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シュレーディンガーの猫を正しく知れば この宇宙はきみのもの(上・下)/保江邦夫&さとうみつろう(2024/04/04)【読書ノート】

あなたの量子力学、間違っていませんか!?
世に出回っている量子力学はウソだらけ!?(特にスピリチュアル業界)
「では、これから二重スリット実験について僕が閃いた方程式の話をします」世界の物理学界に知られる「保江方程式」で、量子力学は完全体となった!「人生の可能性を無限に広げられる方法」も、本書で伝授します。
世界に認められる『保江方程式』を発見した、理論物理学者・保江邦夫博士と 「笑いと勇気」を振りまくマルチクリエーター・さとうみつろう氏
両氏がとことん語る本当の量子論

動画内容要約
リケジョのアリスによると、量子力学にはパラレルワールドが出てくるそうだ。多世界解釈について話すと、これは量子力学の一つの解釈であり、融資と波動の二重性を例に説明する。観測していない時は波の性質を持ち、観測した時に融資として現れるという。波の性質は波動関数で表され、シュレーディンガー方程式で求めることができる。

波動関数の絶対値の2乗は量子が発見される確率に比例する。コペンハーゲン解釈は量子力学の標準解釈であり、多くの場合これが前提になる。しかし、解釈であるため真実かどうかはわからない。多世界解釈では、パラレルワールドが存在するとされる。

シュレーディンガーの猫の話に移る。この思考実験は、シュレーディンガーがコペンハーゲン解釈に対して問題を提起するために考えたものだ。箱の中に猫と放射性物質が入っており、放射線が検知された時に毒ガスが発生する仕組みになっている。観測するまでは、猫は生きている状態と死んでいる状態が重なり合って存在しているとされる。

多世界解釈では、観測によって世界が分岐し、観測されない多くの世界が実在すると考える。これに対し、コペンハーゲン解釈は観測された事実のみを扱う。多世界解釈とコペンハーゲン解釈は基本的に異なる解釈である。他世界解釈はすべての可能性がパラレルワールドとして存在し続けるという考え方を提唱する。

多世界解釈は、1957年にプリンストン大学でヒュー・エベレット3世が博士論文で提案したものだ。この解釈では、ミクロとマクロで物理法則を分けず、量子力学がすべてのものに適用されると考える。波動関数は確率の数式ではなく、宇宙全体にわたって実在し、シュレーディンガー方程式に従い続ける。

他世界解釈とコペンハーゲン解釈の主な違いは、コペンハーゲン解釈が観測された事実のみを重視し、観測されない世界は無視する点にある。一方、他世界解釈はすべての可能性がパラレルワールドとして実在するとし、観測後もこれらが存在し続けると考える。

シュレーディンガーの猫の実験をもとに、観測者が箱を開けるまでの間、生きている猫と死んでいる猫の世界が分岐して存在すると多世界解釈は説明する。これは、確率としてではなく、実際に存在する世界の数として理解される。また、他世界解釈においては、波動関数の値は確率ではなく、その世界の共存度を表す。

この解釈では、世界が分岐する前の共存の状態を重要視し、二重スリット実験を例に挙げると、粒子がスクリーンに到達するまでの間、無数のパラレルワールドが共存するとされる。デコヒーレンスが起こると、これらの世界は分岐し、それぞれが独立した実在となる。

他世界解釈のデコヒーレンスは、観測だけでなく環境との相互作用によっても引き起こされる。この点では、コペンハーゲン解釈の観測による波動関数の収縮と似ているが、デコヒーレンスの原因はより広範囲に及ぶ。

量子力学の解釈問題は今後も発展し続ける分野であり、他世界解釈は無数のパラレルワールドが存在するという大胆な視点を提供している。この解釈により、観測問題に新たな光を当て、量子力学の理解を深めることができるだろう。

多世界解釈は、物理的な現実が分岐し続け、観測されなかったすべての可能性が実在するパラレルワールドとして残るという理論だ。この考え方は、量子力学の奇妙な性質を説明するのに役立つだけでなく、哲学的な議論にも影響を与える。

たとえば、シュレーディンガーの猫の実験において、放射線が出る確率は1時間で50%とされるが、実際には時間が経過するごとに無数の世界が分岐していく。30分、45分といった異なるタイミングで放射線が出たかどうかで、それぞれの世界が存在することになる。このように、非常に多くの世界が存在し得ることを多世界解釈は示唆している。

二重スリット実験もまた、量子がスクリーンに到達するまでの間に無数の可能性が共存し、デコヒーレンスが起きることで、それぞれの世界が実際に分岐すると説明される。デコヒーレンスは、量子と環境との相互作用によって起こり、観測そのものだけが原因ではない。

