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日銀利上げによる市場(為替・株・ローンなど)への影響を考察

本記事では、2024年3月19日の正午ごろ、日銀は18日19日に行われた金融政策決定会合にて、2016年から続けてきたマイナス金利を終わらせ、利上げは2007年以来ということで約17年ぶりとなりました。マイナス金利解除だけでなく、YCCの廃止やETF・JREITの購入もやめるなど、いくつか変更点があります。その変更点の詳細に伴い、為替や市場に与える影響を考察していきます。



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FXファンダリストのグースGOOSEと申します。

ファンダメンタルズを用いて
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↓ #025 新NISAについて


こちらは今週シナリオ戦略の記事です。
FOMCについても触れますので、ご覧いただけますと幸いです。



日銀金融政策決定会合

今回の変更点は主に以下です。

  1. マイナス金利解除

  2. イールドカーブコントロールYCCの廃止

  3. ETF・JREITの購入停止

分かりやすい内容が日銀さんから出ていましたので、まずはこちら載せておきます。

日銀

1.マイナス金利解除

正確には、”無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す”との内容です。これまで日銀口座は、プラス金利、ゼロ金利、マイナス金利と3断層に分割されていました。今回の政策により、”日本銀行当座預金(所要準備額相当部分を除く)に0.1%の付利金利を適用する”との記載から、それを今回恐らく1層に戻す(マイナス金利導入前に戻る)ということだと思います。そしてこれは、3月21日から適用されるようです。

色々と書きましたが、0.1%程度の利上げと解釈して問題ないでしょう。


2.イールドカーブコントロールYCCの廃止

過去に例えマイナス金利を導入したとしても、長期債は市場原理で上昇してしまうことを危惧し、長期金利も一定の金利水準に保つために10年債を無限に買い入れるYCCを導入してきました。短期金利だけでなく、長期金利も低水準に維持する異次元な金融緩和をしてきたわけです。

しかしYCCに関しては、度々10年債の上限を引き上げ、事実上のYCCの撤廃をしていました。また、今後も長期金利が急激に上昇した場合には、機動的に買い入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施するようなので、長期金利操作は継続のようです。

実際の買い入れ額は、全体的に少なくしてありますが、特に長期債の買い入れが少なめです。市場動向に合わせて調整するはずですし、特に意味はないと思いますが、国債市場の健全化にむけて第一歩ですね。

下の図は日本の10年債金利のチャートですが、現行のゼロ金利状態で長期金利上昇した際に、どのあたりで臨時オペを実施するかで、日銀の許容範囲が知れると思います。まずは1%を超えたあたりでしょうか。


3.ETF・JREITの購入停止

これまで株や不動産価格が下がっても政府が下支えしてくれているんだという”心理的安心材料”でもあったETF(上場投資信託)とREIT(不動産投資信託)の新規の購入も終了するようです。企業が資金を調達するために発行する社債やCP・コマーシャルペーパーの買い入れも段階的に減らし、1年後をめどに終了するとしています。

私はこれが市場に及ぼす影響、つまり株安要因とは考えにくいと思っています。理由としては、デフレ脱却・緩和的状況が続く・最近のETF買い入れ額は多くなかったという観点です。

インフレや緩和的な状況が続くは説明不要と思いますが、最近のETFの買い入れ額が多くなかったことについてはあまり知られていないかもしれません。野村アセットマネジメントさんの図をお借りしますが、ETFの買い入れ額は多くない中で、ここ最近の株高が牽引されていたわけです。

これまで日銀がETF買い入れに費やした額は約37兆円、その評価額は約70兆円にまで及びます。このETFの処分が度々議論になりますが、これに関してはすぐに気にすることはないと思います。これまで買い支えたETFに大量放出することのリスクは、株式市場だけでなく年金運用など、計り知れません。現に植田総裁は会見内でも「ETFなどの異次元緩和の遺産は当面残り続ける」とコメントしています。また、ETFから得られる日銀の配当金は22年度で1兆を超え、現在の日銀収益の3割に及びます。今後の利上げに伴い、国債価格の下落による逆ザヤの言い訳にもなるので、すぐに積み上げたETFをどうしようとは考えていないと考えます。

JREITに関しては、そもそも保有額が1兆円にも満たないため影響は大きくないとみていますが、今後の人口減少の観点から持続的にインフレしないと、特にインバウンド効果も得られないような地方の不動産価格は厳しいかもしれません。




何故利上げしたのか


今回日銀は、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、大規模な金融緩和は、その役割を果たしたと考えています。利上げと言えど、FRBが行っているような引き締め状態にして、インフレを抑制する目的はありません

日本人の異常なデフレマインドは少しずつ緩和され、日本でも継続的にインフレしていく見込みができたので、異常⇒通常の緩和状態にするというだけです。金利率からインフレ率を引いた実質金利をみても、緩和的状況は変わりません。

日銀は物価の安定金融システムの安定を目的としていますので、国債市場の流動性という観点からもマイナス金利解除に踏み切ったとみています。しかし、インフレ優先で考えているはずですので、基調的なインフレの目処は立ったうえで、利上げに踏み切ったとみて間違いないでしょう。

