来春から和倉温泉へは2回乗り換えます。

関西・名古屋方面からは。

来年春に予定されている北陸新幹線の金沢~敦賀間での延伸開業に伴い、在来線の特急の運行区間が大幅に短縮されます。
これまでは大阪~金沢・和倉温泉まででしたが、これが敦賀までに短縮されます。
これは敦賀延伸に伴い、金沢~敦賀間の在来線(北陸本線)がJR西日本から経営が分離されるからです。
(石川県分は既存のIRいしかわ鉄道、福井県分は新設のハピラインふくいへ経営が移管)
特急の運行距離がこれまでと比べてざっと半分くらいに短縮されますし、何より敦賀で強制的に乗換えとなります。
むろん名古屋からの特急しらさぎ号も敦賀までになります。
金沢や富山はそれで済みますが、問題は和倉温泉(と七尾)。
これまでは特急サンダーバード17号(下り)と20号(上り)が大阪~和倉温泉間を直通で運転していましたが、新幹線延伸に伴い廃止されます。
金沢~和倉温泉間に設定されている特急能登かがり火号は存続するようですが、結果として大阪・京都方面から和倉温泉まで行くのに最低敦賀と金沢で乗り換えなければ行けなくなります。
そして一本で行けた金沢とて敦賀で乗り換えなければならなくなります。
敦賀は要塞のような構造になっていて、新幹線の直下のホームに特急を入れるとJR西日本は言ってはいますが、そこそこ乗り換えに手間がかかるような感じに見えてしまいます。
西九州新幹線の武雄温泉(古くは九州新幹線の新八代)のように新幹線と在来線の特急ホームが同じホームではありませんし。
ゆえに時間が短縮します!というメリットよりも乗換えが発生します!というデメリットの方が強く訴求されてしまうような気がします。
北陸地方(特に福井県)がどうしても「東京行き」を手に入れたい!という悲願が叶ったことによる代償がコレです。

で、福井の市民団体とかいうのがそれに気がついたのか、なぜか福井県議会に請願書を出していたそうです。
新幹線開通後も経営分離された在来線に特急を走らせてくれ!と。
福井県に言えばJR西日本が翻意してするとでも思っていたのでしょうか。
とんだ見当違いですよね。
おそらくJR西日本が高い条件をふっかけてくるはずですから、それを福井県が飲めるとも思えませんし。
もしかしたらJR西日本金沢支社に行ったら門前払いにされる(=マスゴミの前で恥をかく)と怖じ気づいて県議会に泣きついたのかもしれませんけどね。
結果として何も変わりませんでしたが。

ちなみに加賀温泉と芦原温泉の関係者は東京からの列車は10本/日程度しか停車しないことに落胆し、さらに和倉温泉では乗換えが発生することに相当な危機感を持っているそうです。
なぜなら関西の奥座敷と言われた北陸の温泉街が関西・名古屋方面からは軒並み乗り換えなければ行けなくなるうえに、和倉温泉に至っては2回乗り換えになります。
温泉へ行くのに2回も乗り換えるのは致命傷でしょうね。
普通に考えたら1回でもゲンナリするのに、2回となろうものならば・・・。

ならば直通バスを・・・っていったところでドライバー不足は顕著で、高速バスとて対関西方面の便が現状ほとんど無いというところをみると設定も容易ではないでしょう。
どうもバスドライバー達が旨味のある東京のインバウンダー向けのに集まっているように感じてしまいますので。
(都心や首都圏近郊に行ったらドライバー不足って本当?と言うくらい観光バスが走り回っています=主にインバウンダー向けの)
よほど高い報酬を出さないとドライバーも来てくれないと思います。
さらに冬季のバスの設定は厳しいと思いますし、高齢者からすれば観光バスは特急列車以上に窮屈に感じるでしょうし。

