいからだ。
僕が辞めた後も、彼女は「残業が禁止されているから」という理由で勤務時間を3か月連続でショートするなど奇妙なことをしているという話を聞いたので、決して相性だけの問題ではなかったと思うけれど、また次そういうわかりあえない人と会うかわからないので、備えるに越したことはない。
まあそこまでわかりあえない人を相手にするのでなくても、例えば2階層上の上司に話を理解してもらえない時とか、他部署とどうもうまく調整できないとか、そういうことはままあることだ。

この本ではいくつか重要な対比が用いられるが、その一つが「技術的課題」「適応課題」だ。ロナルド・ハイフェッツという人が定義した言葉だそうだ。

技術的課題:既存の方法で解決できる問題のこと。
例:のどが渇いた
→水を飲めば解決する
適応課題:既存の方法で一方的に解決ができない複雑で困難な問題のこと。
例:他の部署に協力を求めても協力をしてくれない
→これといった解決策が見つからない

この本によれば、適応課題は関係性の中で生じる問題であり、それぞれの立場の合理性によって引き起こされているため、簡単には解決しない。解決には相手との関係性の再構築が必要になる。
そして、相手との関係が変われば、それまで適応課題だったものが技術的課題に落とし込めるのだ。

なにかうまくいかなかった時に「やり方が良くなかったんじゃないか」と思うことは少なくないが、要するにそういうことを書いている本だと思う。
その気づきを得て、じゃあどうすればいいのかを考えていくための方法を理論的でありながらも平易に書いてくれている。

考え方自体は普段から実践しているものだったとしても、課題を区別する言葉を知ることは現状の把握に役立つ。
もしかすると、自分が色々課題を解決しようと頑張っていることは技術的課題に終始しているかもしれない。


いま、仕事で会社のYouTubeを運用している。YouTubeでは一つの動画ごとに詳しいデータを見ることが出来て、そこには視聴者の年齢層や性別といった情報もあるのだが、広告を入れないオーガニックだけで再生される場合、驚くべきことに視聴者の99%が男性なのだ。年齢についていえば40代以上が大半を占める。

「まあ再生されているならいいじゃないか」と思う向きもあるかもしれないが、少なからず採用を意識して動画を作っているので、この状況は何とかしたいという思いがある。

で、おそらくこれはサムネイルを変えるとか動画の構成を変えてみるとかそういう技術的な次元では解決できないことなんだと思う。実際変えてみたが何にも変わらなかった。
おそらく、若者受けするものを作ったところで、既に視聴者層が「日本の中高年の男性」とYouTubeに認識されてしまっているので、若い人には表示されない気がする。
それにそもそも若い人が企業のYouTube動画を見るのかという疑問もある。いや見ないだろう。自分が見るかと言われたら見ないもん。

だから結局は「会社のことを知ってもらいたいと思っている企業」と「会社のことに興味ない若者」という関係を変えていかなければならないのだろう。今は適応課題が横たわっているだけだ。

どう変化させるかの一つの方法が共感だろう。広告を作る際に複数の代理店が口にしていた。
「共感を呼ばないと見てもらえないですよ」と。

どうしたら若者に共感してもらえるのか。
その謎を探るべく、我々調査部隊はガールズバーの奥地に向かった。

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