もう少し具体的にすると、ここ1.2年の株高や名目インフレは言うまでなく、春闘はじめとした賃上げも後押しになっています。

しかし、賃上げは大手企業だけにとどまっていることや、実質賃金はマイナスの状態であるので、マイナス金利解除はまだ早いのでは?との声があるのも事実です。今回のマイナス金利解除には、日銀関係者9人のうち2人が反対しており、中小企業の賃上げ含め、物価と賃金の好循環を慎重に判断すべきとしています。

利上げとはいえ緩和的な状況が続くこと、これまでにマイナス金利解除を匂わせてきた中での市場の反応も見極めた上で利上げ判断と思いますが、今後も物価と賃金の好循環がしっかり促せるかは重要でしょう。




利上げに伴う市場への影響


今回の利上げに伴い、住宅ローン金利や銀行の預金金利の引き上げ、株価など生活への影響について、考察していきます。

住宅ローン

日本人の7割以上が住宅ローンを組んでおり、何千万もの残債が残っている方もいらっしゃると思いますので、関心は高いと思います。結論として、すぐにローン返済額が上がって生活に支障がでることはありません。

銀行のローンの見直しは4月と9月に見直しされることが多く、3月に利上げということは4月に金利が上がる可能性はありますが、可能性は低いと思います。住宅ローンは短期プライムレートという政策金利に連動した金利が影響します。しかし、マイナス金利導入期と比べても変わっておらず、今後も日銀が追加利上げしない限り上昇しないでしょう。

さらにもし変動金利が上昇し、見込み返済額が上昇したとしても、住宅ローン変動金利には、変動金利上昇しても利払い増加は5年後の5年ルールやその上限額は25%までしか上がらない125%ルールがありますので、急な出費増加とはなりません。日銀の5-10年の想定物価上昇は1.5%程度であることからも、日銀が急な利上げをし始めるイメージも湧きませんので、メディアで取り上げられる2026年に2.6%?とかにはならないのではないでしょうか。もしそうなったとしてもインフレにより借金は目減りしているはずです。よって個人的には固定ローンへの組み換えも手数料など考慮すると、必要ないと思います。新規で組み入れるときも変動でいいとおもいますが、数十年先のことは分かりません。専門家の方で見解あればご教授ください。


銀行預金金利の引き上げ


日銀の政策変更を受け、大手銀行が預金金利を引き上げるようです。例えば、三菱UFJ銀行は、日銀の利上げを受けて普通預金金利を0.001%から0.02%に20倍引き上げると発表しています。しかし、皆さんも思うように0.02%はかなり低い水準です。あと100倍は金利上げてもらわないと旨味は無いように思えますね。

今後も日銀が継続的に利上げをしていくと銀行の金利高ラッシュにつながると思いますが、考えにくいと思います。むしろ日本人の2000兆にも及ぶ預金を市場に流動させたいわけですから、銀行に預けておけば安心のような事態にはしたくないはずです。

ただしネット銀行など一部の銀行では、現在も0.2-0.4%の定期金利を提供しているところもありますので、1000万預金で0.4%だと40万でも良いという選択肢もあるかもしれませんね。(元本置いておくなら、長期米国債で良い気がしますが、、)


株式相場


ETFのところで先ほども少し触れましたが、日銀のETF購入停止が株安要因にはならないと思います。米経済や世界情勢による影響は不安定なので考慮しませんが、日本株は今後もインフレの限り上昇していくものと思われます。

日本政府や日銀の意図は省きますが、気になる方はこちらご覧ください。

今後日本はデフレ脱却を達成するために、①持続的な物価上昇②物価上昇を超える賃上げ③円安効果(輸出やインバウンド)に注視して取り組んでいくと思います。

株式市場の足かせとなる可能性があるのは、超少子高齢化による生産性の低下です。ここにどのように対応していくのかに関しては、出生数を増やすことだけでなく、同時にAIや自動化の推進や、海外労働者の呼び込みなどで、生産性を維持していく方針だと思います。GDPがドイツに抜かれたことにより悲観的な声がありますが、総GDPに拘り過ぎず、必要な人口に対する経済状況や財務状況であればよいと思っています。

日本には自動車産業だけでなく、半導体やセンサーなど、世界に誇るモノを有しており、今後もこれらは日本を支える産業になってきます。金利だけで計れないところですので、これらの産業の世界におけるプレゼンスは注視していきます。

本テーマとはずれますが、日本の将来(インフレ・年金)を考慮すると、NISAやIDECOなどの税制優遇制度を活用しながら、老後ための資産形成は必要です。ポートフォリオの一部に、米株や世界株は良いと思いますが、日本株も悪くないと思っています。

為替(ドル円)

※この記事を書いている2024年3月20日午後9時ごろなので、FOMC前で152円手前で揉んでいることです。

2021年から見てもドル円は100円台から150円まで上昇しており、これは日本の金融緩和による低金利と米金利の上昇による、日米金利差による影響が大きいと考えられます。その他にも輸出や投資などによる円の流出と言われますが、この動向は短期的には読みずらいと思いますので、日米金利差で考察していきます。

