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掌編小説

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拙い文章ですが頑張って書いています。 物語の中に「手」をキーワードに入れてみたい と思っています。
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掌編小説| 運だめし。

掌編小説| 運だめし。

毎年恒例、年始の運だめし。
この街の商店街連合の催しで年末に買い物すると福引の参加券が貰える。おひとり様1回限り。当たると嬉しい人気の賞品も毎年行列が出来る理由だ。

特賞・お年玉30万円 、一等・10万旅行券、二等・5万お食事券、末等(誰でも)3000円の商品券が貰える。
箱の中に手を入れてポチ袋を1つ掴む、中の紙に当たりが書いてある。10年以上挑戦しているが 私は末等しか当たったことがない。全

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掌編小説|ハーフムーンの夜だから

掌編小説|ハーフムーンの夜だから

仕事帰りにいつものBARへ寄る。ここは僕のほっとできる場所。

関西弁で小気味よく話すマスターに何でも話せ父のように慕っていた。細長いビルの高層階にある店内は ぐるり三方向ガラス張りで外の景色・月や空もよく見える。窓に沿って横並びに座れる席は満月の日はカップルで賑わっていた。

カウンターでウイスキーをロックで丸氷を揺らしながらゆっくり飲むのが好きだ。琥珀色の中で透明の輝きを放つ満月が僕の疲れを癒

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掌編小説 |みよちゃんとサクマ式ドロップス

掌編小説 |みよちゃんとサクマ式ドロップス

お兄ちゃんは団地のリーダー。友達も多い。
まだ小学校に行ってないみよちゃんは、いつもお兄ちゃんにくっついて遊んでいた。

野球の練習をしてるお兄ちゃんは特にカッコイイ。大好きなドロップを口に含みベンチから眺めていた。斜めがけにかけているポシェットはお母さんお手製のドロップ缶が入るピッタリサイズ。

秋も深まり夕暮れ時はあっという間にやってくる。
同じ団地の蓮くんが「日が沈む前に帰らんとオカンに怒ら

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