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【辰】龍尽くしカレンダー1月・弥生土器

前回の記事で楽しく宣言していました龍尽くしカレンダー
記念すべき1枚目はもちろん1月です!

楽しくてちょっとテンションセーブがおかしい状態ですが、
このままいきますのでどうぞお付き合い下さい。



1月のテーマ「弥生式土器に描かれた龍」


じゃじゃん、弥生式土器に描かれた龍尽くし!


はい、1月の龍はこちらです。
いずれも弥生時代後期(1~3世紀)の土器に描かれたもの。

①右上:大阪・恩智遺跡
②中央:大阪・八尾南遺跡
③左下:大阪・池上曽根遺跡
④右下:岡山・天瀬遺跡

※作図の出典は末尾にまとめて記載しています


良いですねぇ、このロマンが刻み込まれたフォルム。
特に中央の八尾南の図は、

左上の円形が何なのか考えるだけで胸が一杯になります。


というのも、今回このカレンダーを思い立ったゆえに
初めてキチンと調べてまじまじ見つめている子たちばかりなんです。



シビアに学術的にいうなれば
これらは弥生土器に見られるひれ付きS字状図像」と呼ばれるもの。
右上の恩智と左下の池上曽根は立派なS字ですし、
中央と右下の2つもその流れにくみするものです。


ファンシーな池上曽根の鰭付きS字状図像
意地でも確たることしか言わない学術用語、渋くて良い(*’∀‵)



こちらの方々、全て土器に刻まれた線ですから
実物はもっとカクっとしています。
土を練り、器を成形し、そして描く。


描きながらまじまじ見ていて感じたのは、

「これ、何か実際のものを見て描いているのではなかろうか」

特に八尾南と池上曽根。
想像で描くにはけっこうしっかりしたイメージがありませんか。
流れでヒレを付けていくにはちょっと独特な部分があり、
これは何かの意味を追いかけて描いているんだろうなぁと思わせます。

日本における龍の図像も他分野同様、大陸の伝来によるところが多分にあります。
歴史家の笹間良彦氏いわく
弥生土器に描かれる龍は、中国の前漢時代に躍動的に描かれたものが流入してきたのだろうと。
また甲骨文字の龍の書体には、この鰭付きS字状図像を思わせるものがあります。

伝えられてきた図像・文字を思い、
それが目の前に現れるようしっかりとイメージしながら土器に刻んだのでしょうか。


カレンダーとしての全体像はこんな感じです。



のっけの1月から少し重ためのタッチになりましたが、
シンプル・イズ・ビューティフルの弥生龍から始めたかったのです。

いかんせんメソポタミアの「元祖・龍」は描写が素晴らしすぎて!
(こちらは3月を予定しています)


時代は下って弥生の末になると、このヒレはナリをひそめ
よりシンプルなS字状の文様となっていくお話。
そもそも中国・漢の時代には「龍唐草」なるものが生まれるお話。
龍とS字、そして唐草は切っても切れない関係にあるようです。


いま私たちが想像する龍も、躍動的に胸を張り身をひるがえらせます。
それは今回の弥生土器の絵からも見て取れるほど、
昔から根付いているものなんだろうなぁと
改めて実感できた嬉しい1月のカレンダーでした。



年の始めからナナメな龍話にお付き合い下さってありがとうございます。

さて、次は2月。
2月は中国の古代龍に登場頂く予定です。
弥生の人々が思い浮かべていたかもしれない大陸の龍。
どうぞお楽しみに。




出典
①,④春成 秀爾.絵画から記号へ 弥生時代における農耕儀礼の盛衰.国立歴史民俗博物館研究報告第35集,1991年,p.23
②㈶大阪府文化財センター.八尾南遺跡八尾南遺跡の調査(八尾南遺跡現地説明会資料),2004年,p.8.
③大阪府立弥生文化博物館.池上曽根遺跡出土龍絵画土器 三次元映像.Youtube,2021年
https://www.youtube.com/watch?v=7V3lfY8sstU&t=15s

参考
笹間良彦.図説 龍とドラゴンの世界.遊子館,2008年
・小杉一雄.日本の文様15天象.光琳社,1974年,p.10-14宝雲文様




おまけ

横浜は中華街にいらした龍
エキセントリックな配色に大陸の風を感じます!


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