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産業保健職の大企業病

はじめに

産業保健職の多くは規模の大きな企業で働くことが多いですよね。専属産業医で働くとすれば従業員数1,000人以上の企業となります。産業看護職が企業で働くとすれば従業員500人以上の企業であることが多いです。最初っから中小企業の産業保健をやる人はかなり少ないと言えます。産業保健職は大企業に所属するからこその、特に長期間所属するからこその、メリット/デメリットがあります。いわゆる大企業病と巷で言われること産業保健職版です。それについてつらつらと書いていこうと思います。

本記事を書こうと思った理由とは

大企業に所属している人へのバイアスの説明

大企業に長く所属している人は、その企業のことには詳しくなっても、それ以外の企業のことに関しては視野が狭くなっていきがちです。そして、大企業バイアスが刷り込まれていきます。個人的には、そのような話を聞くにつけ、本人に「それは大企業だからだよ」「大企業だからこそそういうことができるんじゃない?」「小さな企業ではそんなうまくいかないよ」「大企業にいるからこそであることわかっている?」ということを伝えたいのですが、その説明が長くなってしまうし、そもそもバイアスに染まっている人に説明してもいまいちわかってもらえないことも多いので、もういっそのことnoteの記事を書いちゃえ、と思ったわけです。

大企業に所属することのメリット、デメリットの整理

大企業に所属することにはメリット、デメリットがあります。それを理解していただくことは、産業保健職としてのキャリア形成を上では超絶重要だと思うのです。そこでずっとやるのか、転職をするか、独立をするか、というのは産業保健職にとって極めて重要な命題です。そのことを考えている人に、少しでも参考にしていただきたいなと思ったわけです。

大企業から脱却せよ

個人的には、産業保健サービスをもっと多くの企業や労働者に提供するためには、今の日本の、大企業中心の産業保健提供状況には少なからず疑問を持っています。そのため、ある程度の期間を大企業で産業保健経験を積んだあとは、もっと違う形で産業保健をやる専門職が増えればいいのになあ、という気持ちを持っています。そっちの方が、産業保健はもっと裾野が広くなると思いますし、その結果として救われる労働者や、予防できることも増えてくるのだと思っています。本記事が、そのための一助になればいいなって思っているわけです。

一応、大企業とは

本記事では、大企業がなんたるかをそこまで厳密に定義する必要はないと思っていますが、一応、定義的なところを紹介しておきます。

厚生労働省では、常用労働者1,000人以上を「大企業」、100〜999人を「中企業」、10〜99人を「小企業」に区別しています。

大会社とは、規模の大きな会社のことで、会社法によると、最終事業年度にかかる賃借対照表に、資本金として計上した金額が5億円以上であること、あるいは、賃借対照表の負債の部に計上した金額の合計が200億円以上であることが定義付けられています。

一般的な大企業病とは

世間的に言われる大企業病をいくつか紹介したいと思います。おおむね同じことを言ってますけどね。そして、それは産業保健職の大企業病にも通じるところがあり、とても参考になると思います。

大企業病とは?原因や企業にもたらす弊害、対策方法を徹底解説!https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c247

1)社員の視野が狭く、自分の仕事にしか目を向けない
2)従来のやり方に固執し、チャレンジ精神がない
3)ミスを許さず、成功を妬む風潮
4)無駄が多く、意思決定に時間がかかる
5)常に上司の顔色をうかがい、顧客の方を向いていない

大企業病を表す事例・症状5つ
https://biz.tunag.jp/article/3743

①ルールや習慣に縛られすぎている
②マニュアルに固執しすぎて臨機応変な対応ができない
③新たなチャレンジをしなくなる
④意思決定のスピードが遅い

大企業病とは?症状の特徴や原因、具体的な対策法をご紹介
https://hrnote.jp/contents/editorial-daikigyobyo-20200526/

産業保健職にとっての大企業病のデメリット

大企業”病”と言っておきながら、メリットをまずは説明していきたいと思います。もちろんすべての大企業ではなく、比較的そういう傾向があるよ、というニュアンスですので、その点はお間違いなきようにお願いいたします。

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