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1月に読み終えた本

最近どうも、本を読み終わったあとに、この感想をどう書くかみたいなことばかり考えてしまい、本末転倒な気がしてよろしくない。無理せず適当に書けばいいものを、かっこつけようとか頭の片隅で思ってしまっているんだろう。記事出すのやめるかとも思ったけど、ふつうに読んだ本の記録という(本来の)意味もあるので、ざっと書いておく(すでに書いたものはそのまま書く)。そのうち復活するかもしれないし、なにか別のいい付き合い方ができたら、書き方を変えるかもしれないし。

上野千鶴子・鈴木涼美『往復書簡 限界から始まる』(幻冬舎)

非常におもしろかった。本全体は、上野が最後の方でまとめているように、女性差別をめぐる「構造と主体」の隘路を、鈴木の実体験を振り返りながら確認?していくというように進んでいき、読み応えがありながら、勉強になる。鈴木自身がAV女優やホステスの経験からくる主体の体験と、その構造の(自身による)分析の中で揺れ動いていて、それに対して上野が時には鋭く、時には優しく切り込んでいくのがすごいやり取りだなと思う。

往復書簡という形式も良くて、公開されることを前提に練り上げられた文章でありながら、一対一のときのような親密さも感じるというのはこういう形式でしか味わえないものだなと思う。これが対談だったら二人のバランスもこういう感じにならないだろう(もちろんそういう瞬発力の展開としての面白みはあるかもしれない)。宮野真生子と磯野真穂の『急に具合が悪くなる』を読んだときも、往復書簡形式おもしれ~と思ったが、今回も当たりだった。今年は他にも往復書簡ものを読んでみたいと思った。


山本章子『日米地位協定――在日米軍と「同盟」の70年』(中公新書)

最近ニュースなどを見て、この辺を勉強せんとなあという気分になって読んだ。日米地位協定、どうしてこうなった……と思うところが多く、なかなかつらい気持ちになる。


松岡和子訳『十二夜 シェイクスピア全集6』(ちくま文庫)

『間違いの喜劇』のようなおもしろさもあり、そこに男装女子という要素が加わって、恋の矢印が乱反射する様子が非常に愉快だった。さらに副筋?の方では言葉遊びとかのやりとりがかなり激しくて、怒涛、という感じだった。最後の大団円(ではないかもしれない)感も、まあそういうオチになるというのがわかっていても、おお、おもしろかった。となるのがさすがだなと思った(偉そう)。