この理論の大きな特徴は、無数の実在する世界が互いに影響を与え合う可能性を認めている点であり、それによって科学と哲学、さらにはスピリチュアルな考察にまで及ぶ影響を与えている。無限のパラレルワールドが存在するという考えは、私たちが自分自身とこの宇宙をどう捉えるかについて、根本的な問いを投げかける。

さらに、他世界解釈は科学的な根拠としての確固たる地位を築きつつあるが、その一方で、量子力学を誤用するスピリチュアルな流行や疑似科学の展開にも繋がっている。こうした現象は、科学と非科学の境界をどのように理解し、議論すべきかという問題を提起している。

量子力学の解釈における未解決の問題や、新たな理論の提案は、今後も多くの研究者や哲学者によって探求され続けるであろう。多世界解釈は、この複雑で魅力的な科学のフロンティアにおいて、一つの有力な理論として注目されている。


パート1 医学界でも生物学界でも未解決の「統合問題」とは

統合問題――医学界でも生物学界でも未解決の問題
人を作っているのは、一つの巨大な水分子の塊だった
エバネッセントフォトンの発生の秘密
ピラミッドにおけるエバネッセントフォトンの役割
沖縄の海洋深層水と、UFOに乗せられた親子
ユングとパウリは、協力してテレパシーを解明していた! 

パート2 この宇宙には泡しかない――神の存在まで証明できる素領域理論

京都での出逢い――哲学の道と喫茶「若王子」
仏像の微笑み――空間には、全ての記憶が残っている
湯川秀樹博士の素領域理論からのスタート
この宇宙には泡しかない――神の存在まで証明できる素領域理論

パート3 量子という名はここから生まれた!

「ラプラスの悪魔」は存在するのか? 
水素原子の中の電子は、飛び飛びのエネルギー状態しか持てない
電子や物質粒子の最初の量子論は、ド・ブロイ発だった
量子力学が生まれたのは、軍需からだった
量子という名はここから生まれた!――アインシュタインとマックス・プランクの、光についての考察
アインシュタインのノーベル賞受賞の秘話
シュレーディンガー登場!
ディラック提唱の、相対性理論の要請を満たした新しい波動方程式

パート4 量子力学の誕生

ハイゼンベルクの超スピリチュアル体験
シュレーディンガーは、全ての音の組み合わせが表せる行列を導いた
量子力学はこうして発生した! 
プサイとはいったい何なのか? 
「神はサイコロを振り給はず」――アインシュタインが反旗を翻す
宿敵! ボーアvs アインシュタイン、シュレーディンガー

パート5 二重スリット実験の縞模様が意味するもの

ディラックが完成させた量子力学からラザフォード散乱まで
ボルンが近似(ボルン近似)を発案した背景
二重スリット実験を、世界で初めて電子で行ったのは日本人だった
ボルンは、量子力学を道具にして確率解釈を生んだ
ハンガリーの貴族、天才数学者フォン・ノイマンが物申す
数学者は手打ちが得意――無限に関する問題の結末
二重スリット実験の縞模様が意味するもの
観測装置における浜松ホトニクスの功績
二重スリット実験は人や魚にも当てはまる!? 

パート6 物理学界の巨星たちの「閃きの根源」

ド・ブロイとボームのパイロットウェーブに導かれて
3回もノーベル賞を逃したストュッケルベルグ博士とのスリリングな出逢い
リチャード・ファインマン、湯川秀樹博士たちの閃きの根源
天文学者も使っていた、ハミルトン‐ヤコビの運動方程式
モーペルテュイの最小作用の法則は、神様の存在証明にもなった
ファインマン先生はストリップ劇場で閃いた!

パート7 ローマ法王からシスター渡辺和子への書簡

ドイツのアウトバーンで、190キロでランチアを走らせて閃いた!
世界の物理学界に知られる、「保江方程式」誕生!
保江博士のノーベル賞受賞の可能性
ローマ法王からシスター渡辺和子への書簡
奇跡の展開による湯川秀樹博士の前での研究発表
伊藤清先生の確率微分方程式の功績

パート8 可能性の悪魔が生み出す世界の「多様性」

大数学者リーマンのリーマン幾何学と湯川理論の類似性
保江方程式は物理、数学の両学界で称賛された
最小作用の法則が結んだエドワード・ネルソン教授との邂逅
量子力学の枠組みを確立した四天王——参入する五人目の賢者とは?
互いにイコールの関係性である五つの理論
最小作用の法則を満たす条件下で顔を出す「可能性の悪魔」
この次元を超越した因果律を断ち切る存在
可能性の悪魔が生み出す世界の「多様性」
デタラメな世界が可能になる次元がある?
エルンスト・マッハの自画像に描かれた「外から現実世界を覗く自我」