まずドルの強さ米金利ですが、現在インフレ鈍化ペースが緩やかになってきているだけでなく、消費も底堅く、併せてオイルの価格も上昇している状況です。本日3月FOMCでドットチャートがどうなるかの注目は高く、年内利下げ回数は思ったよりも少ないのではないかと、米金利は上昇しております。

短期的な考察でいうと、FOMCで上方修正ドル高だとしても利下げがコンセンサスは変わらず、ある程度米金利が上がると反転すると想定しています。しかし、織り込んでドル安になったとしても米金利は底堅く、これだけではドル円を下落トレンドにするには難しいと思われます。

次に日本の金利ですが、今回利上げにも関わらず円安になっているのには、リーク情報による円高の織り込みと持続的な利上げの難しさにあると思います。つまり、現状で円を買う理由がないということです。

これは短期的な視点ではないですが、今後も日本がインフレするのであれば、日銀は利上げすると思われます。植田総裁は会見でも実質金利を引き合いに、利上げしても緩和的状況は続くと発言していました。ただFRBのように連続した利上げは中々難しいのではないかと思いますし、利上げしても最初は小幅と想定します。日銀はここ最近の利上げしても緩和的と言ったり、リークタイミングを見ても急激な為替変動だけでなく、持続的に円安を誘導したいことは明白です。

ここで日米金利について触れましたが、米金利の底堅さや日本の連続した利上げの難しさから、ドル円も底堅く推移することは、今のチャートをみても簡単な考察かと思います。

短期的には円高要素がなく、過去の本気介入域152円も突破しても日銀は容認するかどうかは疑問を感じます。個人的には140円程が丁度いいと思っていますが、もしこのまま米金利上昇の波にも乗れば160円手前も見えてきます。

そこで為替介入含めた考察もしてみます。(ここからは推測が多く、ギャンブル的な思考になりますのでご容赦ください)

為替介入


想定できる今後のドル円推移としては、まずはFOMCを起点とします。2つ想定しております。①米金利は低下するも米金利低下も限定的で、そこを押し目として上昇する、②FOMCで米金利高となりドル円は上昇、米金利高を織り込んで米金利反転するも、円安が続きドル円は高止まり

いずれのケースもドル円は底堅く152円をいつかは突破しそうな想定でいます。FOMCまで待ってくれない可能性もあります。

ドル円が今後急落するとすれば、為替介入でしょう。その押し目をとるか、天井から落とすかはそれぞれですが、発動するか前提で、どこで発動されるか考察していきます。

まずは為替介入には口先介入の発言レベルで警戒水準が想定できます。(いきなり為替介入打ってきたら、それはそれでサプライズですね。)

その水準から2~3円内には発動することが多いので、日銀関係者の発言レベルには気を配っておきましょう。参考までにこちら載せておきます。

もうひとつはテクニカルに頼るしかありませんが、まずは値幅(2000年以降のデータをもとに参考)。年初140円であり、ドル円年足は大体20円程度に収まりますので、160円付近が上限と考えることができます。次に月足平均は大体5円程度、過去最大は10円です。月足だと3月安値は146円ですので、平均だと151とすでに超えています。月足最大10円とすると156円です。週足平均は大体3円、過去最大は7-8円です。3月18日週安値は149円で152円、最大とすると156-157円となります。

また、水平線でいうと1990年に160円付近の高値がありますので、こちらも参考高値になるでしょう。

価格帯だけでいうと、ドル円の売りポイントは156円-160円と少し広くなってしまいますので、口先介入や米金利推移で詰めたいと思いますが、いまのところターゲットとなるゾーンはRRも踏まえて160円前後2円とします。161円をSLとすると158円⇒155円でもRR1:1、158円⇒152円だとRR1:2です。

以上が為替介入の下げを出口とした簡易シナリオです。



まとめ


今回日銀の金融政策変更による利上げによって、政策内容や日本経済における影響など考察しました。私は今回、日本がマイナス金利解除できたことをポジティブに思います。2年ほど前から日本はインフレする必要があり、この円安機会を逃してはいけないと思っていました。円安⇒インフレ⇒株高が中身が伴う最良の展開でないことも理解はしていますが、日本の将来を考えると名目からでもインフレ最優先であり、今の政府は良いコントロールができていると思います。その反面でこのインフレの打撃をもろに食らう層もいて、今後日本は格差が広がっていくことになってしまうでしょう。

政府と日銀は、今後も日本全体の未来を見据え、30年後の国民8000万人いれば4000万以上が恵まれる環境を作っていくと思います。その意図を汲み取り、正しい資産運用や環境づくりをしていくことは、自身の人生を生きやすくするためには重要だと思います。そのための一助となり、皆様の生活が明るいものとなれば、これ以上のことはありません。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。




今回もご精読頂き
誠に有難う御座いました😄

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