とにかく北陸が「東京行き」ばかりに目が行ってしまった結果、関西・名古屋方面を軽視する事にもなってしまいました。
(JR西日本も粛々とルールに則ってやりきるという)
そして北陸新幹線の大阪延伸もルート設定で未だに駆け引きが続いていて決定していません。
現実的と言われている米原ルート(米原で東海道新幹線への乗入れ)を採用したとしてもカツカツな東海道新幹線のダイヤに性能も座席数も違う(技術上は通れる)列車がダイヤに入ることに対してJR東海がいい顔をしないでしょう。
(もしリニア中央新幹線が開通すれば風向きも変わるかも知れませんが)
少なくともこの先10年くらいは敦賀止まりでしょうし、そうなると不便な乗換えが続くことは間違いのです。

そうなると金沢以上に北陸の温泉街が新幹線延伸で打撃を受けるかも知れません。
せっかく新幹線ができたのに少ない新規の客を狙うがばかりに既存のリピーターを失う・・・みたいな。
少なくとも関東に住んでいる感覚からすれば1回くらいならばそちらの温泉街に行ってみようとはなりますが、2回目以降はわかりませんよ。
微妙に遠いですし、和倉温泉は乗り換えますし。
新規の(どれだけ来るのか分からない)関東方面の客を手に入れる代償として、リピーターだった(多くの)関西・名古屋方面の客を失う損失の方が大きいような気がしてなりません。
おそらく北陸方面から(乗り換えなしで行ける)城崎や白浜に温泉客がシフトするのも否定できませんし。
あとは敦賀開業後秋ぐらいまでにどういう動きになっているかが注目でしょうね。
ま、ビジネス客に変化はそうないとは思いますが。

逆に関東の人からすると福井って何があるの?と思っていることでしょう。
越前ガニ(ズワイガニ)以外にどうやってプロモーションしていくかになるでしょうけど、福井市内の観光地が一乗谷以外には思い浮かびませんし、恐竜とて福井市ではなく山間部の勝山市ですし、東尋坊も少し遠いですので。
福井駅と駅前も随分と工事をしていますが、再開発が新幹線延伸に間に合うの?とこの前行ってみて感じましたし。

一方でJR西日本からすれば敦賀短縮で運用本数が減ることが確実な上に京都と金沢配置だった特急車両を(能登かかり火号充当分を除いて)京都に集約できますし、こうなると経年している681系は退かせられるでしょうし。
521系も基本的にIRいしかわ鉄道とハピラインふくいへ移籍しますので、おそらく敦賀支所所属でATS-Pを搭載している5編成くらいしかJR西日本に残らないでしょう。
そして金沢総合車両所が敦賀延伸で解消されて金沢車両区となりその傘下に敦賀と富山をぶら下げる形になります。
金沢車両区を書類上の親にして所属車両の所属標には引き続き「金」が頭に付く形とするのでしょう。
で松任工場が担っていた全般検査や重要部検査などは吹田総合車両所本所(いわゆる吹田工場)へ回送して実施するそうです。
ただ金沢車両区の本所と富山、敦賀の支所間はその段階ではJRの線路としてつながっていない形になりますから、色々と煩雑な処理はあるとは思料します。
旧北陸本線を運営している(運営する形になる)あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道、ハピラインふくいと打合せはしているでしょうが。

というわけで、北陸本線が北陸新幹線金沢開業に続いて、敦賀延伸でより短縮されます。
営業キロがJR発足時(米原~直江津)と比べてその13%まで短縮されることになり、しかも全線直流でかつ本州では最短の幹線となります。
さらに金沢駅と福井駅は46都道府県の中でJRの在来線が通らない県庁所在駅ともなります。(富山は高山本線が乗り入れているので該当しない)
北陸新幹線が開通する前は特急が走り回り、さらには夜行急行、さらには寝台特急も走っていた路線が北陸新幹線の開業で一気に状況が変わっているのです。
平家物語の冒頭が頭をよぎってしまうのです。

今度は北海道新幹線へと舞台が変わります。
新幹線が札幌に延伸されたら間違いなく経営分離される函館本線の新函館北斗~長万部~小樽間の取り扱いについて随分と調整が難航しているようです。
なにせ夕張市長時代にレールを剥がしたのが今の道知事ですから、区間によってはレールを剥がしたいようですけど、そんなに簡単にはいかないファクターが出ているのも事実ですし。

来春北陸新幹線が開業したら時間とカネを確保して行ってみようとは思っています。
宿は・・・金沢は無いかなと。

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