パート9 世界は単一なるものの退屈しのぎの遊戯

連続性の中でいまだ我々は観察中である
生まれたときからの記憶――膜の中の現実世界に、本当は誰もいない
サムシンググレート (自分)が作る同時並行世界
我々は単一なるものの退屈しのぎの遊戯
終わることのない観測――生き残るのはボルン近似から出発した確率解釈
★認知と可視に関わる脳のバグ——見えるはずのものが見えない?
量子力学の観測問題と人間の認識の共通点
フォン・ノイマンは「シュレーディンガーの猫」と理論をつないでボーアを黙らせた

パート10 全ては最小作用の法則(神の御心)のままに

可能性の数だけ世界が存在するとされる「多世界解釈」とは
五つの式の要となるプランク定数——ボーダーとなる「定数0」
アインシュタインがボーアに叩きつけたエンタングルメント
覆るパラドックス——ボームはすでにノンローカルを提唱していた
保江博士は異端児? 健全な物理学界とは

★全ては最小作用の法則(神の御心)のままに

可能性の数だけ世界が存在するとされる「
」とは

多世界解釈で知られるエヴェレット(*ヒュー・エヴェレット3世。1930年~1982年。アメリカの物理学者)は1950年代にプリンストン大学の大学院生でした。
僕が読んだ本には、そうやって観測問題が沸き起こったときに、「みんなが見逃している点が一つある。そもそも、観測者も原子の集団だよ」といったのが大学院生のこの天才だったとありました。
エヴェレットは、天才でも何でもないですよ。その本では、それまで誰もが見落としていた点を初めて発見した人という扱いでした。それまでは、誰も指摘しなかったという意味です。
誰も指摘をしなかったのは、そんなアホなことは粒立てていわなかったというだけです。そのときのプリンストン大学の物理の先生たちもみんな、観測者が原子分子でできている、観測装置も原子分子でできているともちろん知っていました。でも、そこまではいわないのです。

物理学というのは、大自然をすべてそのまま記述するものではありません。記述されるものは記述されるものとしてまず切り取って、それについてのみ観測したり、ああでもないこうでもないと考えるのが物理学です。
周りで議論する観測側までを、今使っている自分たちの道具で記述するものではない」というのが常識でした。内心、困っていたのです。でも、「シュレーディンガーのいうとおりです」とはいえない立ですよね。コペン解釈の一派のせいで、量子力学はおかしなことになきたそうです。一般の常識的観点からはおかしいです。
そこで、観測問題というものが湧き上がりました。
みんなでああでもないこうでもないとやっているうちにエヴェレットという大学院生が出てきて、
観察の対象は確かに収縮していると君たちはいっているが、見る側である観測者もよく考えたら電子の集まりだから、そこに境界線なんて引けない。ということは、死んだ猫を見ている私と、生きている猫を見ている私という、二つの私がいる世界がある」といった。それが多世界解釈です。

猫が死んでいることを測定し、その結果を見て認識した世界と、猫が死んでいないという測定をした世界があるのです。猫が死んでいる世界が今、実現していると思っていても、それはたまたま自分がその世界にいるからにすぎない、ということです。逆に、猫が生きているということを認識している自分がいる世界がどこかにあるはずだという、これが多世界解釈です。

しかし、そもそも死んだ猫という状態があり、それを観測している自分も電子の集団で、全部がつながっている。そして、この一つの状態がたまたまあるけれど、それとは違う状態もどこかにあるというのが多世界解釈というのは、ちょっと違います。つながっていたら、フォン・ノイマンのように、結論が出ないのです。
こちら側も電子や原子でできているからつながっているというだけでは、どこにも観測や収縮が起きないわけです。観測する側も原子分子となると、観測ができません。だから、猫は死ねないのです。
なぜなら、観測する人間まで入れて、それが原子分子でできているからこれも量子力学で記述しないといけないとなったら、生きている猫を見ている、死んでいる猫を見ているという状態を認識している観測者の体も、いつまでも状態の重ね合わせのままだからです。どこかで、観測の切り離しが起こらないといけないわけですね。

ただ、多世界解釈の人たちがいったのは、現実に、猫は死んでいるか生きているかしかない、どちらかが起きているこの世界があるのなら、もうひとつが起きている違う世界がないとおかしいよね、というのが多世界解釈です。

エヴェレットの多世界解釈というのは、例えば箱を開けて猫の生死を観測したとき、そのときたまたま猫が死んでいたとします。その死んでいる猫を見ている観察者である自分と、死んでいる猫の両方がいる世界に今、います。それと並行して、この宇宙の隣かどうかはわかりませんが、観測したら猫が生きていて、その生きている猫と、観測して生きている猫がいると思っている観測者がいる世界があります。

エヴェレットがいったのは、これだけのことです。

以上



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