韓国カジノ旅行記 第一話 旅立ち

(はてなブログ『ががおのエッセイ』よりお引越ししてきました)
https://gagaofx.hatenablog.com/

2022年12月某日。相も変わらず借金をしてFXにぶち込む生活は続いていた。

その日に金があるか、ないか。それはその日を迎えてみないと分からない。来月、いや、来週の自分がいくら持っているか、今の自分には分からない。12年にわたる借金FX依存のおかげで、お金の管理をきちんとする・計画的にお金を使うというマインドは完全にぶっ壊れてしまっていた。

そんなどうしようもない私なので、先々の計画を立てるということはあまりしない。未来にお金がある保障はできない。メンタルも危ういし、生きているかすらも不明。計画的な自分なんて、一ミリも信用できない。物事を決めるのは、ほとんどが行き当たりバッタリになってしまった。

12月23日(金)の週頭に、知人に20万円をお借りした。もちろん、FXをするために。そして見事一週間で+30~40万円になったので、『年末年始に海外旅行しよう!』という気持ちが湧いた。なお「なぜ借金があるのに海外旅行に行くなんてキ〇ガイな発想になるの?」というツッコミについてのコメントは、ここでは控えさせていただきたい。この部分については、一冊の本が書けるほどの考え・哲学を持っているので、別記事にていずれ投稿します。

行き先はどこにするか。スマホ・FX・ギャンブルから距離を置きたかったので、その対極に位置する、地球の息吹を感じられるような大自然を希求した。モンゴルへ大草原の彼方の地平線を観に行くか、フィンランドへ美しいオーロラを観に行くか。

会社の同僚にモンゴル人がいるので『モンゴル行きたいんだけどどうですかね~』と訊いたら「真冬は雪が超積もってる。草原見えない。クソ寒い。行くなら夏だもん~」と言われたので、モンゴルは除外。フィンランドは航空券が30万円程したので、高過ぎて除外。

海外航空券の金額一覧を見ていたら、韓国が一番安かった(一番近いから当然だが)。年末年始の往復で6~7万円。韓国と言えば、カジノ。やっぱり、行くしかないのか。ギャンブルをするしかないのか。。悲観的運命論者の私は、ギャンブルへの呪縛から逃れられない自分自身の運命を悟り、やはりここで韓国カジノを選ばざるを得なかった… というのは全くのウソで、『うっわめっちゃ行きたいわカジノ!やっぱカジノだわ!借金ある身でおっさんが一人でオーロラ観に行って「地球は広いな。俺の悩みなんて大したことないな」なんて感傷に浸ってたらげろきも。カジノで人生まくるぞ!!』と秒で沸点に達し、嬉々として5日後の航空券を即ポチして韓国行きが決定した。

12月28日~1月1日の4泊5日。釜山(プサン)から入国→釜山に2泊してソウルへ移動→ソウルで2泊して帰りはソウル発。目的はカジノ・ちょっぴり観光・ちょっぴりエッチなお店。

「趣味はギャンブルとキャバクラ通いのおっさん」なんて、20代前半頃までは、この世で最も価値のない人種だと卑下していた。何の生産性もない。くだらなすぎる。低俗な自身の欲望を満たすだけ。終わってないか?本当に。品性や教養を感じない。世界では戦争や貧困が蔓延しているのに、なぜそれらに目を向けないのか?俺が世直しをしなければ。と思っちゃうくらいに、学生時代は新聞3紙を毎朝1時間かけて読み、海外ニュース記事や国際情報誌を読み漁ってリベラル思考に染まっていたので、常に怒り・憤りを覚えていた。

時は移ろい、35歳。気がつけば自身もその「くだらないおっさん」の入り口にいた。いや、入り口どころかそのものだった。借金してFXしてメンズエステ通い。そのへんの意識高い大学生に声をかけて『俺、35歳。FXとメンエスが大好き。借金もあって、迷惑かけちゃうこともあるんだけどね、てへっ。』なんて自己紹介しようものなら、即座にゴミを見るような目つきで苦笑いされるであろう。

でも、そんないまの自分がけっこう好き。FXも好きだし(つらいけど)、メンズエステは大大大好き。メンエスについては21世紀の日本を代表する産業に成長してほしいとすら思っているし、そのための貢献もしたい。なんで自分、こんな風になっちゃったの?細かい理屈は並べられるかもしれないけど、そんなのどうだっていい。だって好きなんだもん!熱くなっちゃうんだよ~。それ以外はいらない。理屈よりも情熱。熱さが、自分を突き動かす原動力になる!

韓国行きに向けてワクワク!情報収集をする傍ら、会社の同僚に仕事中に『韓国カジノ行ってきます~!1億勝ったら会社やめます、年明けには出社してないかも。』なんてたわいもない話をしちゃったり。同僚の女性は主婦で、家計簿を丁寧につけるタイプのマメな人。私のことをきっとキ〇ガイだと思っているけれど、優しく笑いながら話を聴いてくれる。話したいんだよ~話させてよ。夢を見させてほしいの。ニンジンをぶら下げられていないと、生きていけないんだよ。勝敗のついていない段階の、妄想にすがっているこの時間は、かけがえのない時間。

これまで20~30か国は旅行や仕事で訪れたが、最も近い韓国は行ったことがなかった。『新大久保(東京最大の韓国系アジア街)に行けば韓国やろ、歴史・自然もなくない?K-POPも飯も興味ないしな~韓国飯は東京でもいくらでも食べられるじゃん』という具合で、韓国について全く魅力を感じなかったからだ。

そんな私が、韓国にどっぷりハマることになるとは、このときはまだ知る由もなかった。

第二話『出会い、そして没入』へ続く。

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